プレーオフ進出権最後の枠を賭けたレギュラーシリーズも、残るは2戦。引き続きのロードコース勝負となった2023年NASCARカップシリーズ第25戦『ゴー・ボウリング・アット・ザ・グレン』は、決勝90周中66周をリードしたウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が、ロードでの自身初勝利を挙げると同時に、キャリアハイの年間5勝目に到達。
一方、怪我によるシーズン途中離脱の穴を埋めるべく逆襲を期すチェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)だったが、燃料計算の不備というまさかのミスで32位フィニッシュとなり、積み重ねてきた8年連続のチャンピオンシップ出場権獲得に黄色信号が灯った。
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翌週デイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催されるレギュラー最終戦を前に、ここワトキンス・グレンではプレーオフ進出当落線上のランキング16位をめぐる争いが激化する一方で、すでに複数勝利を挙げたドライバーらを中心に、レギュラーシーズンのチャンピオンシップを巡る争いも白熱。
予選ではその当事者のひとりであるデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)が、新たなマイルストーンとなるキャリア40回目のポールポジションを獲得した。
「コーナーをかなりうまく回れたと思う」と、選手権首位の僚友マーティン・トゥルーエクスJr.(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)をランク2位で追うハムリン。
「まだもう少し詰められたかもしれないと思うところがいくつかあったが、あれほど良い状態だったら細かいことを気にするべきじゃないね」
明けた日曜の決勝ではフロントロウに並ぶバイロンや、前戦インディアナポリス勝者のマイケル・マクドウェル(フロントロウ・モータースポーツ/フォード・マスタング)らを従え、そのハムリンがターン1を制したものの、やはり“一皮剥けた”大舞台強者マクドウェルが11号車カムリを追走。序盤で首位奪取に成功すると、そのままステージ1を制覇する勢いを見せる。
一方、年間未勝利のままランキング17番手でこの週末に臨んだダニエル・スアレス(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)は、レース開始わずか5周目の“バスストップ”で姿勢を乱し、最終的に22位と逆転プレーオフ進出には次戦の『勝利』が必須の状況に追い込まれる。
■痛恨の計算ミス。「ここへ来ての代償は大きかった」とHMSのジェフ・ゴードン
さらにステージ2ではHMSのエース車両たる9号車にも異変が生じ、エリオットは残り23周の時点で異例の計算ミスによる燃料切れとなり、力なくコース上で停車。静かなレース展開で唯一のコーションを引き起こし、給油のためピットへ引き戻される。リスタート後はラップダウンで復帰したものの、やはり32位までの挽回が精一杯となってしまった。
「これは1台のクルマが非常に好調だったとき、我々のような4台のクルマからなるチームが抱える、ある種の苦しみのようなものだ」と、失意のエリオットに代わってこのトラブルについて語ったのは、現在HMSのエグゼクティブディレクターを務めるジェフ・ゴードン。
「それは、どんな間違いも犯してはいけないということを示しているだけだ。残念ながら我々にはいくつかのミスがあった。それは明らかに9号車の計算ミスであり、ここへ来てのその代償は大きかったね……」
これで主役に躍り出たのはバイロンとハムリンで、背後にはトヨタ陣営の護衛として、まだプレーオフ進出が射程圏内のルーキー、タイ・ギブス(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)も引き連れ、レース中はつねにトップ5圏内で走行を続けていく。
しかし前半戦の主役マクドウェルも電装系トラブルで去るなか、チェッカーフラッグまでの最後の10周はバイロンの独壇場となり、シャーロット出身の25歳がハムリンを2.632秒差まで突き放す独走優勝を飾った。
「これがキャリア最高に支配的なレースだったかって? それについては少し考えなくちゃいけないね」とご機嫌の表情で応じたバイロン。
「でも本当に気分が良いのは間違いなく、これは僕を支えてくれたレースチームの功績だ。初めてのロードコースでの勝利だし(メンター兼アドバイザーの)マックス・パピスに感謝したい」と続けたバイロン。
「今週は自宅に新しいシミュレーターが届いたし、それでiRacingではたくさんの周回を重ねたんだ。素晴らしい勝利だし、僕らが最高の状態にあるとき、このようなパフォーマンスができることを示しているよね」
後方では、それぞれ15位と21位でフィニッシュしたRFKオーナー兼ドライバーのブラッド・ケセロウスキー(RFKレーシング/フォード・マスタング)と、今季限りで勇退のケビン・ハーヴィック(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)がポイントベースでのプレーオフ進出を確実にし、残るはひと枠。
当落線上ランク16位のダレル“バッバ”ウォレスJr.(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)に対し、次戦レギュラー最終戦では同陣営のギブスや、スアレスらとの勝負が待ち受ける。
併催されたNASCARエクスフィニティ・シリーズ第23戦『シュライナーズ・チルドレンズ200』は、最終リスタート勝負を制したサム・メイヤー(JR モータースポーツ/シボレー・カマロ)がシリーズ通算2勝目を飾っている。
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