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乗用車とはちょっと違う! 独自の進化を遂げるトラック用スタッドレスタイヤ

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乗用車とはちょっと違う! 独自の進化を遂げるトラック用スタッドレスタイヤ

 この記事をまとめると

■冬のドライブにかかせないスタッドレスタイヤ

【今さら聞けない】タイヤの溝に挟まった小石は取るべき?

■トラック用スタッドレスには乗用車用と異なる点がある

■ダンロップの新商品を例に挙げて解説する

 トラック用のスタッドレスは年々進化

 スタッドレスタイヤが実際にタイヤ販売店の店頭を飾るのは、地域にもよるが非降雪地区なら10月ごろからになる。そこから、1月ごろまでが販売のピークであるが、12月初めにドカ雪が降るなどすれば、年内に品薄になることもあるのだ。降雪地区を走る可能性があるのなら、早目に冬支度をしておくことが望ましいだろう。

 スタッドレスタイヤとは、その名のとおりスパイクがついていないスノータイヤのこと。1985年以降、順次スパイクタイヤの使用が規制されたために、その代替として開発が進んできた。大きな特徴は以下の通り。

・柔軟で使用可能な温度範囲の広い特殊なゴムを使用 ・雪を踏み固めて雪柱にし、駆動・制動・横滑り防止などの力を生むために深い溝をもつ ・氷上の水を取り込み、クリップ力を生む細かな溝(サイプ)がある

 ただトラックは乗用車と違って、 ・おもに商用である ・走行距離が長い ・積載物があって車重が重くなる といった特性があり、タイヤには経済性・耐久性・耐荷重性などが高いレベルで求められる。これは、スタッドレスタイヤでも同じことだ。ところが、積雪路、圧雪路、凍結路などに対応するための性能は、これらに相反する部分も多いために、トラック用スタッドレスタイヤ開発の歴史は、そのバランスとの戦いであったともいえよう。

 今シーズンの新製品として発売された、ダンロップ(住友ゴム工業)の小型トラック用スタッドレスタイヤ「WINTER MAXX LV01 for LT」も、そういった開発努力を重ねて生み出された製品だ。その特徴は、氷上制動性、耐久性、氷上旋回性、雪上操縦安定性を大きく向上させたことにある。

 ポイントとなるのは、新開発の「インターロッキングサイプ」である。これは、サイプの形状を工夫して、タイヤ回転方向のサイプ面積を増やしたことで、車両旋回時に引っかき効果を発揮し、横滑りをしにくくするというものだ。さらに、1本のサイプを短くして組み合わせるといったデザインにすることで、トレッドのブロックをつなげてその幅を拡大させた。

 これにより、荷重や重力によるブロックの倒れ込みを抑制し、接地面積を確保して氷上性能向上させている。また、縦溝を3本化するなど新たなトレッドパターンを採用し、接地面積を増やすことで氷雪上性能向上させた。サイプ設計にも工夫を加え、タイヤの摩耗中期でも性能が維持できるようになっている。

 タイヤは車重がかかったときのたわみを考慮して、トレッドのセンター部と両端部で外径に差をつけている。しかし、トラックは乗用車に比べて高荷重時と低荷重時の差が大きく、低荷重時には両サイドが浮いた状態になり、トレッドの設置面積が小さくなる。そこで、その外径差を縮めて荷重による接地状態の変化を抑制。氷雪上性能を維持することに加えて、偏摩耗を抑制して経済性も高めている。

 このように、トラック用のスタッドレスタイヤは年々進化を続けている。注目度が高いトラック本体のドライブサポート装置や、先進安全システムのような派手さはないが、その中身は知恵と工夫が詰め込まれているのだ。タイヤは数ある車両部品のなかで、唯一地面と接して「走る・止まる」に直接かかわる大切なアイテム。早い時期にしっかりと点検をして、厳しい冬に備えておくことが大切だ。

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みんなのコメント

1件
  • ごうまえのり
    積載メインじゃ無ければ乗用車用を履かせます。商用車用は本当効かないですから。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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