■「超格安小型EV」の五菱、小型プレミアムEV「AirEV」を発売
昨今、各所で話題となっている「超格安EV」の上汽通用五菱「宏光MINIEV」。
2020年8月の発売当初はその「46万5000円」という衝撃的な価格設定が話題を集め中国でベストセラーになるだけでなく、世界でも大きなニュースになりました。
【画像】小さいけどプレミアムな新型「AirEV」が凄い!(33枚)
現在は値上げされて3万2800元(邦貨換算:約66万5000円)となっていますが、それでも2021年の累計販売台数は42万6484台を記録し、販売台数ランキングではテスラ「モデル3」などのEVを抑えて2位に輝きました。ちなみに、1位は日産「シルフィ」です。
宏光MINIEVを製造・販売する上汽通用五菱は、上海汽車とアメリカのゼネラルモータース(中国語名:通用汽車)などが設立した合弁会社です。
上汽通用五菱は、以前から小型バンとしての「宏光」シリーズを販売しており、すでにその時代から人気の車種でした。
2010年に最初のモデル「宏光」がローンチされて以来、より大型の「宏光S1」や、SUVの「宏光S3」、「宏光PLUS」などの派生車種が展開中。
2017年と2018年の2年間は販売台数50万台以上を記録し、小型ミニバン部門のみならず、中国で販売されている全乗用車のなかでも販売台数首位の座に君臨しました。
その後は台数を減らしながらも、依然として販売好調なミニバンであることは確かであり、2021年では25万5922台を販売し、乗用車年間販売台数ランキングでは9位に位置しています。
元の車種が培ってきた評判もこの格安EVへの爆発的人気に少なからず影響していることでしょう。
そんな宏光MINIEVを展開する上汽通用五菱ですが、今度はより「プレミアム」志向な超小型EVを発売します。
「AirEV」(エアEV)と名付けられたこの超小型EVは、より直線的なラインで構成されたエクステリアデザインが特徴的。
宏光MINIEVはポップで可愛らしい印象でしたが、この新しいAirEVは未来的で高級感を感じさせるデザインとなっています。
ボディサイズは全長2974mm×全幅1505mm×全高1631mmとなっており、宏光MINIEVの全長2917mm×全幅1493mm×全高1621mmのボディサイズに近い印象です。
それもそのはず、このAirEVは宏光 MINIEVが採用するGSEV(グローバル・スモール・エレクトリック・ビークル)プラットフォームにおいて、3車種目の採用車種となるからです。
ただ、宏光MINIEVと決定的に違う点がいくつかあります。まず、今回のAirEVは2種類のボディタイプを用意するという点。
宏光MINIEVは4人乗りモデルのみの設定でしたが、AirEVではホイールベースが1635mmの2人乗りモデル、そして2009mmの4人乗りモデルの2モデルを用意しています。
そして、宏光 MINIEVでは航続距離(CTLC基準)が120 km(容量9.3kWh)と170km(容量13.8kWh)となっていましたが、AirEVはそれを遥かに上回る200kmと300kmのモデルを用意。
モーターも出力30kWと50kWの2種類を展開するとしており、より実用性を重視した超小型EVとなっています。
■小型プレミアムEV「AirEV」が「G20」オフィシャルカーに決定!
五菱は2022年6月1日、中国に先立ってインドネシアでAirEVを発表しました。
これを以て、AirEVはグローバルで展開されることとなります。インドネシア向けモデルは中国で生産されるモデルではなくキットを輸入して現地で組み立てる「CKD方式」を使い、インドネシアの西ジャワ州ブカシ県チカランにある「SGMWモーター・インドネシア」の工場で製造されています。
このCKD方式を用いて海外で製造するという手法は、今に始まったわけではありません。
宏光MINIEVも2021年から同様の手法を用いて、リトアニアの自動車会社「ニクロブ(Nikrob)」がリトアニア国内で生産「フリーズ(FreZe)」という名前で販売しています。
このような手法が用いられるのは、中国が国連欧州経済委員会(UN-ECE)による協定規則(通称:58協定)の締約国ではなく、中国製の自動車が各国の認証基準に適合しないからというのも理由のひとつです。
ノックダウン生産方式を採用することで、国内向けの登録・販売だけでなく、同じ認証基準を採用する諸外国への輸出も可能となるのです。
AirEVは2022年11月にインドネシアで開催されるG20サミットのオフィシャルカーにも選ばれたことから、世界中から注目を集める機会が今後ますます増えるでしょう。
中国でも6月初めに発表済みで、2022年下半期に販売を開始。中国では宏光MINIEVを模倣したような後追い車種も多数登場し、超小型・超格安EV市場の競争が激化しています。
それらのEVとは一線を画し、グローバルでの展開を視野に入れた「ワンランク上」の小型上級EVであるAirEVがどのように受け入れられていくのか、日本への輸入はあるのか、これからの展開が楽しみです。
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あっ、税込ね?