アウディQ4 eトロン・スポーツバックの姉妹
text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
【画像】増加する純EVクロスオーバー VW ID.5 GTX プロトタイプ 競合モデルと比較 全123枚
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
フォルクスワーゲンの純EV攻勢は勢いを増している。先日試乗したID.4の高性能版、GTXの後を追うように、ID.5のリリースが控えている。
SUVクーペとなるID.5は、アウディQ4 eトロン・スポーツバックの姉妹モデル。2022年前半からフォルクスワーゲンの純EV専用工場がある、ドイツ・ツヴィッカウで生産がスタートする予定で、開発は大詰め段階にある。
フォルクスワーゲンの独立した純EVモデルとして3番目となるID.5は、当初ID.4クーペと呼ばれる予定だった。だが、ID.4より存在感の強い見た目の獲得が目指され、最終的に別の番号が振られることになったらしい。
しかし、ID.4とID.5の見た目の近さは否定できない。試乗車は軽く偽装された状態だったが、フロントまわりには明らかな共通性を感じた。バンパーは専用デザインが与えられているものの、Bピラーより前の部分はそっくりだ。
ID.5の見た目で特徴的といえるのが、大きく湾曲したルーフと、リフトバックスタイルのテールゲート。リアガラスの下端にはスポイラーが立ち、ID.4より華やかに見える。
ホイールサイズは標準で19インチ。オプションで20インチと21インチも選べるそうだ。
純EVのシステムは、基本的にID.4と共通。170psか203psの出力を発揮するシングルモーターの後輪駆動と、合計299psを発揮するツインモーターの四輪駆動、GTXが用意される。今回試乗させていただいたのは、GTXのプロトタイプだ。
スポーツ・モードの走りに魅力
バッテリーは、3グレード共通で77kWhの容量を持つリチウムイオン。ID.4では52kWhのバッテリーも選べたが、ID.5には用意されない。エントリーグレードのID.5の航続距離は、WLTP値で497kmがうたわれる。
充電能力は、ACで最大11kWまで許容する。フォルクスワーゲンは公式に認めていないが、ソフトウェアのアップデートに伴い、DCでは最大150kWまで許容可能になるようだ。最短30分で、80%の電気を蓄えられることになる。
ID.5 GTXのプロトタイプを運転した印象は、余裕あるパワーのおかげで、ドライブモードをスポーツにした時の走りに魅力を感じた。出だしから力強く、高速道路の速度域まで活発な加速を引き出せる。
ツインモーターは、フロントが非同期、リアが同期タイプで、合計48.0kg-mの最大トルクを発揮する。トルクベクタリング機能を備える四輪駆動システムが組み合わさり、トラクションも強力だ。
さらに速度を高めようとすると、転がり抵抗と空気抵抗が増大し、加速が鈍り始める。アクセルレスポンス自体にも、陰りが出てくる。
太いトルクのおかげで走りは粘り強く、駆動系からのノイズは車内にはほぼ届かない。長距離をリラックスして移動できる、クルーザーとしての資質は高い。前後モーターの制御も非常に優秀。驚くほどスムーズに、タイヤへパワーが伝えられる。
ID.5 GTXの動的性能の数字は、まだ明らかになっていない。ID.4 GTXの0-100km/h加速6.2秒、最高速度180km/hは、兄弟モデルとして達成できると考えられる。
強みといえる正確な操縦性と懐の深さ
回生ブレーキの強さは、メーターパネル横の高い位置に取り付けられたセレクターで、2段階から選択できる。Dでは、機械的な抵抗を殆ど感じない惰性走行が可能。Bではアクセルペダルを放すと明確に減速し、運動エネルギーが電気として回収される。
ステアリングの反応は非常に正確。重み付けは、日常的な運転に丁度いい。ただし、電動パワーステアリングは手のひらに伝える感触が薄く、人工的な印象がある。
最小回転直径は10.2mと、小回りは効く方。狭い市街地などでも取り回しやすいだろう。
基礎骨格にMEBプラットフォームを採用し、バッテリーはフロアに搭載され重心高は低い。車重は2tを超えるようだが、その質量を考えればコーナーの連続する区間での操縦性は優秀だ。
サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式、リアがマルチリンク式となり、GTXでは通常のID.5より引き締められている。車高も15mm低い。
前後の重量配分は50:50に近く、グリップ力にも優れ安心感は高い。かなりのコーナリング・スピードを実現できている。
ハイペースで運転しても、さほど一体感は得られない。それでも、今のところID.5 GTXはフォルクスワーゲンのID.モデルの中で最もスポーティ。正確な操縦性と懐の深さは、強みといえるだろう。
ID.4 GTXは、ドイツの比較的滑らかな道路環境で感心するほどの乗り心地を提供してくれた。ID.5 GTXのサスペンションは同等のチューニングながら、やや荒れた路面では、低速域で特に落ち着きを失いやすい印象を受けた。
見た目と実用性でわかれるID.4とID.5
装着タイヤは、ハンコック・ベンタスS1Evo 3と呼ばれるEV用パターン。フロントが235/45、リアが 255/40というサイズの21インチだったことも、硬さを感じた理由だと思う。
速度が上昇すると乗り心地は改善する。垂直方向のボディの動きはマイルドになる。シャープなハンドリングは、全体的な快適性とのトレードオフであることは間違いない。
インテリアは偽装され、確認できなかった。フォルクスワーゲンによれば、ダッシュボードやインフォテインメント・システムなど、多くをID.4と共有するそうだ。
ID.5 GTXの内装トリムやシート素材、パッケージ設定などは、別の内容が用意されるのでは、と予想する。ID.4より上の位置付けとして。
ルーフラインはホイールベース間では傾斜が緩やかで、車内空間はさほど犠牲になっていない。前席側は基本的にID.4とまったく同じ、ゆったりとしたスペースがある。後席側は、10mmほど頭上空間が低くなる。
ID.5の荷室容量は、ID.4と変わらない543L。荷室のフロアは高く、重い荷物を乗せる時は少し大変かもしれない。
力強い動的性能を活かしたID.5 GTXの走りには、好感が持てる。一方で、ID.4 GTXとの違いは小さい。ドライビング体験の質感や充足感で勝る、といえるほどではない。
ID.4とID.5、どちらのフォルクスワーゲンを選ぶべきかは、見た目と実用性をどう捉えるかによるだろう。
フォルクワーゲンID.5 GTX プロトタイプのスペック
英国価格:5万2000ポンド(800万円/予想)
全長:−
全幅:−
全高:−
最高速度:180km/h(予想)
0-100km/h加速:6.2秒(予想)
航続距離:479km(予想)
CO2排出量:−
車両重量:2150kg(予想)
パワートレイン:AC非同期モーター+AC同期モーター
バッテリー:77.0kWhリチウムイオン
最高出力:299ps(システム総合)
最大トルク:48.0kg-m(システム総合)
ギアボックス:シングルスピード・ダイレクトドライブ
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