スワップによる構造変更が必要か否か
ノーマルではあり得ない戦闘力と満足感が手に入り、エンジン内部に手を入れるよりマージンも残るチューニングメニューが「エンジン載せ替え」だ。構造変更の必要があるか否かまで含め、1990年代から現在まで定番中の定番といえる5つのメニューを紹介したい。
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ココで取り上げるのは、手間が比較的にかからないケースばかり。当然ながら排気量や型式が異なるエンジンの載せ替えは車検に通らず、「構造変更申請」をして車検証の内容を変更する必要はあった。面倒だったとはいえ、それだけ魅力的なエンジンが多かった時代なのかもしれない。
まず古いところから挙げると4代目のトヨタ・カローラ レビン&スプリンター トレノ(AE86型)に、後継モデルの”4A-GE”1.6リッター直4DOHCエンジンを載せるメニュー。今でこそ20バルブの7代目(AE111)の4A-GE型エンジンがお約束となっているが、昔は5代目(AE92)の後期エンジンというのが一般的だった。
ブロックの強度がありフルチューンにも耐えうるという理由はモチロンだが、単にパワーだけを比べてもAE86型が130ps(グロス)なのに対し、AE92後期は140ps(ネット)という最高出力を発揮。グロスとネットで計測方法が異なるので、実質10ps以上の差があり、AE111型に至っては165psで4連スロットルまで搭載する強烈なユニットだった。
また、高回転より低速トルクを重視する人は、5代目のAE92型や6代目のAE101型の”GT-Z”で使われた、スーパーチャージャー付きの”4A-GZE”型エンジンも人気。いずれも車検証に表記されるエンジン型式は『4A』なので、公認車検が不要なことも人気が爆発した理由のひとつと思われる。
ホンダとマツダ車の定番載せ替え
同じライトウェイトなホンダ車ではB16A型エンジンを搭載するシビックSiR系(EF~EK系)に、3代目インテグラ・タイプR(DC2型)の”B18C”型エンジンに載せ替えるのも定番。6代目シビック(EK4系)が搭載するB16A型は170psに対して、B18C型はなんと200ps、おまけに排気量も200cc大きく、クラス違いのスペックを誇った。
車検証のエンジン型式は『B16』または『B18』なので公認車検は必要だが、載せ替え自体は割とカンタンなのでB18C型エンジンの価格が異様に高騰。さらなる排気量アップとしては、ステップワゴンなどのB20型エンジンをブロックだけ使い、B16型やB18型のヘッドを組み合わせる仕様も存在した。
マツダのターボでいうなら2代目(FC3S型)と3代目(FD3S型)のRX-7に、ユーノス・コスモが搭載する20B型”3ローター”エンジンへの換装もよく知られている。ロータリーエンジンは構造上、ローターの個数を増やすしか排気量アップの手段がない。
パワーは20B型が当時の自主規制ギリギリな280psながら、FC3S型は最高で215psなので65ps向上とブーストアップ並みの差があり、FD3Sは最終型こそ280psと変わらないがローター1個分、すなわち排気量654ccの差は埋めようがない圧倒的なアドバンテージ。ただし、コスモ自体の売れ行きが芳しくなく、中古エンジンの流通が少ないのがネックといえよう。
ハイパワーユニットが魅力のトヨタ&日産
次はトヨタのマークIIやソアラの1JZ型2.5リッター直6から、スープラまたはアリストの2JZ型3リッター直6にスワップする手法。2JZ型は大排気量かつフルチューンに耐えうる頑強さで、今やシルビアなどに搭載できるキットが存在したり、日本だけじゃなく世界的な人気を博している。
パワーは1JZ型も2JZ型も変わらず280psだけど、トルクは排気量の違いから1JZ型が38.5kg-mで2JZ型は46kg-mと(いずれもVVT-i仕様)と大きく異なる。コレも車検証のエンジン型式は『1J』と『2J』なので、公認車検が必要であることを忘れずに。
最後は日産のスカイライン、セフィーロ、ローレルなどRB20型エンジンやRB25型エンジン搭載車に、スカイラインGT-Rの名機”RB26DETT”型エンジンへの換装。マツダの20B型やトヨタの2J型と同じく公認車検を取得するのが前提とはいえ、レースを制するため生まれたRB26DETTエンジンはスペックだけにとどまらず、所有する喜びやステータス性もバツグンに高い。チューニングパーツやノウハウが豊富で、伸びしろのあるベースエンジンとしても魅力だ。
*一部の写真はイメージです
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