未来のレーシングカーとは
伊フェラーリがワンオフ・シリーズの最新作「フェラーリKC23」を発表した。
【画像】フェラーリ最新作「KC23」 リアウイング有り/なし【見比べる】 全15枚
驚くことに、1台で2種類のルックスを使い分けるという。
ある特別なコレクターの依頼で作られたスペシャル・プロジェクト・プログラムの最新作であり、「未来のクローズド・ホイール・レーシングカーはこういった姿かもしれない」という大胆なビジョンを形にしたとされている。
フラヴィオ・マンゾーニ率いるフェラーリ・スタイリング・センターがデザインを担当。488GT3エボ2020のプラットフォームからレイアウト/シャシー/エンジン/サスペンション・セットアップが受け継がれた。
“競技以外”のサーキット・ドライビングに特化して開発されており、ホモロゲーションの制約を完全に排除したことで、異例とも言える1台で2種類の仕様を実現したという。それはどういう意味か?
走り出すと、もっとスポーティに
具体的には、静止状態では、クリーンで流麗なフォルムが際立つ「エレガンスとピュア」を求めたスタイリング。
そして、ひとたびコースに出ると、自動で開くエア・インテークや脱着式の堂々としたリアウイングがビジュアルを支配する「レーシングカーならではのスポーティさ」を形にした。
例えば、両サイドのエア・インテークは、ミドに搭載するV8ツインターボを始動すると自動で開き、「使う目的によって姿を変える生き物のような印象」を与えてくれる。
リアウイングは取り外しができるため、コース外ではクリーンで端正なボディラインが見るものの視線を奪う。
ボディ表面は滑らかで継ぎ目のないよう処理され、鋭角な部分を最小限にまで減らしたのも特徴。「無駄のないしなやかでピュアな美しさが引き立てられる」とフェラーリは紹介している。
そしてドライバーがエンジンを始動すると、その姿が変貌し、フロント・タイヤ後方のパネルからはフェンスが出現。これがフロント・ダウンフォースを押し上げて、車両全体の空力バランスを高める。
さらに、リアのパネルからはインテークが現れ、ここからインタークーラー、補機類、エンジンに適切な量の空気が供給されるわけだ。
内装はレーシングカーそのもの
KC23のバタフライ・ドアは、1か所のフロント・ヒンジで上方へ開くタイプ。
インテリアは、パッセンジャー側のドア・パネルとダッシュボードの仕上げがベース車と異なるが、それ以外は「488 GT3エボ2020」から極力引き継いだ。
なお、KC23専用のシートはアルカンターラでトリミングされ、そこにロゴが電気融着されている。
後方視界はビデオカメラ・システムで確保。伝統的なフェンダー・ミラーを排除してエアロダイナミクスも追求した。
ガラス面さえデザイン理念の影響を受けており、ボディワークとシームレスに一体化。ピラーもフレームもシールも見えず、「明らかに航空技術から生まれたドーム」という印象だ。
フェラーリは、KC23を「3年に及ぶ開発を終えて、マラネッロの全製品の中で最もエクスクルーシブなグループに加わりました。たった1人のクライアントの指定に従って作り込まれたビスポークモデルであり、フェラーリのパーソナライゼーション戦略の頂点に位置します」と説明し、1台で2種類のルックスという新たな試みに自信を見せている。
一般公開は、7月13日から始まる英グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードの舞台だ。
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