■壊れたクルマ…どの程度の損傷なら走っても良い?
街中では、交通事故を起こしたのかフロントグリルが大きく破損していたり、オイル漏れを起こしているなど、壊れた状態で走っているクルマを見かけることがあります。
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クルマの外装が壊れているケースや、エンジンルームから煙が出るといった内部機構が故障しているケースなど損傷具合はさまざまですが、このような壊れたクルマで道路を走り続けても良いのでしょうか。
結論からいうと、走行できるかどうかはクルマの損傷状況によって変わるものの、基本的に道路運送車両法で定める保安基準をクリアできない程度の損傷であればクルマを走らせてはいけません。
なぜならば、道路運送車両法では走行中の安全確保や環境保全のため、クルマの構造や装置が一定の基準を満たすものでなければ運転してはならないと定められているからです。
特にボディやタイヤのホイールといった外装の部分と、バッテリーやガソリンエンジンの点火装置などの内部機械は、交通事故による損傷や点検の不備によって故障しやすい部分であり、運転中に何らかの異常があれば注意する必要があるでしょう。
外装部分の損傷については、事故によるバンパーやフロントグリルの破損、ボディのかすり傷、ヘッドライトが割れるなどの損傷が考えられます。
道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第100条ではクルマのボディに関して、車枠および車体が著しく損傷していないこと、車体の形状に鋭い突起がある、または回転部分が突出するなどして他の交通の安全を妨げるおそれがないことなどの基準が定められています。
ボディに大きな損傷があると衝撃吸収能力が失われたり、尖った部分で人に怪我をさせるおそれがあるため、このような基準が決められているのです。
さらに、同告示第120条ではクルマのヘッドライトに関して、視界を確保して安全な運転ができるよう、色が白色であることや、ライトが損傷したりレンズ面が汚れていないといった基準が定められています。
つまり、バンパーを少しこすった程度であればともかく、バンパーやフロントグリルが落下している、ライトが割れているなどの場合は道路運送車両の保安基準を満たさないため、そのままクルマを走らせてはいけないということになります。またクルマが大きく損傷した状態で走り続ければ、警察に事情を聞かれたり整備不良と判断される可能性もあるでしょう。
では、外装に損傷はないものの、マフラーから煙を吹かして走っているトラックやバスなど、内部の装置に異常がみられる場合はどうでしょうか。
実は排気などの煙に関しても道路運送車両の保安基準第31条に規定があり、クルマは走行中にばい煙や悪臭のあるガス、有毒ガスなどを多量に発散しないものでなければならないと決まっています。
クルマの排気管から黒煙が大量に出る場合は車検に通らないケースがあるだけでなく、燃料系統などに異常をきたしている可能性も考えられるため、自動車整備工場で早めに点検することが大切といえます。
また、走行中にエンジンルームから突然煙が出るような故障の場合、エンジンオイルが漏れていたり、冷却水が減ってオーバーヒートを起こしているなどの原因が考えられますが、オイル漏れや冷却装置の水漏れに関しても道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第10条で規定されており、修理する必要があります。
そのまま走り続けると車両火災が起きるおそれもあるため、もしエンジンルームから煙が出た場合には安全なところにクルマを停め、ロードサービスを呼ぶなどして対応しましょう。
そのほか事故などの衝撃でエアバッグが飛び出す事例もありますが、修理に持って行く際にはエアバッグが出た状態で走っても良いのでしょうか。多くの場合、エアバッグが作動する事故であればバンパーや車体なども大きく損傷しているため、その状態で走ることは難しいといえるでしょう。
しかしエアバッグは脱輪や路肩に乗り上げるなど、ちょっとした衝撃で作動するケースもあります。そのような場合、クルマに外見上損傷がなければそのまま修理工場などへ持って行くこともできそうですが、ハンドル装置をはじめ他の部分に異常をきたしている可能性もあるため、大きな損傷がなくても運転せずレッカーなどで移動すべきといえます。
※ ※ ※
クルマが大きく損傷・故障した場合、そのまま走り続けることは法令上も安全の上でもおすすめできません。たとえ軽い損傷に見えても内部が壊れていることがあるため、自動車業者に確認してもらうことが大切です。
また、突然クルマが故障することがないよう日頃からクルマの点検・整備を心がけましょう。
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