6月13日、フランスのサルト・サーキットでWEC世界耐久選手権第4戦『第92回ル・マン24時間レース』の最終予選『ハイパーポール』が行われ、最終盤まで続いた壮絶なアタック合戦の末、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの6号車ポルシェ963(ケビン・エストーレ/アンドレ・ロッテラー/ローレンス・ファントール)のエストーレが大逆転でポールポジションを獲得した。
ル・マンのグリッド決定方式は、2ステージ制。12日に60分間行われた『予選』セッションでの各クラス(ハイパーカー、LMP2、LMGT3)上位8台が、13日20時からの『ハイパーポール』へと進出を決めていた。
【順位結果】2024年WEC第4戦ル・マン24時間 ハイパーポール
セッションは当初20時から予定されていたが、サポートレースでのクラッシュによりガードレールの補修が必要になったことから、スタートは35分ディレイ。曇天の下、気温19度/路面温度21度というコンディションでセッションは始まった。
ハイパーカークラスのアタックドライバーは、2号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・レーシング)はアレックス・リン、3号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・レーシング)はセバスチャン・ブルデー、6号車ポルシェがエストーレ、15号車BMW MハイブリッドV8(BMW MチームWRT)がドリス・ファントール、35号車アルピーヌA424(アルピーヌ・エンデュランス・チーム)はポール・ループ・シャタン、50号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ)はアントニオ・フォコ、51号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ)はアレッサンドロ・ピエール・グイディという面々。
12号車ポルシェ963(ハーツ・チーム・JOTA)は引き続きモノコック交換を行っているため、ハイパーポール出走はかなわなかった。
グリーンフラッグと同時に、23台の車両が一斉にコースへとなだれこんでいく。計測1周目のアタックでは、まずは15号車BMWのファントールが3分26秒701を記録。しかしピエール・グイディの51号車フェラーリが3分26秒142と最速タイムをマーク、これに50号車のフォコが続き、フェラーリ勢がワン・ツーを形成する。
2連続アタックしたフォコは首位に立つが、直後に計測2周目からアタックを開始した3号車キャデラックのブルデーが3分25秒294とコンマ3秒以上フォコのタイムを上回り、暫定首位に立つ。この周はリンの2号車キャデラックも一時3番手につけるが、トラックリミット違反によりこのラップを抹消されている。
ブルデーは翌周もアタックを続けると、3分24秒816にまで全体ベストを縮め、地元の英雄の活躍にサーキットが湧く。
各陣営は一度ピットへと戻り、セッション後半は2セット目のタイヤでのアタック合戦へ。セッション前半にソフトタイヤでアタックした15号車BMWのファントールも、ここで周囲と同じくミディアムへと履き替えている。
各車がウォームアップラップ、そしてアタックラップへと入るなか、15号車BMWのファントールがインディアナポリスでアウト側へとコースオフし、フロントをバリアへと接触させたのち、グラベル上にストップ。このためセッションは7分41秒を残して赤旗中断となった。
セッションは21時05分に再開。この時点でトップタイムを記録している3号車キャデラックのブルデーはすでにマシンを降りており、チームスタッフから好走を労われた。
再コースインを果たした車両は、最大2周のアタックが可能に。50号車のフォコは1周目のダンロップシケインでマシンのバランスを失い、最終ラップにかけることに。
2号車キャデラックのリンは自己ベストを更新し5番手にポジションアップを果たすも、すぐさま6号車ポルシェのエストーレがこれを上回る。
リンとエストーレはチェッカーが振られるなか、最終ラップもアタックを続け、さらなる上位進出を狙っていく。
まずはリンが3分24秒782とブルデーを上回り暫定首位に立ち、歓声がまき起こる。
しかし直後にフォードシケインを火花を散らしながら駆け抜けてきたエストーレが、わずか0.148秒、リンのタイムを上回る3分24秒634という全体ベストを刻み、タイミングモニター最上段へ。チェッカーが振られる中の逆転劇に、サーキットは大歓声に包まれた。
第92回ル・マン24時間レースのポールポジションは、6号車ポルシェ963が獲得。2~3番手には2号車、3号車の順でキャデラックVシリーズ.Rが並び、以下51号車フェラーリ、50号車フェラーリ、35号車アルピーヌと続くオーダーとなった。
なお、赤旗原因となった15号車は再開後のセッションへの参加を許されず、ハイパーポールにおける全ラップが削除されている。
■ふたりの日本人ドライバーがハイパーポールに出走
LMP2クラスでは、序盤のアタックでAO・バイ・TFの14号車オレカを駆るルイ・デレトラズが最速タイムを記録。これに宮田莉朋のチームメイト、マルテ・ヤコブセンがアタックしたクール・レーシング37号車が続いた。
赤旗後、クール・レオシング37号車は再コースインせず。終盤はハイパーカークラス同様、ベストタイム更新合戦となったが、AO14号車のデレトラズが再度好アタックを見せ、プロ/アマカテゴリーながらクラスポールポジションを手にしている。2番手はIDECスポールの28号車、3番手はパニス・レーシング65号車となった。クールの37号車はクラス6番手でハイパーポールを終えた。
ブロンズドライバーがアタックするLMGT3クラスでは、82号車シボレー・コルベットZ06 GT3.R(TFスポーツ)で小泉洋史が、777号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3(Dステーション・レーシング)で星野敏が出走。
序盤に首位に立った70号車マクラーレン720S GT3エボ(インセプション・レーシング)のブレンダン・イリベが、中盤に最終コーナーでスピンを喫する場面があったが、その後走行を続けた。
赤旗からの再開後もイリベはタイムを縮め、クラスポールを獲得。2番手はアレックス・マリキンがアタックした92号車ポルシェ911 GT3 R LMGT3(マンタイ・ピュアレクシング)、3番手はジャコモ・ペトロベッリの66号車フェラーリ296 LMGT3(JMWモータースポーツ)というオーダーに。
星野の777号車アストンは赤旗後のアタックはせず、クラス6番手。小泉の82号車シボレーはクラス7番手となった。
このあとフリープラクティス4のナイトセッションが行われた後、翌14日(金)には走行セッションはなく、ACOフランス西部自動車クラブの記者会見や、ル・マン市内でのドライバーズパレードなどが行われる。決勝は15日(土)の16時(日本時間23時)にスタートが切られる予定だ。June 13, 2024
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