この記事をまとめると
■トヨタ・カローラクロスのハイブリッドモデルとガソリンモデルに試乗した
カローラクロスの顔が海外と違うのは「カワイイ」がイヤだった? カローラマニアが「アメリカ仕様」の日本導入を望むワケ
■どっしりと落ち着いた乗り味のハイブリッドモデルと軽快な身のこなしのガソリンモデル
■カローラクロスには買いやすく使いやすいというカローラらしさが詰まっている
話題のカローラクロスのハイブリッド&ガソリンの両車に試乗
55周年を迎えるトヨタのカローラが、新たなる領域に足を踏み入れた。それがSUVのカローラクロスだ。「伝統に縛られず、常にチャレンジする存在でありたい」とは開発陣の言葉。たしかにかつてはレビンと名乗ったクーペ、IIと名付けたハッチバック、スパシオやルミオンという空間重視のモデルも存在した。「時代のニーズに合ったものを」とSUVのカローラクロスを登場させたことは、カローラにとっては自然なことなのかもしれない。そんな姿勢があるためか、2021年7月にはグローバル累計販売台数5000万台を達成。世界150以上の国で販売されてきた結果がそこにある。
カローラクロスはタイで発売が開始されたことがニュースになり、それ故に海外生産なのかと受け止めている方々もいるようだが、じつは愛知県豊田市の高岡工場で生産されている。タイで発売されたものとはデザインが異なり、トヨタマークではなくカローラの「C」が掲げられたことが印象的だ。ちなみに車独自のエンブレムが許されているのはほかにクラウンとセンチュリーのみ。カローラというブランドがどれだけ大切にされてきたのかが伺えるだろう。
車体はCH-R同様のGA-Cプラットフォームを採用。だが、リヤサスペンションはCH-Rのようにダブルウイッシュボーンとせず、新開発のトーションビームを採用している。結果として5名乗車時で487リッターもの広大で深さのあるラゲッジスペースを確保。これなら家族でアウトドアに出掛けるのだって重宝しそう。この状態でゴルフバックは4個搭載可能だという。また、リヤシートを倒せばロードバイクだって積載できるというから驚きだ。
たしかに室内に乗り込めばかなりの空間が広がっている。ヒップポイントはカローラツーリングに比べて55mmも高めているというのに、頭上空間が豊かな印象が強い。さらに、ベルトラインをむやみに引き上げず、四隅が目視で確認できる感覚があったことも爽快だ。近年は包まれ感重視で、クルマの周囲はカメラ頼りになる車両も多いが、それとは真逆の感覚があった。結果として車庫入れなどもしやすく、豊かに膨らんだフェンダーのおかげもあって、ミラーで車幅が確認しやすいなど、運転のしやすさに優れていたことが印象的だ。
両車の印象は異なるも使いやすいカローラらしさはどちらも健在
販売の9割を占めているというハイブリッドモデルを走らせると、低速からの力強さはまずまず。シャシーはかなりドッシリとして硬質な乗り味で、フラットに突き進む感覚に溢れていた。骨太な感覚があり、ワインディングでもグラつくことなく走れ過ぎてしまうところが意外だった。対してフロアやフットレストあたりに伝わる微振動や突き上げがやや気になったが、これはタイでの悪路を想定して剛性を増したタイヤのセッティングによるところだと開発陣からのちにうかがった。また、停止寸前のブレーキを抜く方向の踏力コントロールに難しさがあったことは気になった。
そんなことを感じてしまうのはガソリンモデルが存在するからだろう。ブレーキコントロールのしやすさ、ハイブリッドに対して、フロント40kg、リヤ20kgも軽く仕立てられたことで、軽快さはかなり高く、さらにエンジンも高回転まで爽快に吹き上がる。SUVであっても軽快な身のこなしが欲しいというのであれば、コチラがオススメだろう。ハイブリッドに対する廉価版じゃなく、走りに振り切ったかに思える仕立が面白い。
最後にリヤシートにも乗ってみたが、ひざ前の空間に豊かさはないものの、背もたれを1段階リクライニング可能なことから、その状態にすれば頭上空間がユッタリと稼げているように思え、さほど窮屈には感じなかった。このリクライニングはわずか0.6度背もたれが倒れるだけなのだが、この機能は有難い。
今回の車両にはパノラマルーフが装備されていたが、一枚モノのガラスで構成されており開放感は抜群。前席よりわずかに高く座らされてくれること、さらには前述したようなサイドの開放感もあり、これなら景色もタップリ楽しめそう。
このように、どのシートに座っていてもその良さを感じられるカローラクロス。このクルマは、買いやすく使いやすいというカローラらしさが詰まっていると感じた。
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