好印象な操縦性を備えるファミリーカー
プジョーは、Cセグメントに属する新しい308で、好印象な操縦性を備えるファミリーカーを再発明したようだ。適度にコンパクトなボディサイズと、比較的軽い車重が与えられたハッチバックは、特にそう感じさせる。
【画像】ハッチバックと走りに遜色なし ディーゼルのプジョー308 SW 競合と写真で比較 全100枚
では、重量のかさむボディに軽くないパワートレインを載せた、実用性の高いステーションワゴンはどうだろう。今回試乗したのは、重いディーゼルエンジンを搭載した、308 SWの ブルーHDI 130だ。
英国の場合、パワートレインの選択肢はハッチバックと同じ。プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のほかに、2種類の内燃エンジンから選べる。試乗車は最高出力130psを発揮する、1.5L 4気筒ディーゼルターボとなる。
ちなみに最高出力でいえば、1.2Lガソリンターボと同じ設定。だが、最大トルクは23.4kg-mに対し30.4kg-mと、ディーゼルターボが勝る。結果としてWLTP値での燃費も20%ほど優れ、20.1-23.0km/Lがうたわれる。
広い荷室と高効率のディーゼルエンジンを載せ、ファミリー層に喜ばれそうな308 SWは、ドライバーも喜ばせることができるのか? 英国の一般道で実際に確かめてみよう。
同条件ならハッチバックと走りの差は小さい
308のSWは、ハッチバックの308より全長が長い。ホイールベースも延ばされているが、先代よりは控えめ。2代目は110mmも違っていたが、3代目では55mmの差に留まっている。
オーバーハングも伸ばされ、リアシート後方の荷室容量はトノカバー下でハッチバックより50%も広い。さらにエントリーグレードを除いて、荷室フロアは2段階に高さ調整が可能。上級グレードなら、リアハッチが電動にもなる。
リアシート側の空間もハッチバックより広いとプジョーは主張するが、実際に大人が座ってみると、その差は限定的。ボディサイズの拡大は、主に荷室へ割り当てられたようだ。
頭上や膝前の空間には、フォルクスワーゲン・ゴルフ・ヴァリアントなど、ライバルモデルより余裕が感じられない。とはいえ小柄な人や10代前半の子供なら、狭いと不平を漏らすことはないと思う。
発進させてみると、308 SWはハッチバックより僅かに重いことを実感する。若干だが機敏さが失われ、姿勢制御の締まりも薄まっている。ドライビング体験の魅力は、ピュアテックでハッチバックの、軽い308には及んでいない。
しかし、同じディーゼルエンジンを積んでいるという条件で比べれば、その差は非常に小さいことも間違いない。現実環境で運転している限り、ステアリングへ機敏に反応し、終始安定している。
サスペンションが路面の衝撃を巧みに吸収し、車内は平穏。SWでも姿勢制御に不満はなく、荷物と家族で車内が一杯になったとしても、コーナーでドライバーを困惑させることはないだろう。気持ち良く運転できるはず。
ドライバーとの親和性が高いチョイス
走行中のノイズは、ガソリンターボのピュアテックやPHEVより若干うるさい。だが、8速ATが低回転域で巧みにシフトチェンジを繰り返すため、荒々しいノイズが耳につくことはない。
パワーもあり、粘りも充分。混雑した市街地でも扱いやすく、高速道路を長距離運転するような場面なら、燃費は余裕で20km/Lを超えるだろう。
Cセグメントという比較的小柄なカテゴリーでは、英国でもディーゼルエンジンの支持率はまだ高いままだが、ステーションワゴンという存在は貴重でもある。その1台として、ドライバーとの親和性の高いチョイスが、プジョー308 SWといえる。
確かに操縦性は、甘美なハッチバックほどではない。荷室は広いもののリアシート側は程々で、実用性だけで比べてしまうと少し分が悪い。しかし、実際にリアシートへ乗ることが多いのは、子供だったりする。
新しいプジョーのシャープなスタイリングや、インテリアのデジタル技術が気に入ったのなら、新しい308 SWを選んで後悔することはないだろう。シャシーもとても魅力的だ。ディーゼルエンジンが、未来的なチョイスとはいいにくいにしても。
プジョー308 SW ブルーHDI 130 アリュール・プレミアム(英国仕様)のスペック
英国価格:3万2120ポンド(約513万円/試乗車)
全長:4636mm
全幅:1852mm
全高:1450mm
最高速度:207km/h
0-100km/h加速:10.9秒
燃費:20.1-23.0km/L
CO2排出量:114-130g/km
車両重量:1400kg
パワートレイン:直列4気筒1499ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:130ps/3750rpm
最大トルク:30.4kg-m/1750rpm
ギアボックス:8速オートマティック
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みんなのコメント
シンプルだけど小粋なエスプリが漂っていたのに、
このデコラティブな醜さはなんだよ。
初心に戻れよプジョー。