メーカー公称値に頼らない独自のテスト
英AUTOCAR編集部がこれまでにテストした市販車の中で、最も加速性能の高い10台を紹介する。
【画像】ぶっ飛ばしていこう【加速性能トップ10を写真で見る】 全130枚
新型車の加速性能評価を見るのは簡単だが、その比較はしばしば難しく、誤解を招くことがある。停止状態からの発進加速に関しては、ベンチマークの基準が微妙に異なるため、数値だけを見て単純に比較することはできない。
例えば、欧州のメーカーは「0-100km/h加速」に相当する「0-62mph加速」のタイムを表示するのが一般的だが、一部のメーカーでは「0-97km/h加速」に相当する「0-60mph加速」を表示している。
一方、米国を拠点とするメーカーの中にも、「0-60mph加速」の性能を主張するものがあるが、これはドラッグレース方式の「ワンフット・ロールアウト」という指標に基づいている。発進時の最初の1フィート(0.3m)を無視するため、「静止状態からの加速」の数値と比較するには公正な基準ではない。
北米ではこのような慣習があるため、例えばシボレーやテスラが主張する発進加速とポルシェ、フェラーリ、メルセデスAMGのそれを比較することは大きな問題がある。
では、メーカーや地域によって評価基準が異なるようなカタログ上の性能数値ではなく、実世界での性能のポテンシャルをより公平に、より代表的に測定できる方法はあるのだろうか?答えは「イエス」だ。
以下は、英AUTOCAR編集部による独自の性能テストを受けた、これまでで最も加速の速いパフォーマンスカーのリストである。一般的な0-97km/hや0-100km/h加速のタイムではなく、48-113km/h(30-70mph)加速でのタイムに基づいてランク付けされている。また、静止状態からの発進加速として0-402m(1/4マイル)の結果も併記した。
つまり、メーカーが主張するような数値とは異なるものである。燃料を満タンに入れ、2人の乗員を乗せた状態で、(追い風の影響等を考慮して)平坦な路面を2方向に往復するという条件下での結果だ。
はじめに断っておくと、編集部は発売される全モデルで試乗・性能テストを実施できているわけではない。英国未導入の最新モデルや希少なハイパーカーなど、今回のリストで除外されているものが少なからずあることをご承知いただきたい。
1. ブガッティ・ヴェイロン・スーパースポーツ
48-113km/h加速:1.7秒|0-402m:10.1秒(238km/h)|テスト実施日:2011年3月2日
英AUTOCAR編集部がブガッティ・ヴェイロン・スーパースポーツのテストを行ってから、もう10年以上になる。48-113km/h加速における史上最速の市販車として、10年以上経ったいまでもその王座は揺るがない。
ブガッティはまだシロンのロードテストを承認していないが、現行モデルの引退を控えていることから、近いうちにテストを実施できるのではないかと期待している。
“ギガワット級”電動ハイパーカーの新時代において、このヴェイロンの地位は遅かれ早かれ奪われることが予想される。だが、それを達成できるEVはわずかだろう。そして、EVにトランスミッションを搭載しない限り、1200psのブガッティのように、400km/hを超える加速は難しいかもしれない。
「もしヴェイロン・スーパースポーツがマクラーレンF1の10秒後にスタンディング・スタートを切り、マクラーレンが210km/hに達したとしても、ブガッティはまったく同じタイミングで320km/hに達することができる」と、当時のAUTOCARのテスター陣は記録している。
「TVRグリフィスを2台、同時に工業用エアホースを走らせているようなものだ。今までの市販車では感じられなかったような、心を揺さぶるような加速がある」
2. フェラーリSF90ストラダーレ・アセット・フィオラノ
48-113km/h加速:1.8秒|0-402m:9.9秒(236.2km/h)|テスト実施日:2021年11月3日
フェラーリの驚異的なプラグイン・ハイブリッド・スーパーカー、SF90ストラダーレは、2021年に英AUTOCAR編集部のベンチマークとなるサーキットで過去最速のラップタイムを記録し、ブガッティ・ヴェイロン・スーパースポーツのほとんどのタイムを上回った。すべて、というわけではないのだが。
シフトタイミングか、フェラーリのトルクの出し方のクセか、ヴェイロンの48-113km/h加速タイムにコンマ1秒の差でわずかに届かなかったのである。しかし、0-402mをはじめとする測定可能なほぼすべての数値で上回っているのだ。
3. ポルシェ918スパイダー
48-113km/h加速:1.9秒|0-402m:10.2秒(233.2km/h)|テスト実施日:2014年10月22日
ポルシェ918スパイダーは、2010年代前半に登場したハイブリッド・ハイパーカーの「聖なる三位一体」の1つである。電気モーターとレース由来のV8エンジンの組み合わせにより、48-113km/h加速を2秒未満で到達することができた。
テスターは次のように記録している。
「918のインギア性能は他の追随を許さない。驚くべきはその速さだけでなく、電気モーターによる瞬時のトルクによってもたらされる柔軟性だ。32-64km/h(20-40mph)、48-80km/h(30-50mph)の加速を2速で行う場合、必要とするのは1.0秒。一方のマクラーレンP1は、同じ加速で1.3秒と1.1秒をそれぞれ必要とする」
4. マクラーレン・セナ
48-113km/h加速:1.9秒|0-402m:10.4秒(238.5km/h)|テスト実施日:2018年10月10日
マイラのハンドリング・サーキットで、マクラーレン・セナほど速く走れる市販車はない。
セナは、名前以上に「究極(ultimate)」のモデルである。800psのパワーと800kgの最大ダウンフォースは、今も昔も変わらず魅力的であり、そのドライビング・エクスペリエンスは背筋が凍るほど刺激的で、サーキット環境においては親しみやすいものだった。
「セナの加速は、運転席に座っていても野蛮としか感じられない。変速の応答時間、オールラウンドな柔軟性、高回転の自由度、スロットル・キャリブレーションのリニアリティにおいて、セナのV8にこれ以上望むものは何もない」
5. アリエル・アトムV8
48-113km/h加速:1.9秒|0-402m:11.2秒(215.9km/h)|テスト実施日:2011年8月10日
少なくとも現時点では、4桁の馬力や超高価なカーボンファイバー製シャシー、豪華な4輪駆動システムがなくても、このリストの上位に食い込むことができる。喜ばしい限りである。
10年前、英サマセット州クルーカーンにある小さなアリエル社は、V8エンジンを搭載したアトムを作ることに成功した。テスト時の車重は650kgで、1万500rpmで481psの絶叫をあげる。
「0-97km/hを3.02秒で達成した後、160km/hに達するまでに5.7秒かかり、その後空力的なコントロールが効き始める。とはいえ、アリエルは目を見張るほど速いクルマではあるが、ハイパーカーとはわけが違う。慣性がなく、ただひたすら道を下っていくだけなのだ」
6. マクラーレンP1
48-113km/h加速:2.0秒|0-402m:10.2秒(237.3km/h)|テスト実施日:2014年5月7日
マクラーレン・オートモーティブが、現代における初のトップレベル・ハイパーカー「P1」のキーを我々に渡したとき、それはとても大きな出来事のように感じられた。しかし、3年前にテストしたブガッティ・ヴェイロン・スーパースポーツの巨大な存在感を、この日はなかなか覆すことができなかった。
それでも、P1は多くの点で我々の畏怖と愛情を勝ち得た。
「P1は3.8Lよりはるかに大排気量のクルマのように感じさせ、わずか4000rpmでピークトルクを発生する。5速では、80-113km/h(50-70mph)でも、193-225km/h(120-140mph)でも同じくらい速いのだ(それぞれ2.7秒)」
「ドライでは、この性能のすべてにアクセスできる。低速域ではトラクションコントロールの介入に苦慮するが、ドライ環境でのトラクションは常に素晴らしい。これはローンチコントロール・システムが可能にする初期加速の熾烈さにも現れている」
7. マクラーレン720S
48-113km/h加速:2.0秒|0-402m:10.4秒(230.9km/h)|テスト実施日:2017.05.24
マクラーレン720Sは、この種のミドエンジン・スーパーカーの性能ベンチマークを軒並みリセットした。パフォーマンスカーのヒエラルキーにおける障壁や規範と考えられるものを無視したその姿勢は、2017年のロードテストで明らかになった。
720Sは、48-113km/h加速でマクラーレンP1に並び、0-402mではわずかコンマ2秒遅く(当時のマラネロの対抗馬、フェラーリ488 GTBよりコンマ5秒速い)、静止状態から305km/hまで到達するのに兄弟車より1秒長くかかるだけであった。
「静止状態から97km/hまで3.0秒以下で加速し、113km/hから40m以内で停止する。ハンドリング・サーキットの歴代ラップレコードをあと数秒で塗り替えるところだった720Sは、前代未聞のスピードを持ったクルマである」
「数十年前の本来の意味での“スーパーカー”と呼ぶにふさわしいクルマだ。この言葉は今日、少し違った意味を持つようになっているからね」
8. フェラーリ488ピスタ
48-113km/h加速:2.0秒|0-402m:10.5秒(226.9km/h)|テスト実施日:2019年8月7日
見事なまでにサーキット走行に対応した488ピスタは、2019年の夏に我々がロードテストした最後のフェラーリだった。熱狂的なターボ性能を指揮し、忘れがたい印象を残したが、フェラーリは今後、量産スポーツカーをハイブリッド・パワートレインに切り替えるため、488ピスタがこの種のモデルとしては最後になるのかもしれない。
「このエンジンのピストンは、ペップ・グアルディオラ(サッカープレミアリーグのマンチェスター・シティFCの監督)の決勝戦のメンバーよりも巧みに管理され、動機づけられている。高回転域でのトルクを効果的にセーブしながら、自由自在に回転させることで、このクルマの性能は限りなく高いレベルにあるように見える」
「そのため、アクセルを踏み込みながら、勇気を出してシフトチェンジしていく過程が、他のスポーツカーとは比較にならないほどスリリングに感じられるのだ」
9. ランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテ
48-113km/h加速:2.0秒|0-402m:10.6秒(220.0km/h)|テスト実施日:2017年10月11日
このAUTOCARトップ10チャートで、ランボルギーニが1台、フェラーリが2台というのは、北イタリアのある地域では注目されていることだろう。それはさておき、ランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテのV10エンジンは、大気圏内に突入する流星のような存在だ。10個のピストンにより8000rpmで639psを発生するが、8500rpmまで回転することができる。
「ランボルギーニはペルフォルマンテを、このブロックで最も速いスーパーカーにはしていない。少なくとも直線においては。もちろん、170kgも軽量かつパワフルな720Sと比べものにならないかもしれない」
「しかし、V10のドラマチック性、紛れもなく巨大なパワー、ペダルの踏み込み具合によりミクロン単位で変化するエンジンの完璧なスロットル・レスポンスを総合すると、このクルマのパフォーマンス・スタイルに何らかの不満を感じる人がいるとは信じがたい」
10. マクラーレン600LTスパイダー
48-113km/h加速:2.1秒|0-402m:10.9秒(214.0km/h)|テスト実施日:2019年5月22日
マクラーレンのハードコアモデル「ロングテール」の中で、英AUTOCAR編集部がフルのロードテストを実施した例は非常に少ない。2015年の675LTや、いまのところ素晴らしい印象を受けている765LTもそうだ(早急にチャレンジしたいところである)。何とかタイムアタックに持ち込むことができたのはスポーツシリーズの600LTで、ロングテールほどパワフルではなかったものの、期待を裏切らないものであった。
600LTは不思議とスムーズで、予想外に非暴力的であり、ホイールスピンのない完璧に管理された熱狂的な走りを見せながら、160km/hまで6.0秒という閾値を僅かに下回っただけで、570Sにコンマ3秒の差をつけていた。つまり、このクルマは一糸乱れぬ加速力を備えているのだ。フェラーリ488 GTBを僅差で破るのに十分なほどに」
「ポルシェの911 GT2 RSが、主なパフォーマンス・ベンチマークだったと聞いている。しかし、我々の見立てでは、ロングテールより100ps多いドイツ車は190km/hまで加速しないと前に出られないだろう」
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トップ20〜30台の混合耐久レースとかやればTVで見てあげてもいいかな