英国アストンマーティンは2023年5月24日(現地時間)、DBシリーズの新型スポーツカー「DB12」を発表。また、5月25日にはアストンマーティン ジャパンが東京のアストンマーティン青山ハウスにて開催した「THE BIRTH OF A NEW ICON メディアセッション」においてDB12の実車を公開した。
「グランツーリスモのあるべき姿を再定義した、世界初のスーパーツアラー」を謳うDB12は、スポーティなキャラクターとダイナミックな走行性能を大幅に進化させるとともに、伝説的なDBの血統を受け継ぎながら独自の新しいカテゴリーを創出したことが特徴である。
最新のF1マシンから着想を得たアストンマーティンDBX707のスペシャルモデルが登場
まずエクステリアは、アストンマーティンならではの完璧なスタイル、75年にわたるDBの伝統、世界初のスーパーツアラーにふさわしいセグメントを定義するプロポーションを統合した、新進の2ドアクーペに仕立てる。基本骨格は押出接着アルミニウム・ボディ構造およびコンポジット(複合)パネルで構成した。各部のデザインにもこだわり、フロント部はラジエター開口部を拡大したサテンクロームベーン仕上げグリルを配するとともに新形状のスプリッターを装着し、合わせて新しいデイタイムランニングライト(DRL)を備えたLEDヘッドライトを組み込んで、精悍かつ印象的なマスクを創出。ノーズには最新形のウィングバッジ(グリーンエナメルインフィル付)をアストンマーティン車で初めて配備する。一方、サイドビューは抑揚のあるフェンダーアーチに“ASTON MARTIN”ロゴを刻印したサイドストレーキ、小型のフレームレス・ウィングミラーなどを採用したことがトピック。足もとには、新デザインの21インチ鍛造アロイホイール(前9.5J/後10.5J、標準が5本スポーク、オプションでマルチスポークとYスポークを用意)と専用設計のミシュランPILOT SPORT S5タイヤ(前275/35ZR21 103Y/後325/30ZR21 108Y)を装着する。そしてリアセクションは、エアロブレードシステム付き展開式スポイラーや新デザインのLEDコンビネーションランプ、専用デザインのディフューザーなどを配備して、エレガントかつ空力特性に優れる後ろ姿を具現化。整流効果を高めるロアボディパッケージ(標準でボディカラー、オプションでグロスブラックとグロス2×2ツイルカーボンファイバーを設定)も組み込んだ。
ボディサイズは全長4725×全幅2060×全高1295mm、ホイールベース2805mmに設定。トレッドは従来のDB11比で前6mm/後22mm拡大する。また、車体のねじり剛性はアンダーボディのコンポーネントを変更するなどして、DB11比で約7%向上。車重は乾燥重量で1685kgに収め、前後重量配分は48:52に設定した。
2+2レイアウトで構成したインテリアは、クリーンで現代的なデザインと長い伝統を誇るクラフトマンシップ、最高級の素材を組み合わせるとともに、アストンマーティンの次世代オーダーメイド・インフォテインメントシステムおよび最先端のコネクテッドテクノロジーを配備したことが訴求点である。ダッシュボードとトリムはワイドな水平基調で構成し、ここにショルダーラインの下まで達する高いセンターコンソールを組み合わせる。また、シートやトリム類などにはレザーインテリアの老舗のBridge of Weir(ブリッジ・オブ・ワイル)が手がけた香り豊かな手縫いのヘアセルレザーを採用。キルティングのパターンにも新しいアレンジを施した。一方、センターコンソールには静電容量式タッチコントロールを備えた10.25インチ・ピュアブラック高解像度スクリーンを配備。30ミリ秒という素早い応答時間による高い利便性を確保するとともに、確実な操作フィールを提供する物理スイッチとのバランスも重視する。機能面では、オンライン接続機能を組み込んだ新ナビゲーションシステムや、新しいコンパニオンとして利用可能なASTON MARTINアプリ、無線(OTA)アップデートおよび診断機能、Apple CarPlay/Android Autoワイヤレス接続などを採用。さらに、11基のスピーカーを配した390Wのアストンマーティン・サウンドシステムを標準で、新パートナーのBowers&Wilkinsと共同開発したサラウンドサウンドシステム(スピーカー15基、1170Wダブルアンプ)をオプションで設定した。
シートについては、確実なサポート性と快適な座り心地を確保したコンフォートシートを装着。オプションでスポーツプラスシートやカーボンファイバー・パフォーマンスシートも選択できる。また、ヘッドライニングはブラック・アルカンターラを標準で、カラー・アルカンターラと内装同系色レザーをオプションで採用した。
肝心のパワーユニットには、進化版の4リットルV型8気筒DOHCツインターボエンジンを搭載。カムプロファイルの変更や圧縮比の最適化、大径のターボチャージャーの採用、冷却性能の強化などを図り、最高出力は680ps/6000rpm、最大トルクは800Nm/2750~6000rpmと、DB11のV8仕様はもちろん、V12エンジン搭載のDB11 AMRも上回る出力特性を成し遂げる。一方、トランスミッションには最終減速比を3.083:1と低く設定した専用セッティングの8速ATをトランスアクスルで組み込み、さらにDBモデルでは初採用となるエレクトロニック・リア・ディファレンシャル(E-Diff)を配備して後輪を駆動。性能面では、最高速度が325km/h、0→100km/h加速が3.6秒を実現した。
シャシーに関しては、前ダブルウィッシュボーン式/後マルチリンク式サスペンションで構成したうえで、Skyhookテクノロジーとインテリジェントアダプティブダンパーを備えたアダプティブダンピングシステム(ADS)を組み込んでトラクション性能を向上。また、操舵機構には可変タイプの速度感応型アシストと2.4回転のロック・トゥ・ロックを備えた固定レシオ(13.09:1)のラックを採用する専用のエレクトロニックパワーアシストステアリングシステム(EPAS)を装備する。さらに、制動機構には前φ400mm×厚36mmディスク+6ピストンキャリパー/後φ360mm×厚36mmディスク+4ピストンキャリパーのスチールブレーキシステムを標準で、前φ410mm×厚38mm/後φ360mm×厚38mmディスクのカーボンセラミックブレーキ(CCB)システムをオプションで採用。そして、ドライブトレインやシャシー、ステアリングなどを統合制御するドライブモードとして、ウェット/GT/スポーツ/スポーツ+/インディビジュアルという5モードを設定した。
なお、DB12の日本における車両価格は2990万円に設定し、デリバリーは本年末ごろに開始する予定である。
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