移動式(仮固定式)オービス 全国に続々導入
text:Kumiko Kato(加藤久美子)
【画像】撮影に成功 移動式オービス/ネズミ捕りを比べる【現場から】 全11枚
2016年3月22日に埼玉県北本市内の国道17号線で、全国初の「仮固定式オービス」の本格運用が開始され、丸4年が経過した。
その後、急速な勢いで全国各地に導入が広がり、2020年4月現在では、新潟、茨城、徳島、山口、熊本、鹿児島、沖縄を除く40都道府県に導入されており、残りの県もこの1~2年の間には導入される見込みだ。
移動式オービスは「生活道路での取り締まり」を強化するために開発されたもの。それゆえ、コンパクトで持ち運びが容易なタイプが主流だ。
高速道路や幹線道路に設置される固定式の速度違反自動取締装置(以下、固定式オービス)や、一般道でネズミ捕りと呼ばれるタイプの速度自動取締装置とは、どんなところが違うのだろうか?
移動式オービスが従来のネズミ捕りや、固定式オービスと違うのは以下の通り。
・可搬式(移動式)であるため、どこにでも設置ができる
・速度違反のクルマに対してナンバープレートの写真を撮り、あとで送られて来るのは固定式オービスと同様
・ネズミ捕りのように違反車両を引き込んで、反則切符を切るための「サイン会場」が不要
・車両を引き込むための広いスペースや車両を停める警察官も不要
これらの違いがあることによって、「狭い場所にも簡単に設置ができて少人数(1~2名)での取り締まりが可能」となるわけだ。
移動式ゆえ、日によって場所が変わる
「移動式」(可搬式)であるため、設置場所が変わる。
常設型の固定オービスとは違うので、日によって場所を変えて取り締まりを行うことも簡単にできてしまう。
移動式オービスにもいくつかタイプがあるが、愛知県警が2016年に導入を発表したタイプは、重量約25kgでジュラルミン製の手提げケースに入れて持ち運びができる。使用する際には三脚を立てて、その上にセットする。
従来のネズミ捕り方式の機械も移動は可能だが、ワゴン車に積載するタイプだと約500kgもの重量があった。
また、車両を引き込むための広いスペースが必要ゆえ、生活道路のような狭いスペースでの取り締まりは物理的に不可能だったのである。
場所を選ばず運用できる移動式オービスは、日々、場所を変えて取り締まりを行っているので特定が難しく、従来のレーダー探知機では検知されない「レーザー式」を用いて測定する機器もある。
まさに神出鬼没の移動式オービスだが、さらにニュースがある。それは、これまではめったになかった「超過速度15km/h未満」を対象とするケースが年々増え始めていることだ。
警察庁が2020年2月に公開した2019年中の「道路交通法違反の取締り状況」によると、2018年→2019年に時速15km/h未満で最高速度違反となった例は43件→340件と件数だけを比較すると8倍増にもなっている。
生活道路での取り締まりが目的だったはずが
最新の情報によると、生活道路での設置をメインとした移動式オービスの運用状況にさらなる変化がみられるという。
日本全国のオービスを実際に自ら足を運んで調査している、アプリ「オービスガイド」を運営する有限会社パソヤの大須賀克巳氏は以下のように分析している。
「小型の新型オービスが登場した時は、多くの新聞やテレビのニュースで『狭い道にも設置できるので、生活道路や通学路を中心で取り締まりに当たる』と紹介されていました」
「ニュースで写真や映像が使われる時は、通学する小学生と一緒に移動式オービスが写っているものがよく用いられ、これにより多くのドライバーは取り締まりの必要性や重要性を納得していました」
「私も住宅街や見通しの悪い道でスピードを出す車を10-15km/hオーバーの青キップレベルで捕まえるのは大賛成です」
「しかし、最近気になっていることがあります。時が経つにつれ、移動式オービスで取り締まられる場所が歩行者も自転車もいない見通しの良い自動車専用道路、深夜のバイパス、高速道路のトンネル内など(歩行者を護るという)当初の目的とは違うのではないかな? とも思う場所に進出していることです」
「もちろんこれらの場所でも事故はゼロではありませんが、個人的には歩行者や児童がいるような狭い道での利用をメインにしてほしいと正直思います」
これに加えて最近の傾向として、取り締まりが行われる時間帯にも変化が起きている模様。
深夜はもちろん、未明~明け方も
最近の傾向として、取り締まりが行われる時間帯にも変化が起きている模様。
午後10~12時の遅い時間帯はもちろん、未明(午前0~2時)や早朝(午前5~6時)にも移動オービスによる取り締まりが実施されている。少人数で運用できる移動式オービスゆえの傾向か。
筆者も利用している「オービスガイド」に届く通知が午前2時や午前5時といった時間帯であることも珍しくない。
アプリ「オービスガイド」を運営する有限会社パソヤの大須賀克巳氏は以下のようにコメントする。
「深夜の移動式オービスは地域にもよりますが、確実に増えている印象です」
「当初はこんな夜中にやっているのか? と疑いながら、アプリの投稿を頼りにすぐに現地に向かったことがありますが、間違いなく取り締まりが行われていました」
取り締まりは未明や早朝を含む、あらゆる時間帯に行われ、超過速度10km/h程度でも捕まる可能性がある。
現在、日本全国で春の交通安全運動が展開されている。移動式オービスによる速度取締りも全国規模で増えている。
もちろん制限速度を守った運転は当然である。
これまでとは違う速度違反の取り締まりが行われていることを知って安全運転を心がけてほしい。
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