この記事をまとめると
■2023年のニュルブルクリンク24時間レースにはオペル・マンタが出場していた
世界的に注目される「ニュル24時間レース」も「偉大なる草レース」と呼ばれる! そもそも草レースって何?
■オペル・マンタのドライバーはオーナーで74歳のオラフ・ベックマンをはじめ全員50歳を超えている
■2024年のニュルブルクリンク24時間レースには参戦できなかったようで世界中から復活が望まれている
1980年代のオペル・マンタがニュル24時間レースに出場・完走!
オペル・マンタが、117周を完走し、総合74位/クラス2位でフィニッシュ。マンタをドライブしたフォルカー・ストリチェクは、ニュル24時間レース45回目の出場を果たし、自身のもつ最多出場記録を更新。
2023年、ニュルブルクリンク24時間レースのニュースで「え? ちょっと待って!」となったのは決して筆者だけではないでしょう。オペルのマンタなんて1980年代のクルマが出場&完走だと? 45回も出場してるってドライバーは何歳だよ! 突っ込みどころ満載ですが、じつはドイツでは心温まるお馴染みのレーシングヒストリーなのでした。
ニュルブルクリンク24時間レースといえば、市販車ベースの耐久レースとして世界最高峰に位置するもの。ファクトリーマシンや有力プライベーターが多数集結して、それはもうレーシーで華やかな一方、アマチュア精神が尊重され「世界一の草レース」と呼ばれることもある異色といえば異色なレース。そして、この異色さを増しているのが冒頭でご紹介したエントラント、オペル・マンタの存在でしょう。
ドイツの実業家として知られるオラフ・ベックマン氏が率いるチームは、1994年からずっとニュル24時間にエントリーしており、完走はもとより、それなりの成績を残してきたのです。
そもそもマンタは1974年に二代目がデビューという超ベテランマシン。当時はグループBラリーへの参戦が盛んだったようですが、ベックマン氏はオペルのチューナーとして有名だったキスリングモータースポーツに「耐久レース出たいから、仕上げてよ」とオーダー。1800ccの4気筒DOHCはキスリングによって2000ccまでスープアップがなされたほか、16バルブヘッドはその後オペル・カデットGSiのものへとコンバートして、最高出力は255馬力を発揮するなど、かなりのチューンアップ。
しかも、レーシングトリムがなされた車体はわずか930kgといいますから、意地悪&ハイスピードなコーナーが続くノルドシュライフェでも戦闘力は十分以上ではないでしょうか。
熱烈なファンの要望でマンタの特別参加が許可されるという奇跡
とはいえ、600馬力を優に超えるGT3クラスのマシンと互角に戦えるわけでもありません。パワステもついていないマンタに乗るのは74歳のベックマン氏をはじめ、フォルカー・ストレイチェク(63)、ペーター・ヘス(58)、そして最若手のユルゲン・シュルテンでさえ50をとうに過ぎたドライバー。これでは、長年エントリーしている「マスコット」的存在と思われても仕方ありません。
が、実際はガチなレースを展開しているようで、トップグループと張り合うこともしばしば。自然吸気2リッターエンジンのSP3クラスとなるのですが、トヨタ・カローラで参戦したタイのチームとやり合って、立派に叩きのめしたこともあるとか。しかも、ルールが変更され70kgのウエイトハンデが課せられてのことといいますから、もはやド根性レーシングというほかありません。
また、このマンタは1980年代の骨董品かのように見られがちですが、実際には911GT3のリヤウィングを流用したり、ボンネットやドア、エアロパーツのほとんどをドライカーボンで製作するなど、それほど流行遅れというわけでもなさそうです。
ちなみに、オペルはドイツの中産&労働者階級から絶大な支持を得ているブランドということもあり、サッカー並みの熱狂的ファンが存在することでも有名です。ド根性マンタに対する彼らの応援ぶりといったらなくて、これまたニュル24時間の名物にすらなっているとか。
2011年には生産終了から10年以上経ったマシンは参加が出来ないようルール変更されたものの、ファンの熱烈な要望に応えてマンタは特別に参加が許されるようになったと聞けば、いかに愛されているかがおわかりいただけることでしょう。
残念ながら2024年のレースには参戦できなかった模様ですが、その復活を望む声はドイツ国内にとどまることなく世界中から寄せられたようです。ド根性で戦うマンタ、自分の目で見てみたい、応援したいと思ったのは決して筆者だけではないでしょう。
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みんなのコメント
私もいつか触れてみたい。