メニュー内容はウラカンのそれに近い
ランボルギーニ・ウルス・ペルフォルマンテのようなモデルの試乗では、コーナーを1つ曲がっただけで多くのことが見えてくる。高い速度域まで気張らずとも。
【画像】47kg減量 ウルス・ペルフォルマンテ 競合の高性能SUV フェラーリ・プロサングエも 全154枚
ランボルギーニがジャーナリストをサーキットへ招いた試乗会では、プロドライバーが運転するクルマを追走するスタイルで、新モデルを確かめる機会を用意してくれる。慣れるため、最初はゆっくり周回することが多い。
今回も同様だったが、ウルス・ペルフォマンテがハンドリング・サーキットも許容範囲とすることを、すぐに理解できた。全長が5137mmある大型SUVでありながら。
ステアリングホイールを切ると、間髪入れずフロントノーズが反応。ボディロールを最小限に留めつつ、驚異的なグリップ力でコーナーを旋回していく。
この身のこなしは、ウルス・ペルフォマンテに施されたチューニング内容を知れば納得できる。徹底的に走りを追求したウルスであり、メニューとしてはスーパーカーのウラカン・ペルフォマンテに近い。
つまりランボルギーニの技術力を総動員し、アストン マーティンDBX707やポルシェ・カイエン・ターボGTなどと真っ向勝負するために生み出されている。同社は「スーパー・スポーツカー」を目指したと主張する。高性能SUVの覇権争い容赦はない。
専用シャシーに軽量化で47kgダイエット
ウルス・ペルフォマンテの4.0L V8ツインターボ・エンジンは、最高出力666ps、最大トルク86.5kg-mを発揮する。この数字は、通常のウルス Sと同じではある。
0-100km/h加速は3.3秒で、カイエン・ターボGTに並ぶ。ここまには、さしたる驚きはないかもしれない。
もちろん、それだけではない。サスペンションはエアスプリングからスチールコイルへ変更。車高は20mm落とされた。トルクベクタリング機能は新設計のもので、ピレリ・トロフェオRというタイヤは、専用開発品だという。
アルミホイールもペルフォマンテ専用で、タイヤと組んだ状態で1本6kgもバネ下重量を削っている。エグゾースト・システムは軽量なチタン製。トルセン式のセンターデフも開発し直され、より多くのパワーをリアアクスルへ送ることを可能としている。
テールゲートの上に載るリアウイングも新デザインで、ダウンフォースを最大38%高めた。ボンネットはカーボン製。ルーフもオプションでカーボン製にできる。ランボルギーニによれば、このクラスとしては最もカーボン・パネルを多く装備できるとか。
左右のタイヤの間隔、トレッドは前後ともに16mmワイド化された。ドライブモードではラリー・モードが選べる。8ATは、シフトダウン時の動作を鋭く改良。インテリアにはアルカンターラがふんだんに用いられている。
各部に施された軽量化の結果、車重は通常のウルスから47kgが削ぎ落とされた。それでも2150kgあるため軽いとはいえないものの、間違いなく小手先でこなせる仕事ではなかったはず。
同クラスで最もアグレッシブな見た目
ちなみに、ウルス・ペルフォマンテとカイエン・ターボGTは、同じフォルクスワーゲン・グループが開発したMLBエボと呼ばれるプラットフォームを基礎骨格としている。しかし差別化を前提に、それぞれ異なる構成で仕立てられているのが興味深い。
カイエン・ターボGTはエアサスペンションのままで、タイヤはピレリPゼロ・コルサを履く。カーボン製のルーフは標準装備される。しかし、ダイエット・メニューとしてはランボルギーニほど厳しくないといえ、車重は2220kgと70kgも重い。
話題を戻すと、ウルス・ペルフォマンテの見た目には、シャシーほど大きな手は加えられていない。先出のカーボン製パネルやリアウイング、ホイールを除いて、フロントバンパーに開けられた大きな冷却用エアインテークが目立つ違いといえるだろう。
標準装備のカーボンセラミック・ブレーキディスクを冷却するため、エアカーテンも改良を受けている。ホイールアーチ上を飾る、膨らみを増したカーボン製フェンダーモールが迫力を強めている。
ランボルギーニのチーフデザイナーを務めるミチャ・ボルケルト氏によれば、ウルス・ペルフォマンテのデザインでは、アヴェンタドールSJVから影響を受けたという。確かに、このクラスのSUVとしては、最もアグレッシブなモデルの1台に数えられそうだ。
この続きは後編にて。
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