HIGHSPEED Étoile Racing発進。川合総監督のもと前田琴未と清水愛がKYOJO CUPとEV-GP挑戦

　4月2日、株式会社プラチナムファクトリーは東京都渋谷区で記者発表会を行い、女性レーシングドライバーの育成とサポートを目指し、女性ドライバーによるレーシングチームを立ち上げると発表した。4月5日から放映されるテレビアニメ『HIGHSPEED Étoile（ハイスピードエトワール）』とコラボレーションし、『HIGHSPEED Étoile Racing』というチーム名がつけられた。

　近年モータースポーツ界でその活躍が目覚ましい女性ドライバー。ただ、女性の活躍機会はまだまだ多いとは言えず、今回立ち上げられた『HIGHSPEED Étoile Racing』は「もっと高いステージで挑戦したい」、「挑戦したい領域に活躍の機会がない」など、性別の枠を超えたチャレンジを渇望する声に応え、挑戦するすべての女性を応援するべく結成されたという。

　こうして結成されたチームは4月5日から放映される女性ドライバーが主人公であるテレビアニメ『HIGHSPEED Étoile』とコラボレーション。『HIGHSPEED Étoile Racing』というチーム名がつけられた。総監督には、2023年のスーパーGT GT300クラス／スーパー耐久ST-Zチャンピオンの川合孝汰が就任。初めての監督業だが、自身の経験でドライバーをサポートし、チームをまとめていく。また参戦車両には『HIGHSPEED Étoile』のキャラクターがデザインされる。

　今回多くのメディアを集めて行われたプレス発表会では、チームの立ち上げ、そして参戦車両、カテゴリーが発表された。参戦するのは2カテゴリーで、ひとつは女性最速のドライバーを決めるべく、近年大きな盛り上がりをみせているKYOJO CUP、そして同時に開催されるFCR-VITAだ。また、EV車両のみで争われる全日本電気自動車GPには、テスラ・モデルSプラッドを投入し参戦する。さらに、EVカートへの参加も検討していると川合総監督は語った。

　この企画は昨年秋からスタートし、年末にドライバーオーディションを実施。「我々のチームに魅力的なドライバーを迎えられたと思っています。我々は女性の活躍の場を作っていくことはもちろん、アニメのキャラクターとともにドライバーが成長できる環境を作っていきたいと思います」とプラチナムファクトリーの中川隆太郎代表は語った。

　また、総監督に就任することになった川合は「僕自身、もともとレースに入るきっかけになったのがアニメの『Capeta』でした。そこからプロを目指した経緯があるので、こうしてアニメとコラボしたチームに携われることをうれしく思います」と挨拶した。

「今年、『HIGHSPEED Étoile』のタイトルにあるように、“一番星”を目指していきます。ただもちろん、チーム立ち上げですし、モータースポーツに携わるなかで、トップを目指していく難しさも痛感しています。難しい挑戦ではありますが、みんなの強い思いとともに協力しながら、トップを獲っていきたいと思います」

　そして、今季のドライバーとして起用されたのはふたり。ひとりは21歳でレーシングカートにデビューした経験をもつ前田琴未、そして陸上競技の短距離選手という経歴をもち、自分のトヨタ86でサーキットを走りながら、レース参戦を夢見てきた清水愛というふたりだ。

　ホンダのディーラーに勤め、シビック・タイプRユーロ、S2000でサーキットを走ってきたという前田は「クルマ好き、レース好きというだけでカートやサーキットを走ることを始め、上手くなりたい一心でがむしゃらに進んできました」というが、今回チャンスを掴み、KYOJO CUP参戦が決まった。

「まだ実力も実績もありませんが、正直こんな良い話をいただけるとはまったく思っていなかったので、拾っていただいた川合監督、これまで協力してくれたり教えてくださった皆さんに感謝しつつ、楽しみながら絶対上手く、速くなるつもりで走ります」

　また清水も「クルマ好きで5年前に86を買って、2年ほど前からサーキットに行き始めました」という。「オーディションの機会をいただき、採用されたからにはアニメのタイトルにもある“一番星”を狙いたいと思っています」と意気込んだ。

　発表会には、『HIGHSPEED Étoile』のプロデューサーを務める佐々木ゆうろ氏、木梨美涼氏が応援に駆けつけたほか、劇中で輪堂凛役の声優を務める和泉風花さん、浅河カナタ役の日笠陽子さんからもメッセージが寄せられた。

　チームが今後目指すのは、女性ドライバーによる“世界への挑戦”だ。激戦が予想される今季のKYOJO CUPでも注目のチームとなるのか、楽しみなところだろう。