11月10日、2024全日本スーパーフォーミュラ選手権第9戦『第23回JAF鈴鹿グランプリ』の決勝レースが三重県の鈴鹿サーキットで行われ、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が予選2番手から逆転優勝を飾った。
土曜のポール・トゥ・ウインに続く週末2連勝を果たした太田と、この最終戦を2位で終えドライバーズタイトルを獲得した坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)、そして3位に入った福住仁嶺(Kids com Team KCMG)、さらにDOCOMO TEAM DANDELION RACINGから村岡潔監督が優勝チーム監督/決勝トップ3会見に登壇し、今年最後のスーパーフォーミュラ・レースを振り返った。
野尻智紀と太田格之進のコース内外バトルの結末。緊張感高まった両者のフロントロウスタート
■村岡潔(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
優勝チーム監督
「昨日あれだけの走りをして、本当に素晴らしい内容だったので今日勝てない理由はなく、そういう意味では安心して見ていました。もっとこう太田格之進らしいアクの強いレースを期待してたのですけど、すごくマナーの良いレースで終わったなというのは、まあ、それはそれで締めくくりのレースかなとは思っています」
――牧野任祐へのサポートを含めた戦略展開について
「いろいろなことを考えていました。でもチャンピオンを獲るのに何か戦略的に獲ったチャンピオンというのは嬉しくないし、牧野選手本人が一番嬉しくないと思うのでそういう話もあったのですけど、実際に(オーダー的な指示で)動かすということはあまりなかったです。今回については、もう太田選手が予選から圧倒的に速かったですから、そんなことを考えることもなく2日間が終わったというところです」
――シーズンを2連勝で締めくくった
「太田選手に関しては、シーズン前半にチームのミスやトラブルが出たり、(首位走行中にスロットルが戻らなくなってしまい勝利を逃した第5戦)もてぎのことも含めいろいろあったので、その部分はエンジニアとチームがきちんとクルマを作り上げ、来年に繋がるようになったと思います」
「その結果が今週末のリザルトだと思いますし、とくに2レースめのスタートは太田選手か野尻(智紀/TEAM MUGEN)選手か、どちらが先に1コーナーを抜けるかでチームタイトル争いの流れが大きく変わる場面で、太田選手がきちっとまとめてくれました。それはもう大変感謝しています!」
「ただ欲を言えば、最後のレースまで牧野選手、野尻選手とチャンピオン争いをして、坪井選手がチャンピオンを獲ったほうが、もっと坪井選手が気持ちよくなれたんじゃないかなと(笑) そこは本当に残念だったなと思いますけど(会場も笑い)」
「ですが、今回のレースに限らず一年間で一番速いドライバーがチャンピオンを獲るので、それに関しては我々のチームがドライバーも含めて劣っていた部分だと思います。そこは謙虚に捉えて来年に繋げていきたいと思います」
「これだけ太田選手がいい走りをできるのですから、これをもう1台にも活かして、来年強いチームで第1戦をスタートしたいという考えです」
■太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
予選:2番手/決勝:1位
「野尻選手とはレース後に少し話をして、『お互いちょっと感情的になった部分もあったし、これからもお互いリスペクトを持ってやっていこう』というような話をしました」
「なので、今はどうこうというのはまったくないのですけど、レース前は正直『絶対に勝ったる!』という気持ちしかなくて、1コーナーで並んだら絶対引かないと決めていましたし、初めの1、2周でオーバーテイクシステム(OTS)を使い切ってでも絶対抜くつもり、それくらいの気持ちでスタートしました」
「(スタートは)僕のほうが加速も良かったので1コーナーを横並びで入っていって、自分の望んだ展開で前に出られました。そこからはペース的には全然負ける気はしないというか、クルマは(ポール・トゥ・ウインを達成した)前日と同様に素晴らしかったし、なにも文句ないレースだったかなと思います」
――アウトラップで坪井翔に迫られた
「ちょっとアウトラップは苦戦したところはあって、僕たちが遅かったのかトムスさんがすごく早かったのか正直わかないですけど、5秒ぐらいのマージンを持ってピットに入ったのにアウトラップで結構詰められてしまいました」
「僕としても(かわされたあと)簡単に抜き返せるほど坪井選手のペースが悪くないのは分かっていましたし、(パスされたあと)抜き返せるかどうかも分からないという状態だったと思うので、アウトラップでしっかりとポジションを守ることを最優先に考え、実際に何とか守りきることができたので、そこは良かったと思います」
――2連勝で世界に速さを示せた
「もう明日から行くのですが来週、デイトナでテストがあって、それに向けて「SF鈴鹿で2連勝してきたよ」と胸を張って言える状態で向こうに行けるのがベストだったと思っていましたし、実際にそれが今回実現できたので気持ちよく行けるかな思います」
「向こうは向こうで別の難しさというか、初めてやることが多いと思うので、その部分はまた気を引き締め直してやりたいと思います」
■坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)
予選:3番手/決勝:2位
「シンプルに9分の1のレースという捉え方で、『今日のレースをしっかり勝つ』という目標を持ってレースをスタートしました。ただ、太田選手がとんでもなく速かったのを昨日散々見ていたので、一日でそう簡単に詰まる差ではないと感じていました」
「序盤、すぐに2番手に上がることができ、そこまでの展開は良かったのですが、10周目までに(太田に)かなり離されてしまいました。どちらかと言うと(福住に)追われているような状況で、今日は後ろを見ながらのレースになってしまったのが事実。なのでピット戦略は、福住選手が10周目にピットに入った次の周に僕も入るというかたちをとりました」
「昨日もアウトラップが速かったのか、オーバーカットができたりしたので、今日もアウトラップを頑張ってみて太田選手が反応するかもしれないと見ていました。チャレンジする機会が一瞬だけ生まれたので、『ここで目立たないといけないな』と思ってちょっとトライしてみたのですけど(スプーンでサイド・バイ・サイドになるも)抜ききれなくて、その後のペースは見てのとおりです」
「あっという間に離されてしまったので仮にあそこで抜けたとしても多分、普通に抜き返されるのでは、というぐらいのスピード差を感じました」
――最後までチャンピオンを争った牧野の位置は意識していたか
「牧野選手は、チャンピオンシップを考えると優勝しなきゃいけないという状況でしたから、少なくとも僕の前にいないとそれはありえない。ですからそこは意識せず、僕がどうやったら優勝できるかを考え、あとはひとつでも上の順位でゴールするために、今日で言うと1位よりは現実的な2位をしっかり取るためのレースを考えていました」
■福住仁嶺(Kids com Team KCMG)
予選:5番手/決勝:3位
「スタート自体はそんなに良くなかったのですが、そのあとの位置取りが良かったというか、佐藤(蓮/PONOS NAKAJIMA RACING)選手が僕のためにラインをちゃんと作ってくれた。あのあたりはすごくフェアだったと思います」
「そのおかげで2コーナーで4番手に上がることができ、それがきっかけで坪井選手が野尻選手を抜いたあと、野尻選手がOTSを使えないと分かっていたのでそのタイミングで3番手になれたのが今回、表彰台獲得のカギだったんじゃないかなと思います」
――終盤には坪井を追い上げるシーンもあった
「(追いつけるという手応えは)全然なく、僕もむしろ表彰台はしっかり取りたいという方向性になっていました。というのは、後ろから野尻選手が迫ってきていたんです。(攻防の末に先行を許した前日のレースと同じように)基本的なペースは野尻選手のほうが速いと思い込んでいて、どうやって抑えようか、というところしか考えていませんでした」
「残り10周くらいで後ろがいなくなったことで気が楽になり、そこからは坪井選手を追う方向にセットしたのですが、僕としてもそんなに余裕はなかったですし、抜けるほどのパフォーマンスはなかったと思います」
「ただ、鈴鹿では開幕戦もポイント取るのがやっという状況で、去年のKCMGの結果を見てみると、この3位という結果はチームの皆にとって非常に自信になる3位だと思うので、本当に素直に嬉しい表彰台だったと思います」
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