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爆騰で希少GT-Rも次々流出… 旧車イジメ日本と旧車優遇な米国の違い

掲載 更新 61
爆騰で希少GT-Rも次々流出… 旧車イジメ日本と旧車優遇な米国の違い

 近年、かつて絶大な人気を誇った日本のスポーツカーが海外で高値で取引されています。とくに、米国では「25年ルール」と呼ばれる規制の影響によって、貴重な車両が次々と米国に流出しているというのです。25年ルールとは、どのようなものなのでしょうか。

 日本の中古車買取価格は、ひと握りの人気車種を除いて年数が経つほど大きく価値が下がります。しかし、近年では購入時よりも高く売れるモデルが一部のスポーツカーを中心に存在します。

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 一般的には、フェラーリやポルシェ、ベントレーなど高級車のビンテージカーやクラッシックーが高値で取引されるイメージがあります。

 しかし、近年では1980年から1990年代の国産スポーツカーの残存台数が激減していることから、中古車市場で高値で購入する人が多く、販売価格がどんどん高騰しているのです。

 価格が上がる理由はさまざまですが、そのひとつに国外への流出があります。米国での日本車人気は根強いものがあり、「JDM(Japanese Domestic Market)」と称される日本国内仕様などを好む独自の文化や市場が急速に伸びていることも背景にあります。

 また、米国には前述の25年ルールと呼ばれる「クラシックカー登録制度」があり、生産から25年以上経過しているクルマについては排ガス検査なしで輸入できるという制度があります。

 この25年ルールと呼ばれるクラシックカー登録制度は、米国NHTSA(米・高速道路交通安全局)が、初年度登録から25年経過した車両に対し、ヴィンテージ品としての価値を認めて、並行輸入車に対する試験を免除するという規則です。

 米国に存在する25年ルールという制度のなかで2018年頃から話題になっているのが、1990年代の日本製スポーツカーで左ハンドルの設定が無く、米国に輸出されることが無かったクルマ達です。

 クルマの通行区分が右側通行の米国を含む北米では、右ハンドル車の走行は危険だということで、輸入は認められていません。

 しかし、北米で一般ユーザーが乗れないはずの右ハンドル車が、25年ルールによる緩和措置で、1980年から1990年代に登録された日本の高性能スポーツカーを中心に、北米に流れているのです。

 とくに、1989年に登場したR32型からはじまる2.6リッター直列6気筒DOHCターボエンジン(RB26DETT型)を搭載した日産「スカイラインGT-R」を筆頭に、右ハンドルスポーツカーの人気が急上昇しています。

 スカイラインGT-R(R32型)は歴代モデルのなかでもっとも販売台数が多いクルマで、国内の中古車市場でも比較的潤沢に流通していましたが、米国25年ルールやJDMの後押しにより、大量に米国へ流出しているのです。

※ ※ ※
 
 25年ルールの適用でハンドルの位置についての規制が解かれますが、それ以外の規制も緩和されます。

 米国では車検の代わりに「スモッグテスト」と呼ばれる排出ガス検査がありますが、そのような検査もスルーとなり、シートベルトが装着されていない旧車でも大丈夫です。

 また日本の中古車は、走行距離が米国などで使用されていた車両と比較にならないほど短いことも、北米人気が上がっている理由だといいます。

 現状では、中古とはいえないほどの良い状態が日本車の特徴だといえるほか、日本国内では旧車を所有・維持しにくい環境があることも、北米流出を加速させているようです。

■なぜ日本では「旧車」は維持しづらいのか

 現在米国で人気の国産スポーツカーには、どのようなモデルがあるなのでしょうか。

 筆頭は、米国でも人気車のスカイラインGT-Rです。前出のR32型はもちろんR33型も高騰しています。

 また、6速MTを搭載し、1万1344台だけが生産された1999年製のR34型もまもなく25年ルールの対象となります。

 なかでもマイチェン後の「VスペックII」、2002年に登場した生産終了記念モデル「VスペックII・ニュル仕様」は、どれほど価格が高騰するか注目です。

 また、ホンダの初代「NSX」は米国でもアキュラブランドで発売していましたが、右ハンドルの日本仕様が人気のようです。

 日本だけの発売だったサーキット仕様車ともいえる1992年から1995年製「タイプR」も注目株です。なお、1997年から3.2リッターとなり、MTが5速から6速に進化した「タイプSゼロ」に、今後注目が集まるといわれています。

 また、マツダのロータリースポーツ「RX-7(FD3S型)」も米国に流出しているクルマのひとつだといわれ、なかでも最終特別限定車「RX-7スピリットR」が注目されているようです。

※ ※ ※

 日本では、エコカー減税などの導入で燃費が良く環境性能が高いとされる新型車を販売する政策を推し進めています。一方で、減税した分の税収を補うために、国内の旧車ユーザーに重税を課している状況です。

 自家用乗用車と軽乗用車は、初度登録(軽自動車は初度届け出)から13年経過して所有すると毎年の自動車税が上がり、加えて13年と18年を超すと車検毎に支払う自動車重量税も大きく上がります。

 小型/普通乗用車は初年度登録から13年を経過すると自動車税が115%に高まります。

 具体的に記すと排気量1.5リッター以上から2リッター未満の自動車税は、13年以内ならば年額3万9500円ですが、登録から13年(ディーゼル車は11年)を超えると、年額で4万5500円にアップします。

 つまり、旧車ユーザーからたくさんの税金を取って、エコカー減税を担保しているともいえるわけです。

 軽自動車も同じです。軽乗用車税は、初届け出から13年以内であれば年額1万800円ですが、13年を超えると1万2900円に跳ね上がります。

 加えて、自動車重量税も大きくアップします。小型/普通乗用車なら、初年度登録から13年を経過すると139%、18年を経過すると154%に増えるのです。車検を受けるには2年分の自動車重量税を納める必要がありますが、車両重量が1001kg以上1500kg以下のクルマでエコカー減税が適用されない場合、一般的な税率で2万4600円です。これが13年超で2年分3万4200円、18年超で3万7800円にまで跳ね上がるのです。

 もちろん、同じことは軽自動車にも該当します。重量税は普段の車検時2年分なら6600円ですが、初度届け出から13年を超えると24%増えて8200円になり、18年超となると33%増となって8800円となります。

 つまり、日本では13年以上クルマを所有し続けるには、相当な維持費が掛かるということになり、まさに「旧車ユーザーいじめ」としかいいようがない税制なのです。

 日本では旧車ユーザーを無視しているようにも取れる規制が次々に適用されていきます。そんななか、25年という月日を経て、日本で名車と称されたスポーツカーが米国に流出しています。

 2020年の25年前といえば1995年、バブル崩壊という日本経済の危機を迎えた時期でもありました。その荒波のなか販売された名車たちは、米国で再び脚光を浴びているようです。

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みんなのコメント

61件
  • 新車に買い替えさせる為の税制
    自動車メーカーの思惑通りの制度ですね
  • 日本人は新しい物好きだからね〜。
    それに比べて外国人は古い物も大切にするよね。

    新しいのは新しいで良い車だけど、古い車は古い車で良いよ。
    所有してなきゃ分からないから。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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