この記事をまとめると
■メルセデス・ベンツのラインアップの根幹を成すモデルのひとつがEクラスだ
日本で高級輸入車は本国では庶民のクルマ? 日本で買うと「外車」は高いのか
■初代から現行モデルとなる5代目Eクラスを振り返る
■フォーマルさや走りの良さなどセダン&ステーションワゴンの価値を示し続けている
世界中の自動車メーカーのお手本メルセデス・ベンツEクラス
メルセデス・ベンツEクラスは、数あるモデルのなかでも特別なサルーンと位置づけられています。それはユーザーのみならず世界中の自動車メーカーからも同様。そんな一目置かれるEクラスとはどのようなクルマなのかを紹介していきましょう。
メルセデス・ベンツEクラスとは?
日本国内だけでも30車種以上のラインアップを誇るメルセデス・ベンツ。SUVに人気が集まりがちですが、Sクラス、Cクラスとともに同社の根幹をなすモデルがEクラスです。モデルチェンジが行われるたびに世界中のメーカーから注目を集めるEクラスはミディアムサルーンにおけるベンチマークといえるでしょう。
Eクラスは1985年にデビュー(発売当時はMクラスと総称)したW124型が初代となりますが、第二次大戦後に登場した6気筒エンジン搭載のコンパクトセダンがそのルーツとなります。W111型、W114型、W123型がそれにあたりますが、コンパクトセダンの4気筒版はCクラス、6気筒版はEクラスへと発展していきました。
Eクラスの歴史(初代~3代目)
・初代 W124型
名車中の名車としていまだに評価が高い初代EクラスとなるW124型。1985年に登場し、デビュー時はミディアムクラスと呼ばれ、1994年のマイナーチェンジ時からEクラスと名乗るようになりました。
初代Eクラスは、同時期に発売されていた190Eとともに世界中のメーカーがベンチマークとするほど、その出来栄えは群を抜いており、ライバル車たちに大きな差をつけていました。
とくに評価されたのがパッケージングと走行性能。大人5人が快適に長距離移動できる室内空間を用意し、フロントはストラット式、リヤはマルチリンク式のサスペンション。さらにCd値0.29の空力性能を備えたことでロングドライブを得意とする走行性能を身につけ大きな評価を得ています。
W124型にはセダン、ワゴンをはじめクーペ、カブリオレなど派生車種が多かったことも特徴。なかでもモンスターサルーンとして1991年に登場した500Eの存在感は別格でした。
ポルシェと共同開発した500Eには、SLに搭載されていた最高出力330馬力を発揮する5リッターV8エンジンを搭載。一見、地味なセダンが織りなす爆発的な加速と圧倒的な走行性能に世界中の自動車ファンが驚愕しました!
・2代目 W210型
世界的に定評を得たEクラスは初めてのフルモデルチェンジを1995年に行います。260万台以上を販売した初代の後を受けて登場した2代目Eクラスは、丸目ヘッドライトを採用するなど、初代とは大きく変更したフォルムを備えたことで話題を呼びました。
ボディが大型化されたことで室内が広くなり、Cd値0.27を誇った空力性能と軽量化が実現したことで走行性能や燃費性能も向上。多彩な安全装備も備わっていたことで新世代サルーンとしての存在感を有した1台でした。
ただ、初代の評価があまりにも高かったことや、ドイツ本国だけでなく海外拠点で生産を行うなど効率化とコストダウンを進めたことで「メルセデス・ベンツ=質実剛健」とのイメージを崩壊させてしまいます。しかも、初代に設定されていたクーペやカブリオレがラインアップされなかったことも評価を落とす要因となりました。
質が低下したと多くのユーザーから評価を下げることになったことで、1999年にはビッグマイナーチェンジを行い品質改善に努めました。エクステリアデザインの意匠チェンジだけでなく、外から見えないパーツやボディなど約1800箇所に改良を施しています。
・3代目 W211型
2002年にフルモデルチェンジされた3代目Eクラス。先代モデルで評価を落とした各部の質感を大幅に向上して登場しました。3代目の外観は、丸目ヘッドランプなど先代のイメージを踏襲していましたが、全幅やホイールベースを拡大。電子制御ダンパーやESP、ABS、各種エアバッグなど電子デバイスや先進技術をふんだんに投入したことも特徴といえるでしょう。
極めつけがセンソトロニック・ブレーキ・コントロール(ブレーキ・バイ・ワイヤーシステム)。このシステムは、ブレーキの踏み加減をセンサーが感知し、車両の状況に応じて各車輪のブレーキ油圧を制御。高いスタビリティを確保することを目指したもので、先進安全装備として期待されていましたが、トラブルが多発したことで2006年に廃止されてしまいました。
また、3代目には1999年にメルセデス・ベンツ傘下となったAMGが手掛けたE55 AMGが用意されました。
最高出力467馬力を発揮する5.4リッターV8エンジンを搭載した同車は、初代の500Eを思わせるモンスターセダンとなりました。
進化を止めないミディアムクラスの先導車
Eクラスの歴史(4代目~5代目)
・4代目 W212型
先代、先々代と踏襲していた丸目ヘッドランプを廃止し、異型4灯ヘッドランプを採用して2009年に登場した4代目Eクラス。先代同様、各種の電子制御化を進め、時代が要求する環境性能と安全性能に力を入れて開発されました。なお、ヘッドランプは2013年のマイナーチェンジで一体型に変更されています。
とくに先進安全装備の充実ぶりは目を見張るものがあり、ドライバーの疲労や注意力低下を検知したとき、ドライバーをアシストする“アテンションアシスト”や“レーンキープアシスト”など、現行モデルにも用意されている機能を装備しています。
また、環境性能に貢献する1.8リッターダウンサイジングターボ(後に2リッターターボへ変更)や直噴ターボ付きディーゼルエンジンなど、パワーユニットも見直されています。さらに、4代目にはシリーズ初となるハイブリッド仕様も2013年に追加されました。
とはいえモンスターセダンは4代目にも設定されています。E63 AMGは525馬力の6.3リッターV8エンジンを搭載。環境性能に特化したモデルとは別物として存在感を誇りました。
また、4代目にはクーペやカブリオレが初代以来、用意されたことも特徴です。ただし、こられはCクラスをベースに開発されています。
・5代目 W213型
現行モデルとなる5代目が登場したのは2016年。先進安全装備をはじめとする最新テクノロジーを詰め込めるだけ詰め込んだ近未来サルーンというべき存在となっています。マイナーチェンジ以降の4代目と顔つきなどは大きく変わっていませんが、全長を40mm伸ばしたことでスマートなフォルムへと変化しました。
インテリアのトピックスといえば、12.3インチの大型ディスプレイを2枚配置したインパネ。未来感溢れるデザインと装備はライバル車が備えていない大きな特徴です。
パワーユニットのトピックスは、新開発のディーゼルエンジンを用意したことでしょう。ターボ付き2リッター直4ディーゼルエンジンはアルミブロックを採用したことなどで軽量化と小型化を実現しました。
その他、ターボ付き2リッター直4ガソリンエンジンと3.5リッターV6ガソリンエンジンをラインアップ。また、トランスミッションは全車9速ATが組み合わされています。
・5代目 W213 後期型
現行モデルは2020年にマイナーチェンジを行いました。外観で大きな変更が加えられたのがヘッドランプ。上下方向に薄く、やや切れ上がった形状に変更されています。
また、上級グレードのE450 4MATIC エクスクルーシブは、メルセデス・ベンツ伝統のスリーポインテッドスターがボンネットマスコットとして、4代目のマイナーチェンジ前のようにフロント部に配置されています。この変更を喜ぶメルセデスファンは多いことでしょう。
見た目以外に大きな変更となるのが次世代ステアリングの装備。この新世代ステアリングは、ナビゲーションをはじめとする各種設定や安全運転支援システムの設定を手もとで完結させることが可能。
また、新たに静電容量式センサーを備えたステアリングパッドを採用したことで、ハンズオフ検知機能の使い勝手向上を実現しています。
パワートレインはデビュー時とは異なり、多彩なユニットが用意されました。現在選べるユニットはガソリンエンジンがターボ付き1.5リッター直4とターボ付き2リッター直4ターボ。ディーゼルエンジンはターボ付き2リッター直4。さらに2リッター直4ターボ+プラグインハイブリッド、2リッター直4ディーゼルターボ+プラグインハイブリッドから選択可能です。
まとめ
SUVにおされセダンやステーションワゴンの存在感が薄れている中、メルセデス・ベンツEクラスはいまだに高い注目度を維持しています。むしろSUVにはないフォーマルさや走りの良さなどセダン&ステーションワゴンの価値をいまだに示し続けているのはさすがといえるでしょう。
今後、どのようにEクラスが進化していくかに注目です。
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みんなのコメント
マツダにもMX-6があります。
最上級SUVのCX-60にしても、GLEにエクステリア質感共に凌駕している。