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人気と売れ行きが連動しない! いまクルマの販売台数ランキングに異状アリ

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人気と売れ行きが連動しない! いまクルマの販売台数ランキングに異状アリ

 この記事をまとめると

■2022年8月の新車販売台数ランキングが発表された

いつになったら乗れるんだよ……他メーカーより納期遅延が酷くても皆「トヨタ」を選ぶワケ

■登録車と軽自動車を合算した総合ランキングのトップはトヨタ・ヤリス

■結果からいま自動車市場で起きていることを考察した

 部品の割り振りが販売台数に影響を及ぼしている模様

 登録車ならば自販連(日本自動車販売協会連合会)、軽自動車ならば全軽自協(全国軽自動車協会連合会)が発表する、車名(通称名)別販売ランキング。納期遅延が深刻になってからは、同じメーカー内の車種での販売台数の浮き沈みに注目している。最近発表された2022年8月単月の販売ランキングも興味深いものであった。8月はお盆のタイミングで多くの人が長期休暇を取るのが恒例だが、完成車を生産するメーカーの工場や新車ディーラーもしかり。工場、そして新車を販売するディーラーの稼働日が少なくなるので、年間で見ても際立って新車総販売台数が少ないのが8月の特徴だ。

 登録車と軽自動車を合算した総合ランキングを作ってみると、2022年8月単月の販売ランキングトップはトヨタ・ヤリス。トップとはいえ前年比では76%となっている。またトヨタ・アクアが前年比47.2%と低迷しているが、これは現行アクアが2021年7月にデビューしており、2021年7月及び8月が新型の増産体制に入っていた反動とも受け取れるのだが、トップのヤリスの前年同月比をみると、7月が80.5%、8月が76.0%といまひとつ元気がないのも気になる。前年同月といえば、すでに新車の生産遅延及び納期遅延が始まっていたので、前年比100%割れは結構深刻にも見える(市場全体も同じ傾向となっている)。

 アクアとヤリスの様子についてあくまで私見であるが、8月23日に正式発売となった新型シエンタの生産資源、つまり部品を集中させたことも影響しているのではないかと考える。事情通からは「新型シエンタはJPNタクシーと共用する部品が多いです。先代モデルをベースにJPNタクシーが開発されたという流れもあるようです。聞いた話ではJPNタクシーの生産を抑えることで、新型シエンタに部品を回しているという話を聞いています」とのこと。

 さらに「新型クラウンは販売現場では足まわりとしていますが、不具合が発生して生産開始に影響が出ているとのことです。半導体などがほかの車種の生産へ割り振られているようだと話すセールスマンもいました」と説明してくれた。つまり、同じメーカーで販売ランキングにおいて急浮上するクルマと、急降下するクルマとは部品のやりとりや、その月での生産台数の配分などに相反関係があるのではないかと筆者は考えている。

 ヤリスと販売台数を競うホンダN-BOXは7月と8月はヤリスに抜かれて総合ランキングトップの座を渡している。ホンダではテレビコマーシャルのオンエア頻度を見てもわかるとおり、いまフリードの生産に積極的であり、そこに不足気味となっている部品を集中させているという話もある。ホンダのウェブサイトをみると、8月の生産稼働率では、N-BOXを生産する鈴鹿製作所が約7割なのに対し、フリードを生産する寄居製作所は約9割であったことからも、フリードが積極的に生産されていたように見える。

 ただ残念なことに、9月上旬の生産稼働率は鈴鹿が約7割、寄居が約6割となっており、多くのホンダ車の工場出荷時期の目途は本稿執筆時点では、フリードやN-BOXも含むほとんどの車種が半年以上となってしまった。フリードは8月上旬時点では早くてガソリン車で1カ月、ハイブリッドで2カ月ぐらいで納車可能となっており、新型になったばかりのシエンタにガチンコ勝負を挑む勢いだっただけに残念なことになっている。

 メーカーは各モデルの生産比重の判断に迫られている

 トヨタ・カローラが前年同期比103.2%で総合ランキング4位に入っている。これは、すでにマイナーチェンジ後モデルの予約受注が始まっているなか、急ピッチで現行モデルのバックオーダーを消化している様子が見て取れるものと考えている。

 トヨタ・ルーミーが登録車のみのランキングで4位から8位に下降している。一方でトヨタ・ライズは7位から4位に上昇している。ルーミーはDNGAプラットフォームでもないし、eスマート(シリーズ式ハイブリッド)搭載車もないが、両車でも7月と8月で生産台数のバランスが取られているように見える。

 日産ノートが6月から登録車のみではベスト3以内に入り続けている。そもそも納期が短めのなか、6、7月の夏商戦内で納車しきれなかった分が8月にこぼれていることが影響しているように見える。また9月の事業年度締めでの上半期末が迫っているので、レンタカー会社などフリートユーザーへの納車を積極的に行っていることも影響しているかもしれない。

 軽自動車では、ワゴンR、アルト、ジムニーで前年比100%超えしているスズキが目立っている。アルトではラパンが6月に改良を行い、同時にLCを追加しているのが影響しているようだ。ワゴンRではテレビコマーシャルのオンエア頻度を見ても、ライバルのダイハツ・ムーヴキャンバスがモデルチェンジしたこともあり、相乗効果を狙ってワゴンRスマイルの拡販を進めていることが影響しているものと考えている。

 現状、販売ランキングの順位が上がることは、単に市場の人気が高まったということではなくなっている。部品供給が十分ではないなか、生産現場のスタッフが新型コロナウイルスに感染したり、濃厚接触者になったりして、満足に車両生産ができない状況が続いている。さらに、限られた部品のなかで、メーカーはライバルの動向や自社内の都合などを考え、どのモデルの生産比重を高めるのかを判断しながら、日々完成車生産をしているのである。

 自販連や全軽自協の販売ランキングをみると、筆者はついついその背景に何が起こっているのかを深読みしてしまう。

 2022年8月単月新車販売ランキング

 トヨタ・ヤリス(14041台)

 ホンダN-BOX(11130台)

 日産ノート(7871台)

 トヨタ・カローラ(7334台)

 スズキ・スペーシア(6751台)

 ダイハツ・ムーヴ(6601台)

 トヨタ・ライズ(5733台)

 スズキ・ワゴンR(5514台)

 日産セレナ(5275台)

 ホンダ・フリード(5199台)

 ホンダ・フィット(5148台)

 ダイハツ・タント(5119台)

 日産ルークス(4926台)

 トヨタ・ルーミー(4924台)

 スズキ・アルト(4803台)

 スズキ・ハスラー(4733台)

 ホンダ・ステップワゴン(4614台)

 トヨタ・アクア(4456台)

 ダイハツ・タフト(3809台)

 トヨタ・ノア(3766台)

 スズキ・ソリオ(3680台)

 日産サクラ(3523台)

 ホンダ・ヴェゼル(3514台)

 トヨタ・ヴォクシー(3370台)

 スズキ・ジムニー(3347台)

 ダイハツ・ミラ(3318台)

 トヨタ・ハリアー(3271台)

 トヨタ・ランドクルーザー(2869台)

 トヨタ・シエンタ(2796台)

 マツダ・CX-5(2618台)

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