1954年に自社初の二輪車であるYA-1を発売して以降多くの2ストロークモデルをリリースしていたことから、“2ストのヤマハ”と呼ばれていたヤマハ発動機。
しかし1970年代に世界的な排ガス規制強化が行われ、今後2ストモデルが生き残る可能性は低いと考えたヤマハが“最後の2ストモデル”を標榜して発売したのが、ピュアに走りを追求した渾身の2ストモデル、RZ250である。
それまでの空冷2ストRDシリーズを一新し、新設計ピストンリードバルブ水冷2ストパラレルツインを搭載。リヤサスペンションも空冷RDの2本サスから最新のモノクロスサスペンションに変更が行われた。
その完成度と市販ロードレーサーであるTZとボア×ストロークまで含め同じエンジンレイアウトを採用していたことから、TZのレーサーレプリカモデルとして絶大な人気を獲得した。
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白×赤のカラーリングはレースでのヤマハ本社カラーで、国内向けの350ccや海外向けであるRD-LCはフランス・ソノートヤマハのレーススポンサーだったゴロワーズイメージの青×白を採用していた。
排気量も1980年当時の世界GPのカテゴリー(50、125、250、350、500cc)に沿ったものだったことから、本当にこの1台から1980年代に巻き起こった空前のレーサーレプリカブームが始まったと言っていい。
火炎イメージのキャストホイールやエレガントな曲線を描く燃料タンクなどもヤマハ流。250ccでリッター100馬力を大きく超える35馬力、乾燥重量139kgはハンドリングのヤマハらしいレーシーかつ上質な走りを見せ、400どころか750も圧倒する動力性能を誇ったバイクだったのである。
日本国内では250ccを1980年8月5日に、350ccを1981年3月1日に発売しているため、2020年はRZ誕生40周年の節目となる。
すでにタマ数も少なくなっており、エンジン載せ替えも行っていないフルオリジナル車両は100万円を超えるプライスが付くモデルもある。その人気は今もって衰えておらず、むしろ今後さらに価格が上昇することは十分あり得るだろう。
当記事ではエポックメイキングなRZと、RZの名を冠するモデルたちを紹介していこう。
ヤマハ RZ250(1980年発売)
北米を中心に排出ガス規制が厳しさを増していた当時、2ストで名を馳せたヤマハが最後にして究極のマシンを造ろうという意気込みで生み出したRZ250。1979年の東京モーターショーで大きく賑わいを起こし、数々のメディアでも取り上げられた。
市販レーサーであるTZ250を扮した車体構成を持ちながら、軽快かつ速い車体であることをイメージさせるデザインが特徴的だった。しかも、ナナハンをも超えるゼロヨン性能と最高速の性能を持っていたため、たちまち人気モデルになった。
近年ではお目にかかる機会も減ってきたが、現GKダイナミクスによるデザインは、街中で遭遇すると思わず見とれてしまうほど美しい。
RZ350(1981年発売)
エンジンのボアを54mmから64mmに拡大して347ccとしフロントブレーキをダブルディスク化。この後250と同様350R、350RRへ発展。欧州向けの名称はRD350LC。
RZ250R(1983年発売)
排気デバイスのYPVSを採用し最高出力は43馬力に。フロントブレーキのダブル化やビキニカウルを採用、燃料タンク容量は16.5Lから20Lに拡大された。写真はYSP限定モデル。
RZ250RR(1984年発売)
角型ヘッドライト+ハーフカウルを採用。吸排気系の見直しにより最高出力は45馬力に向上。オプションでアンダーカウルやテールカウルが用意され、それらを使用すればフルカウル化も可能だった。
RZ250R(1984年発売)
RZ250RRが不評だったことから約8か月遅れで投入されたネイキッド版。86年にはホイールデザインを変更。88年にはフロントホイールが18インチから17インチに変更された。
R1-Z(1990年発売)
ネイキッドブームの影響もあり、鋼管トラスフレームや右2本出しサイレンサーで高品質感を追求したヤマハ最後の2スト250ccネイキッド(エンジンはTZR250がベース)。国内メーカーから2スト車が一斉に消える99年まで存続した。現在価格が高騰しつつあるので、欲しい人は急いだほうがいいかもしれない。
まとめ●モーサイ編集部 写真●八重洲出版
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みんなのコメント
真冬はラジエターを半分ガムテープか
ダンボールで塞いで走っていたなぁー
今だと良い思い出です。
オッサンの良い思い出ですね(笑)