2023年にフランチェスコ・バニャイヤと2年連続のライダーズタイトル獲得を果たしたドゥカティ。その重要な立役者のひとりとされる、ゼネラルマネージャーのジジ・ダッリーニャがmotorsport.comのインタビューに応えた。
MotoGPにおける成功について、新しく始まるコンセッション(優遇措置)制度や陣営に加入してくるマルク・マルケスなど、様々な話題に彼は答えてくれた。
■マルケスが旧型バイクで勝っても問題ナッシング? 「イメージが傷つくなど考えたこともない」とドゥカティ首脳
Q.(2023年の)クリスマスは人生でも最も静かなものでしたか?
A.実際、私は仕事をしていないとスイッチが切れるタイプなんだ。友人たちと一緒にいるときは、シャッターを閉じて彼らと楽しんでいるよ。静かなクリスマスだったが、それはその前もそうだった。
Q.多くの人があなたをレッドブルF1のエイドリアン・ニューウェイ(チャンピオンマシンを多数送り出している著名なF1マシンデザイナー)と比較しています。ただ、あなた方のバイクではひとりだけではなく、何人ものライダーが勝っている。そのことがあなたをより高いポジションに据えると思いますか?
A.それは無理だ。ニューウェイはレジェンドなんだ。誰かが私を彼と比較しているという事実だけで、私は十分満足だよ。ただ、四輪とバイクは、全く異なる世界だ。
Q.新シーズンからはMotoGPのマックス・フェルスタッペン(F1王者)とも言われるマルク・マルケスが加入します。彼の加入でバイクについて語られる機会が減り、マルケスについて語られることが多くなるリスクがあると思いますか?
A.私の目標は勝つことにある。そしてドゥカティがそれをできるだけ長く続けられるように私は頑張らなければならない。それが私の仕事における目標だ。独りよがりな人間ではないし、ドゥカティだけが勝つのではなく、ライダーとチームが強力して勝つと考えている。我々はチームなんだ。ライダーとバイク、どちらが大事かなど、考えたこともない。唯一重要なのは、シーズン終了時にタイトルを獲得した者がドゥカティに乗っているということだ。
Q.同ブランドのライダーが決められたオーダーに従えばより楽なのでは?
A.これはスポーツであって、我々はスポーツ的な振る舞いをしなくてはならないし、汚い行為はできない。それが私の基本的な哲学になっている。汚い行為というのはあるライダーの勝利を妨げるために、バイクのパフォーマンスを制限するようなことだ。ホルヘ・マルティン(プラマック)は昨年、タイトルを最後まで争うための手札を全て持っていた。何も妙な動きはなかったんだ。それがフェアプレイであり、スポーツを正しく行なうということだ。
Q.最近、F1からなにかアイデアを持ってきましたか?
A.しばらく前までF1は好きだったが、今は少し気持ちは下がっている。ただフォローしているし、興味はある。背後に多くのテクノロジーが存在するし、非常に興味がある。たとえ全てのレースを見ていないとしても、今MotoGPで働いている空力エンジニアにはF1から来た人がたくさんいる。F1は航空分野に次ぐ空気力学の最先端なんだ。MotoGPがそこまでいくには、まだ長い道のりがある。空力には改善の余地が非常に多く残されていると私は思っている。バイクに影響を与える空力について全てを理解しきれているわけでは無いんだ。
Q.ドゥカティはなぜホンダとヤマハを有利にするコンセッション制度の導入に賛成したのでしょう? 反対していましたよね?
A.我々は反対していたわけではない。実際、我々は彼らを助けることを常に支持していた。私の見解では、苦境に陥っているメーカーがどこであれ、勝利メーカーに近づくために手を差し伸べることは正しいことだ。アプリリアとKTMへコンセッションを与えることについては、明らかに反対ではあるがね。アプリリアは2勝しているし、KTMもシーズン終盤には毎戦表彰台に上がっていた。なぜ彼らを楽にしなければいけないのか理解できない。
Q.ただドゥカティはそれに合意しています。
A.アプリリアとKTMが得られるアドバンテージに対する我々の不満よりも、ヤマハとホンダを助けることのほうがより重要だと我々は考えた。だからコンセッションに合意したんだ。もしホンダがMotoGPを去ることを決めたりすれば、それは全員にとって問題になってしまう。ヤマハとホンダを助けるため、我々は他メーカーへのコンセッションを認める必要があり、合意したんだ。各ブランドの競争が激しいほど、MotoGPは良くなっていくものだ。
Q.コンセッションは何を変えなければならないかを理解しているなら、大きな助けになりますよね。ヤマハとホンダはそれを分かっていると思いますか?
A.大きな違いは、彼らにはミスをしてもそれを修正できるチャンスがあるということだ。例えば彼らはエンジンを開いてモディファイすることが可能だ。我々にはできないことだが、コンセッションを与えられたチームは問題があればエンジンを戻すことも可能だ。しかし我々は開幕時にホモロゲーションを受けたエンジンで最後まで戦う必要があるんだ。だからこそ、より保守的にならざるをえない。テストの問題だけではなく、よりリスクをとることができるかどうかの問題だ。エアロダイナミクスでも、彼らは我々よりも1回多くアップデートが可能だ。もし我々が間違えれば、問題になるだろう。
■ホンダからのオファーを断り、ドゥカティにとどまった理由は?
Q.GP24は昨年11月末のバレンシアテストで見られたものから、大きく変わりますか?
A.あれは開発の初期段階のモノだった。すぐに変更が加えられる予定だ。
Q.2023年にKTMが実装したスタートシステムには驚かされましたか?
A.まあ、そうだろう。我々もスタート改善のためのシステムについて考え始めるほどだった。当時、KTM勢のスタートは我々よりも優れていたが、我々もその差を埋めるために反応したんだ。
Q.2024年に最も脅威となるメーカーはどこだと考えていますか?
A.全てのメーカーが、昨年からの修正を試みてくるだろう。2024年にはステップアップしてくると予想している。現段階で、どこがそうなるか名前は出せないがね。しかしコンセッション制度と、シーズン終盤に示されたレベルを鑑みると状況はより複雑になってくるのは間違いない。
Q.ホンダからのオファーを断り、ドゥカティにとどまった理由は?
A.此処に至るまで、多くの犠牲を払ってきた。我々はある年からチャンピオンシップを勝つ事ができていなかった。現在のドゥカティや私を取り囲んでいるような、技術的なレベルでのポジティブな状況を諦めるのは全く馬鹿げたことだ。私の周囲のチームは技術的にも人間的も素晴らしい。ドゥカティは素晴らしいよ。話し合い、議論ができる場所なんだ。こうした甘美なモノを諦めるのは、簡単なことではない。
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