ジョセフ・ニューガーデンは現在26歳。2011年にインディライツでチャンピオンになり、2012年にサラ・フィッシャー・ハートマン・レーシングからインディカーへとデビューした。
トップカテゴリーでの初年度はトップ10フィニッシュすら無く、ランキングはレギュラー内ほぼ最下位の23位だった。それでもチームが起用を続けると2015年、テネシー州出身インディカードライバーに転機が訪れた。
インディ第4戦:雨に翻弄されたレースをニューガーデンが制す。琢磨は8位入賞
3シーズンを戦ってマシン、タイヤ、コースなどすべてに慣れたところで、マニュファクチャラーのエアロ対決がスタート。彼の所属チームは前年に3勝を挙げて上昇機運にあったエド・カーペンター・レーシングと合併し、CFHレーシングに生まれ変わった。
ニューガーデンにとっては、一緒に戦うマニュファクチャラーがホンダからシボレーに変わったが、その年のエアロでシボレーがアドバンテージを持っており、ニューガーデンはシーズン序盤の第4戦でキャリア初優勝をマーク。第10戦トロントで2勝目を挙げ、第12戦ミルウォーキーで初ポールポジションも獲得と一気にトップコンテンダーの仲間入りを果たした。
翌2016年にはアイオワでの第10戦でキャリア3勝目を記録。優勝は1回だけだったがトップ5フィニッシュ6回でシリーズランキングでキャリアベストのシリーズ4位につけた。この年、彼より上のシリーズ・トップ3に並んだのはシモン・パジェノー、ウィル・パワー、エリオ・カストロネベス。チーム・ペンスキーのドライバーだけだ。
そして翌2017年をニューガーデンはチーム・ペンスキーの一員として迎えられる。百戦錬磨の先輩3人の中に放り込まれても彼は気後れすることなどなく、最強チームでさらに力を伸ばしていった。
パワーは6回のPP獲得でスピードを見せつけ、パジェノーは持ち前の安定感をシーズンを通して発揮した。しかし、シーズン終盤を迎えて最強の存在となっていたのはニューガーデンで最終戦までの6戦で3勝!
最終戦ではパワー、パジェノーを抑えてPP獲得。レースでも2位フィニッシュを果たしタイトル獲得を決めた。
■ライバルのチームメイトふたりを抑える順調なシーズンスタート
チーム・ペンスキー入りした最初の年にチャンピオンとなったニューガーデン。彼はコースを選ばず速く、予選でのパフォーマンスも向上中。2018年シーズンを3カー体制で戦うチーム・ペンスキーの中でいちばんキッチリと成績を出すドライバーになっている。
ディフェンディングチャンピオンとして戦う彼にはプレッシャーも大きくかかっているだろうが、それに押しつぶされる気配もなければ、気負い過ぎていることも感じられない。
彼には運も味方している。2回の優勝はどちらも終盤のピットストップが重要な鍵を握っていたが、いずれのケースも結果的に正解であっただけ。裏目に出て大きな痛手を被る可能性も十分にあった。
第2戦フェニックスで終盤にトップを立った彼の走りは見事だったが、ゴール前にフルコースコーション発生。レース再開後はゴールまで10周以下のバトルになると見られた状況で、タイヤ交換のためのピットストップに入った。
彼らと同じ作戦を選んでピットに向かったチームが圧倒的に多かったことで、ニューガーデンの順位の下げ幅は最小限に抑えられ、優勝するのに3台をパスするだけでよかった。ステイアウト組が倍の6台だったら、ロバート・ウィッケンズとジェイムズ・ヒンチクリフのシュミット・ピーターソン・モータースポーツ・コンビに逃げ切られていたかもしれない。
そして今回のバーバーでは、雨が降り出したレース終盤にいち早くウエットタイヤに交換。その時点までに大量リードを築いていたのはニューガーデンの実力だが、雨がどの程度の路面コンディションを変えるのか、雨が止んでレーシングラインが乾き始める可能性はないのか、もう何周かコース上に残って展開を見極めるのが正しい判断だったはずだ。
ライバルたちが彼との差を縮め出してからタイヤ交換をしても全然遅くなかった。しかし、雨脚が弱まってスリックの方が有利となる展開も考えられた中、ピットはニューガーデンを真っ先にピットに呼び入れた。
4戦で早くも2勝のニューガーデンは獲得ポイントが158点で、2番手につけるアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)に13点、3番手のセバスチャン・ブルデー(デイル・コイン)に39点差をつけてのランキングトップにいる。このまま彼は逃げ切り体制へと入るんだろうか。
新入りがスタートダッシュで大きくポイントリード。パワーはもはやニューガーデンとどちらがベテランなのかがわからない状況に陥っている。開幕から予選2番手、3番手、2番手と来て、今回がまた2番手だったパワー。
レースでは第3戦ロングビーチでスピードを見せたが、ロッシが彼より速く2位でのゴールとなった。PPも勝利も獲得できずにイライラしていたところへ、今回はタイヤの使用状況でアドバンテージを手に入れながら、それを活かし切れずに予選2番手となって精神的安定が大いに揺らいだらしく、ウエットレースの序盤にアクシデントを起こした。シリーズポイントは4戦終了時点でニューガーデンの半分より少し多い81点で、ランキングは10番手だ。
パジェノーはある意味でパワー以上に苦しい。彼らしい安定感の高さをまったく発揮できていないのだ。連続上位フィニッシュを記録していた昨シーズンとは真逆の大不振で、ようやく第4戦にしてシーズン初のトップ10入りを果たした。
新しいユニバーサルエアロキット装着マシンのドライビングの難しさを大いに歓迎し、楽しんでいるというパジェノーだが、それとは裏腹に獲得ポイントは66点で、ランキングは15番手に沈んでいる。
パワーとパジェノー、ニューガーデンの先輩チームメイトふたりがどこまで巻き返すか、シーズン中盤戦からに彼らの戦いぶりに注目したい。
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