セダンの需要がやや低調だからといって、むざむざとセダンをあきらめるのはばかげている。そんな気にさせてくれるのが、2019年11月5日より日本でも販売開始される新型ボルボ「S60」である。
S60は、先行販売されているステーションワゴン「V60」のセダン版。本国では2018年より販売開始されていた。
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【主要諸元(T5インスクリプション)】全長×全幅×全高:4760mm×1850mm×1435mm、ホイールベース:2870mm、車両重量:1660kg、乗車定員:5名、エンジン:1968cc直列4気筒DOHCターボ(254ps/5500rpm、350Nm/1500~4800rpm)、トランスミッション8AT、駆動方式:FWD、タイヤサイズ:235/45R18、価格:614万円(OP含まず)。Sho Tamura試乗車のタイヤはオプションの19インチ(235/40R19)。Sho Tamura日本市場では、ガソリンターボ・エンジンとPHV(プラグ・イン・ハイブリッド)が選べる。Sho Tamura日本仕様のラインナップは4種類。2.0リッター直列4気筒ガソリンターボ・エンジン搭載モデルは「T4」と「T5」という出力ちがいの2種類で、PHV(プラグ・イン・ハイブリッド)モデルは「T6ツインエンジン」と「T8 ポールスターエンジニアード」の2種類から選べる。ディーゼル・エンジンの設定はない。駆動方式は、T4とT5がFWD(前輪駆動)で、T6とT8は4WDである。
今回試乗したのは、「T5」。搭載する2.0リッター直列4気筒ガソリンターボ・エンジンは、「T4」が最高出力190ps/最大トルク300Nmに対し、「T5」は最高出力254ps/最大トルク350Nmを発揮する。
試乗車「T5」の搭載エンジンは、1968cc直列4気筒DOHCターボ(254ps/5500rpm、350Nm/1500~4800rpm)。Sho Tamura試乗車はまた、「コントロール性と快適性をバランスさせた」とうたう「ドライビングモード選択式FOUR-C アクティブパフォーマンスシャシー」(オプション)を組み合わせたT5インスクリプションなるモデルだった。
ワゴンよりイイ!ひとことでいうと、ステーションワゴン版の「V60」に最初乗ったときより、はるかに好感をもてるクルマだった。走りだすと、乗り心地はしなやかで、加速は気持よく、そしてカーブでステアリングホイールを切ったときの俊敏な反応と安定した姿勢に、「すべてのバランスがみごと!」と、感心した。
最小回転半径は5.7m。Sho Tamuraトランスミッションは8AT。Sho Tamuraアクセルペダルはオルガン式。Sho Tamuraターボチャージャーを組み合わせた1968cc直列4気筒ガソリン・エンジンは、1500rpmから4800rpmのあいだで350Nmの最大トルクを発生しつづける。このため市街地から高速での追い越しにいたるまで、ほぼすべての領域で扱いやすい。
もうひとつ、シフトアップでもダウンでもシフト感の節度を伝えるATのチューニングが気持ちよかった。加速中にシフトアップするのがはっきりと感じられるのがいいし、カーブの手前でブレーキを強めに踏んだときなど、ギアがボンッボンッと小気味よく下がっていくのが軽いショックとともに分かるのもいい。
JC08モード燃費は12.9km/L。Sho Tamuraメーターパネルはフルデジタル。ナビゲーションマップも表示可能。Sho Tamuraシフト時にあえてショックを伝えるのは、ドライビングにリズムをもたらすことが狙いのようで、いま、いくつの自動車メーカーが意図的にやっている手法だ。たしかに、運転する身にとっては、このほうが楽しく感じられた。
乗り心地はS60の最大の美点だ。1秒に500回もの演算をおこなうという電子制御ダンパーの「ドライビングモード選択式FOUR-C アクティブパフォーマンスシャシー」の恩恵だろう。
路面への追従性が良く、凹凸による突き上げや、うねりのある路面で速度をあげてもリアがはねるような場面はなかった。おとなっぽいフラットライドは、S60のイメージどおりといえるのではないか。
試乗車「T5」の駆動方式はFWD(前輪駆動)。Sho Tamura走行モードは4つから選べる。試乗車に装着されていた「ドライビングモード選択式FOUR-C アクティブパフォーマンスシャシー」は、走行モードに応じ、自動でダンパーの減衰力を調整する(任意での調整はできない)。Sho Tamuraオーディオおよび操舵支援系のスウィッチ付きのステアリング・ホイール。パドルシフトは装着されない。Sho Tamura高い価格競争力新型S60は、走りとともに居心地のよいインテリアも魅力である。昨今のボルボ・ファミリー共通のデザインでまとめられている。たとえば、インパネ上部には「センサス」と呼ぶインフォテインメントシステム用の縦型タッチスクリーンがある。
ステーションワゴン「V60」と、おなじデザインのインテリア。Sho TamuraBowers&Wilkins プレミアム・オーディオシステム(1,100W、15スピーカー)サブウーファー付きは33万円のオプション。Sho Tamuraharman/kardon プレミアムサウンド・オーディオシステム(600W、14スピーカー)サブウーファー付きは12万円のオプション。Sho Tamuraシート表皮はベージュ系の「ブロンド」のほか、ブラウン系の「アンバー」、ブラック系の「チャコール」が選べる。Sho Tamuraチルトアップ機構付き電動パノラマ・ガラス・サンルーフは20万円のオプション。Sho Tamura試乗車のグレード「インスクリプション」は、レザーシート(シート表皮はナッパ)が標準。“ブロンド”と名づけられた薄いベージュ系の色といい、しっとりした手ざわりといい、ドライバーのみならず同乗者全員へのもてなし感にあふれている。
S60は、インスクリプションのほか、「モメンタム」と呼ぶトリムレベルが「T4」に設定されている。モメンタムはテキスタイル・シートや17インチのアルミホイールが標準。それに対し、インスクリプションはぜいたく仕様になる。また、いずれは、スポーティな内外装パーツを多数装着する「Rデザイン」も設定されるかもしれない。
センターアムレスト付きのリアシートはヒーター機能付き。Sho Tamuraリアシートも、左右別々にエアコンの温度設定が出来る。Sho Tamuraリアシートのバックレストは40:60の分割可倒式。Sho Tamuraリアシートのバックレスト格納は、ワンタッチ。Sho Tamuraラゲッジルーム容量は442リッター。Sho TamuraS60の価格は、489万円から(試乗車のT5インスクリプションは614万円)。競合のアルファロメオ「ジュリア 2.0ターボベローチェ」が589万円、BMW「320i Mスポーツ」が594万円、メルセデス・ベンツ「C200ローレウスエディション」が586万円、アウディ「A4 40TFSIスポーツ」が566万円である。
輸入元のボルボ・カー・ジャパンは、S60は他ブランドのモデルに対し、快適装備と安全装備の面で、標準搭載されているものが多く、「実際の価格競争力ははるかに上」と述べる。
文・小川フミオ 写真・田村翔
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