現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 新型ランクル300があえて電動化しない理由とは? ライバルが電動化してもトヨタならではの戦略がある

ここから本文です

新型ランクル300があえて電動化しない理由とは? ライバルが電動化してもトヨタならではの戦略がある

掲載 更新 73
新型ランクル300があえて電動化しない理由とは? ライバルが電動化してもトヨタならではの戦略がある

ACCや車線維持もカバーするトヨタセーフティセンスを装備

キング・オブ・クロスカントリー、ある意味ではトヨタ・ブランドのフラッグシップといえる「ランドクルーザー」がフルモデルチェンジを果たしました。これまでの流れを受け、新型は300系と呼ばれます。

>>先代トヨタ ランドクルーザー(200系)のおすすめグレードとユーザーの評価を見てみる

300系ランドクルーザー、伝統を受け継いだスタイリングはランクルのイメージそのままですが、メカニズムは一新されました。フレームは新世代GA-Fプラットフォームと呼ばれるものになり、サスペンションもよりロングストロークになっています。

ユニークなのはステアリング系で、信頼性の高い油圧パワーステアリングを基本としつつ、ステアリングコラム部分に操舵アクチュエーターを備えることで、運転支援が可能になっています。新型では先進安全機能のトヨタセーフティセンスが全車標準装備され、追従クルーズコントロールや車線維持などの運転支援機能も備わっています。

新型ダウンサイズターボエンジンで大幅にパワーアップ

エンジンはガソリンが3.5L V6ツインターボ、ディーゼルは3.3L V6ツインターボとなりました。ガソリンエンジンの最高出力は415PS、最大トルクは650Nm。ディーゼルエンジンのスペックは、最高出力309PS、最大トルク700Nm。

従来型ランドクルーザーは4.6L NAガソリンエンジン(最高出力は318PS)だったので、300系はダウンサイジングターボとなり、なおかつ大幅にパワーアップしていることがわかります。

電動化の「で」の字も出なかったパワートレーンの謎

一方、トヨタのフラッグシップとして考えると意外なことに新型ランドクルーザーのパワートレインには電動化の「で」の字もありません。最新の運転支援技術(トヨタセーフティセンス)が備わっているのと対照的です。

ランドクルーザーが勝負しているのは世界の本格クロカン市場です。そのマーケットでは最大のライバルといえるランドローバーは、すでに全車電動化することを宣言しています。このタイミングにフルモデルチェンジするランドクルーザーが、完全に内燃機関だけのパワートレインというのはトレンド的には違和感もあります。まして、トヨタはハイブリッドテクノロジーのトップランナーであるのですから。

ライバルのランドローバーが電動化を進める理由とは?

しかし、それが可能なのはトヨタだからという見方もできるでしょう。というのも電動化を進めているのはパリ協定で定められたCO2排出量の削減に対応するためで、たとえばランドローバー・ブランドを擁するジャガー・ランドローバーは、CO2排出量の少ないコンパクトカーをもたないため、主力のクロカン製品でもCO2排出量削減につながる電動化を進めるしかないわけです。

グローバルでは2021年の上半期だけで546万台も販売するトヨタのラインナップには、ヤリスやアクアのようなコンパクトで省燃費(CO2排出量の少ない)なハイブリッドカーもあるし、ミドル級のプラグインハイブリッドもあり、さらにゼロエミッションの燃料電池車も用意しています。CAFE規制(企業別平均燃費基準)の視点でみれば、トヨタにとってランドクルーザーの販売規模であれば、内燃機関だけの設定としておいても規制に影響しないといえるのです。

実は非電動化はランクルブランドの価値を高める効果もある

そして道なき道を行くランドクルーザーには容易に燃料補給ができ、あらゆるシーンで信頼性の高い内燃機関であることがユーザーニーズとして求められます。つまり、電動化に進まないということはランドクルーザーのブランド価値をより高めることにつながるといえるのではないでしょうか。

本気のアドベンチャービークルとして世界的に高い評価を得ているランドクルーザーは、300系へのフルモデルチェンジにおいて内燃機関だけのパワートレインを守ったことで、そのブランド価値をより高めたといえるでしょう。

そして、電動化しないことでスターティングプライスが510万円~と抑えられたことは熱心なファンにとっては大きなユーザーメリットともいえます。けっして安いクルマではありませんが、自動車マーケット全体の価格上昇基調からすると、新型ランドクルーザーは意外にもリーズナブルといえそうです。

文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

[車検]費用が増える? 2024年10月より車検での[OBD検査]を本格運用へ
[車検]費用が増える? 2024年10月より車検での[OBD検査]を本格運用へ
ベストカーWeb
即納って不人気車なの!? なんでそんなに待たなきゃならん!? [納期]にまつわる素朴なギモン
即納って不人気車なの!? なんでそんなに待たなきゃならん!? [納期]にまつわる素朴なギモン
ベストカーWeb
いまさら人には聞けない「ベンチレーテッドディスク」と「ディスク」の違いとは? ブレーキローターの構造と利点についてわかりやすく解説します
いまさら人には聞けない「ベンチレーテッドディスク」と「ディスク」の違いとは? ブレーキローターの構造と利点についてわかりやすく解説します
Auto Messe Web
ラリージャパン2024開幕直前。豊田スタジアムやサービスパークの雰囲気をお届け/WRC写真日記
ラリージャパン2024開幕直前。豊田スタジアムやサービスパークの雰囲気をお届け/WRC写真日記
AUTOSPORT web
メルセデス・ベンツの『GLE』系と『GLS』にオンライン先行受注にて“Edition Black Stars”を設定
メルセデス・ベンツの『GLE』系と『GLS』にオンライン先行受注にて“Edition Black Stars”を設定
AUTOSPORT web
ラリージャパン2024“前夜祭”が豊田市駅前で開催。勝田貴元らが参加のサイン会とパレードランが大盛況
ラリージャパン2024“前夜祭”が豊田市駅前で開催。勝田貴元らが参加のサイン会とパレードランが大盛況
AUTOSPORT web
フランス人スター選手と一緒の気分? 歴代最強プジョー 508「PSE」 505 GTiと乗り比べ
フランス人スター選手と一緒の気分? 歴代最強プジョー 508「PSE」 505 GTiと乗り比べ
AUTOCAR JAPAN
セカオワが「愛車売ります!」CDジャケットにも使用した印象的なクルマ
セカオワが「愛車売ります!」CDジャケットにも使用した印象的なクルマ
乗りものニュース
トヨタWRCラトバラ代表、母国戦の勝田貴元に望むのは“表彰台”獲得。今季は1戦欠場の判断も「彼が本当に速いのは分かっている」
トヨタWRCラトバラ代表、母国戦の勝田貴元に望むのは“表彰台”獲得。今季は1戦欠場の判断も「彼が本当に速いのは分かっている」
motorsport.com 日本版
メルセデスAMGが待望のWEC&ル・マン参入! アイアン・リンクスと提携、2025年LMGT3に2台をエントリーへ
メルセデスAMGが待望のWEC&ル・マン参入! アイアン・リンクスと提携、2025年LMGT3に2台をエントリーへ
AUTOSPORT web
TCD、モータースポーツ事業を承継する新会社『TGR-D』を2024年12月に設立へ
TCD、モータースポーツ事業を承継する新会社『TGR-D』を2024年12月に設立へ
AUTOSPORT web
ウイリアムズとアメリカの電池メーカー『デュラセル』がパートナーシップを複数年延長
ウイリアムズとアメリカの電池メーカー『デュラセル』がパートナーシップを複数年延長
AUTOSPORT web
“650馬力”の爆速「コンパクトカー」がスゴイ! 全長4.2mボディに「W12ツインターボ」搭載! ド派手“ワイドボディ”がカッコいい史上最強の「ゴルフ」とは?
“650馬力”の爆速「コンパクトカー」がスゴイ! 全長4.2mボディに「W12ツインターボ」搭載! ド派手“ワイドボディ”がカッコいい史上最強の「ゴルフ」とは?
くるまのニュース
フェラーリ育成のシュワルツマンが陣営を離脱。2025年はプレマからインディカーに挑戦
フェラーリ育成のシュワルツマンが陣営を離脱。2025年はプレマからインディカーに挑戦
AUTOSPORT web
スバルBRZに新たな命を吹き込む 退役軍人のセカンドキャリアを支援する英国慈善団体
スバルBRZに新たな命を吹き込む 退役軍人のセカンドキャリアを支援する英国慈善団体
AUTOCAR JAPAN
オープンカー世界最速はブガッティ!「ヴェイロン」より45キロも速い「453.91km/h」を樹立した「W16ミストラル ワールドレコードカー」とは?
オープンカー世界最速はブガッティ!「ヴェイロン」より45キロも速い「453.91km/h」を樹立した「W16ミストラル ワールドレコードカー」とは?
Auto Messe Web
『ローラT92/10(1992年)』“賃貸住宅ニュース”で強いインパクトを残した新規定グループCカー【忘れがたき銘車たち】
『ローラT92/10(1992年)』“賃貸住宅ニュース”で強いインパクトを残した新規定グループCカー【忘れがたき銘車たち】
AUTOSPORT web
リバティ・メディアCEOマッフェイの退任、背景にあるのはアンドレッティとのトラブルか
リバティ・メディアCEOマッフェイの退任、背景にあるのはアンドレッティとのトラブルか
AUTOSPORT web

みんなのコメント

73件
  • まあトヨタが、最近の欧州メーカーのように、今さらショボいマイルドHV搭載して「全車電動化!」とか大仰に主張する必要もないしね。。。
  • ランクルのように走行抵抗が大きくて重量のある車は電動化(HV化)しても大して燃費は改善しないんですよ。
    だから電動化しないんです。

    PHVやEV化したら巨大なモーターと電池を積まなきゃならないから更に重くなるしね。
    そんな環境負荷の高い車をトヨタが作るはずがない。

    電動化の本来の目的は二酸化炭素を減らす事ですがランクルの場合は電動化よりも、エンジンの燃焼効率を上げた方が二酸化炭素排出減少に効果がありますからね。

    トレンドだからなんでもかんでも電動化するのは二流以下のメーカーのすること。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

472.8683.6万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

230.0910.0万円

中古車を検索
ランドクルーザー200の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

472.8683.6万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

230.0910.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村