2021年4月19日、トヨタと第一汽車の中国合弁会社、一汽トヨタが「上海モーターショー2021」において、クラウンクルーガー(RAV4ベース)とクラウンヴェルファイア(ヴェルファイアベース)を発表した。
なかでも、話題を集めているのが、クラウンヴェルファイア。日本のヴェルファイアのフロントグリルに王冠マークを付け替えただけのものだが、王冠マークの威力なのか、オラオラ顔の威力が増したように見えるのが不思議。
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現在、日本のヴェルファイアは4月28日の一部改良で、特別仕様車のゴールデンアイズIIのみのラインナップとなり、これがいわば最終モデル。次期アルファードがデビューする2022年末に廃止される見込みだ。
そんななかにあってのクラウンヴェルファイアの発表。そこで、次期クラウンSUVの最新情報とともに流通ジャーナリストの遠藤徹氏が解説する。
文/遠藤徹
写真/一汽トヨタ
【画像ギャラリー】上海モーターショーに降臨!! 一汽トヨタの新型高級車 クラウンヴェルファイア&クラウンクルーガー 日本発売はあるか?
クラウンヴェルファイアは日本で発売する可能性はあるのか?
一汽トヨタが上海モーターショー2021に出展したSUV、クラウンクルーガー
こちらはクラウンヴェルファイア。日本のヴェルファイアに王冠がついただけだが、なぜか押し出し感が倍増してみえる
2021年4月28日発表、5月10日に発売されたヴェルファイアの特別仕様車”ゴールデンアイズII”。現在はこのグレードだけのラインナップとなる
今回、一汽トヨタが発表した、クラウンヴェルファイアは、クラウンクルーガーと合わせ、中国市場での高級MPVニーズに向け、高級車としてのブランドバリューのあるクラウンの名をつけて売っていきたいという狙いがある。一汽トヨタのホームページで大々的にアピールしている皇冠=クラウンは、中国名ではファンクァンと呼ばれる。
ちなみにアルファードはトヨタと広汽集団の合弁会社、広汽トヨタが販売し、さらにアルファードの高級版としてレクサスはLMを販売している。
クラウンヴェルファイアは全車2.5Lのハイブリッドで、7人乗り仕様。ステアリング中央のロゴはトヨタマークだがディスプレイやメーター内の液晶にはクラウンの王冠マークが表示され、ツインムーンルーフが装着されるなど豪華仕様となっている。価格は83万元~92万元(約1390万~1530万円)の3グレード展開だ。
クラウンヴェルファイアのインパネ。ステアリングとリアのエンブレム以外はクラウンのロゴで統一されている
クラウンヴェルファイアのインテリアは全車7人乗り仕様
ちなみに一汽トヨタは2002年8月に一汽集団とトヨタが設立した合弁会社で、日本以外で初めてクラウンセダン(ゼロクラウン~)の生産&販売したが、2020年3月には生産を終了している。
トヨタ関係者および都内の販売店営業担当者に話を聞くと「そうした情報は一切入っていない。アルファードのネーミングを冠するならまだしも、モデルが近く廃止されるはずのヴェルファイアのブランドを使うのは考えられない」と一様に同じようなコメントが返ってきた。
実際、国内向けの商品展開でクラウン、アルファード/ヴェルファイア関連は2022年秋から年末にかけてふたつの新型車開発プロジェクトが動いているのを確認済みだ。
トヨタは2021年4月28日にアルファードの一部改良を発表。ラインナップが人気グレードに集約されたほか、ワンタッチスイッチ付デュアルパワースライドドアが全車に標準装備された
アルファード/ヴェルファイアは2021年4月28日に一部改良が行われた。アルファードは従来通りのグレードを継承しているが、ヴェルファイアは特別仕様車の「ゴールデンアイズII」のみのラインナップとなり、ほかのカタログモデルはすべて廃止。つまりこれが最終モデとなり、ヴェルファイアの廃止が近いことを示している。
首都圏にあるトヨペット店とネッツ店を数件回ったところ、店頭に置いてあるカタログはひとつにまとめられ、表紙の表題には「アルファード/ヴェルファイア」を併記されていた。ヴェルファイアの特別仕様車と同じ装備内容でアルファードにもS“タイプゴールドIIという特別仕様車が設定されている。
しかしながら受注ベースでの両モデルの販売実績はすでに90%以上がアルファードで、10%弱がヴェルファイアであり、ヴェルファイアはほとんど売れない状況にある。売れ筋の2.5Lクラスの約3~5年後のリセールバリューはアルファードのほうが20万円も高くなっている。
2022年末の次期アルファード登場時にヴェルファイア生産終了
基本的にキープコンセプトとなる次期アルファードだが、Aピラーは空気抵抗軽減のためより強く寝かされ、前面から見た印象は現行とはかなり異なるという(CGイラストはベストカーが制作したもの)
現在の最新情報では、次期アルファードのデビューは2022年末あたりが有力。現行モデルの登場が2016年1月26日だったから、約6年ぶりのフルモデルチェンジとなる。
キープコンセプトながら、TNGAによる新開発のプラットフォームを採用一段の上級シフトによる世代交代となる。ボディサイズは全長、全幅はほぼ同じだが、全高を若干引き下げることで、走行安定性を向上させる。
パワーユニットは2.5L&3.5Lのハイブリッドを搭載する見込み。現行モデルは2.5Lと3.5LのガソリンNAと、2.5Lのハイブリッド(4WD)だが、次期型はすべてハイブリッドとし、ガソリンNAは設定しない見込みである。
これは近い将来の電動化の流れに先行させるため。中心となる売れ筋の2.5Lハイブリッドは現行モデルでは4WD車のみであるが、次期型では2WD車も設定されるので、リーズナブルな価格設定が可能となる。
ハイブリッド用のバッテリーは従来のニッケル水素からより高効率&コンパクトなリチウムイオンバッテリーのユニットに切り替えられるので、燃費が大幅に向上するだけでなく、スペース効率も良くなるので、そのぶん、室内居住空間を拡大することが可能になる。
次期クラウンはやっぱりSUVになるのか?
2020年11月に中日新聞が報道した次期クラウンのSUV化構想は大いに話題を呼んだ(CGイラストはベストカーが制作したもの)
令和のクラウンが見えた! 次期型SUV化への真相判明!
そして、もう1つは次期クラウン。2022年秋の投入が有力で、セダンを廃止し、新型ラグジュアリーSUVとして投入されるのが有力。
次期クラウンSUVは、プラットフォーム&基本コンポーネントはRAV4、ハリアーといったSUVにも使われているGA-Kが採用される可能性が高く、ハリアークラスになる見込み。サイズは全長4800mm程度、全幅1800mm程度と現行クラウンに近いものになるという。パワーユニットは現行クラウンと同じ2Lターボ、3.5L、2.5Lハイブリッドが予想される。
2020年11月11日、中日新聞が一報を打ち、その後読売などの大手新聞が追従した次期クラウンSUV化の記事、11月23日にトヨタイムズが報じた「世界大会取材」以降、動きはない。
テレビCMでもよく知られているトヨタイムズは、俳優香川照之扮する編集長がトヨタのあらゆる活動をレポート形式で伝えていく異色CM。
そのCMはYouTubeなどオンラインでも配信されているが、2020年11月23日、トヨタイムズ「世界大会取材」のタイトルで、サブに「極秘映像を香川編集長が見た!」をつけて配信している。
そのなかに、新型クラウンの映像が流れ、豊田章男社長が説明し、香川編集長が「えっ!? やっちまったなあ! だからマイナーチェンジする代わりにこうするの?(中略)このクラウンすげーぞ、見ちゃったぞ!」と驚く。
現状では、まだクラウンがSUVになるというのは、憶測の域を出ておらず、もしそうであったとしても、これまでのセダンは法人需要向けを中心に、当分は販売される可能性もある。
クラウンユーザー、特に法人需要がアルファードに移行したことがアルファードバカ売れの要因
2018年6月に発売された15代目クラウン。セダンの不人気に加え、トヨタの全店舗販売が解禁されたことも販売不振に響いている。クラウンの専売ディーラーであったトヨタ店ではアルファードやハリアーへの乗り替えが生じている
現行クラウンの売れ行きが大幅なマイナスとなり、逆にアルファードが月販1万台規模で売れるほど好調に推移しているのは、これまでクラウンの中心ユーザーだった高額所得者、法人層の多くがアルファードにシフトしているからでもある。
現行アルファードの見た目の押し出しのよさ、造り、高級感、使い勝手、静かで安定感のある走り、ポテンシャルの高さはクラウンを大幅に上回るようになっている。
アルファードの人気NO.1グレード、S“Cパッケージ”の7人乗り。シート素材には合成皮革を採用
クラウンは走りや作りでは一級品であるが、室内の居住空間、使い勝手、乗降性ではアルファードのほうが圧倒的に優れている。
企業の役員クラスのユーザーにとってアルファードは、室内高も高く、オフィスにいる感覚そのままだ。パソコンを携え業務もできるし、いざという時は3列シートだから、室内での会議も可能といった利便性もメリットとなっている。
ノア、ヴォクシーを高級仕様に仕立てて売れたエスクァイアのように、ヴェルファイアの上の豪華仕様として、クラウンヴェルファイアのニーズが日本国内にあるとは思えなくはないが、クラウンのバッジだけを付けただけの現状のクラウンヴェルファイアはそんなに売れるとは思えない。
むしろ、クラウンSUVに続いて、新たな高級ミニバンとして、アルファードのさらに上をいくクラウンミニバンシリーズが登場することを期待したい。
証言1:トヨタ関係者
ヴェルファイア級の大型ミニバンがクラウンの一種として発売される未来、それはそれでありだ
「次期クラウン、次期アルファードのどちらも2022年秋から年末にかけてフルモデルチェンジすると聞いています。トヨタのフラッグシップとしてクラウンのブランド力は絶大ですが、ヴェルファイアにクラウンという名を冠するのは、中国では成功すると思いますが、日本では難しいのではないでしょうか。
ヴェルファイアはアルファードと統合されるのは聞いておりますが、統合されるヴェルファイアにクラウンマークを付けて日本では売ることはないと思います。
まだ“正式”には次期クラウンがSUVになるという情報を聞いておりませんが、SUV、ミニバンにクラウンの王冠マークをつけたクラウンシリーズが発売されると、現状のクラウンセダンより、販売が大きく伸びるかもしれませんね」。
【画像ギャラリー】上海モーターショーに降臨!! 一汽トヨタの新型高級車 クラウンヴェルファイア&クラウンクルーガー 日本発売はあるか?
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みんなのコメント
ドブに捨てる事になったのは間違いない。
ファッションと同じで車の流行りも時代と共に変化する。ただ広いだけでデザインなんて
似たり寄ったるのワンボックスやミニバンに飽きて、また4ドアセダンが人気になった時に
”クラウン”という名車を捨ててしまった事を後悔する事になると思う。
まぁそうなったらそうなったで、スープラのように他社の車を使ってみっともない”クラウン”が
世に出るんでしょうけど。今度はメルセデスですかね?(笑)