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スーパーフォーミュラ実力者ふたりに聞くSF19の印象。2度の王者石浦は「“はまっている”ところ」

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スーパーフォーミュラ実力者ふたりに聞くSF19の印象。2度の王者石浦は「“はまっている”ところ」

 スーパーフォーミュラ鈴鹿公式テスト2日目(3月5日)、この日は完全ドライコンディションに恵まれ、20台の新車『ダラーラSF19』にとっては実質最初の本格的な手合わせという格好になった。そんななかでドライバーは、先代車SF14との違いをどんなふうに感じていたのか。チャンピオン争い常連の実力者、石浦宏明と関口雄飛に聞いた。

 純粋な新車インプレッションを聞くという意味では、ドライバーおよび“陣営”がほぼ固定された状態で新車への乗りかえを迎えた選手が最も相応しい。しかし、2019年はホンダ勢を中心にドライバーの移籍が多く、また移籍していないドライバーもエンジニアリング体制に変化が生じたりしているため、状況ほぼ固定で新車イヤーに入った選手はそれほど多くないのが実状だ。

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 貴重な“体制維持度高めドライバー”としては、石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)と関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)の名が挙げられる。石浦は村田卓児エンジニアと、関口も柏木良仁エンジニアと長きに渡ってタッグ継続中であり、それぞれSF14で何度も優勝を飾ってきている。SF19との初期比較を聞くにはうってつけの存在だろう。

 しかしながら、今回の鈴鹿テストでは両者とも順位的にもうひとつのところに甘んじていた。石浦が初日総合で10番手タイム、2日目はなんと17番手。特に2日目については本人が「ソフトタイヤのニュー(を履いてのアタックタイム)では実質最下位くらいじゃないですか」と苦笑する状況で、「全然、順調じゃないですね」。関口の方は初日が5番手、2日目が9番手と石浦ほど低い位置にはいないが、彼らしい勢いがタイムシート上からは感じられなかった。

 2日目の走行終了直後に石浦が村田エンジニアと話していた雰囲気から察すると、順位低迷には何かしら具体的な不具合の影響もあったようなので、必ずしもセットアップ面で大苦戦しているわけではない可能性もあるが、いずれにしても「いわゆる“はまっている”ところです」と石浦は振り返る。近年の石浦陣営にはあまりなかった状況だ。

「そうですよね、(自分たちとしても)不思議です。SF19に戸惑っている? そうなのかどうか、ちょっとわからないですね。ミディアムの方が、まだ(上位とのタイム)差は少ないと思います。ソフトでの上がりしろが取れていない感じですかね」

 5年間で2度の王座獲得を果たしたマシンであるSF14との違いについては、石浦は現時点でどう感じているのだろうか。その第一声は、やはりというべきか「思ったほど違わないですね」。これは多くのドライバー、エンジニアと同じである。

「アシ(サスペンション)の付いている位置とかは違ってますけど、まっさらな新車ということではないですよね。最初から普通に走れているチームも多いですし」

 激変だったスウィフト(当初はFN09、後年はSF13と呼ばれた先々代マシン)からSF14へ乗り換えたときの変化度合いを100とすると、SF14からSF19は「20くらいじゃないですか」。これはわかりやすい“指標”といえそうだ。

 ただ、石浦は「乗っている感じもSF14に近いですけど、やはり違いはあります」とも語る。「フロントタイヤがワイドになって、ホイールベースが短くなった(3165mmから3115mm)こと、それと空力の影響もあってフロントが(コーナーで)入りやすくなっていると思います」。

■SF14、SF19の好みは「どっちでもいいです、速く走れれば(笑)」と“関口節”炸裂
 SF14時代にはタイヤがヨコハマに変わった際、マシントータルの性格的にフロントがそれまでよりは入りにくい方向にいったそうだが、SF19へのチェンジで、イメージ的にはブリヂストンタイヤを履いていた時のSF14に戻ったような感じなのだろうか?

「そういう感じもしますけど、またそれとも違うんですよ。とにかく、今回は多くを語れるほどいいタイムが出ていないんで(苦笑)。バランスを取るのとグリップを出すのはまた違って、そのへんがSF14ではうまくいっていたんですけどね」

 今回は“泣き”の印象の石浦。だが、「SF14の時もウチは冬(~春先)のテストですごく速かった印象はあまりなくて、開幕戦くらいまでそうなんですよね」と、シーズンが本格化する季節を睨んだ見解も語れるあたり、さすがの余裕を感じる。「新人のつもりでがんばります」という石浦の開幕に向けての挽回、実に興味深いところだ。

 関口にも2日目終了後、去り際にインプレッションを明かした。その内容は次のようなものであった。

「コーナー中間のアンダーステアが減って、進入はピーキーになった印象ですね、今のところは。ただ、タイム自体は(SF14と)似たようなものですし、僕はレースしていないですけどスウィフト(から変わった時)みたいなことはないようですよ」

「SF14からの正常進化マシン? そのあたりも(現段階ではまだ)わからないですね。たとえば今日、SF14で同じ(フロントワイド)タイヤを履いて走ったら、(熟成されたSF14と新車SF19の)どちらが速いかはわからないと思いますし。タイヤがワイドになったことのストレート速度への影響とかも、まだちょっと把握できていないです」

「(SF14とSF19、現状でどちらが好み?)どっちでもいいです、速く走れれば(笑)」

 石浦ほど“はまっている”印象はない関口だが、やはりマシンに大きな変化を感じているわけでないことは共通しているといってよさそうだ。

 そして、これは新車導入時やタイヤ銘柄変更時には大なり小なり必ずあるものだが、前のマシン状態で高実績を残している選手や陣営ほど、新しいハードの初期感触がもうひとつしっくりこない、あるいはしっくりきていないように見える、そういった状況は今回もある程度、発生しているようである。

 そこが新ハード導入におけるシリーズ側のひとつの狙いであり、選手やスタッフには申し訳ないが、だからまた面白くもなるのだ。

 ちなみにSF19はリヤウイング左右の上部に、荒天時の後方車からの視認用ランプがあるが、これについてはモースポフェスの雨中の集団走行をした時の印象として、関口、石浦とも「見えませんでした」とのこと。「すごく近くまでいけば違うかな、とも思いますけど、(レースで)そんなに近くにはいかないと思うので」(関口)。ただ、ふたりは決して不満だと言っているのではなく、「タイヤとディフューザーがある限り、(水煙の軽減は)難しいもの」(石浦)という冷静な見解を述べている。

 シーズン前1回目のテストを終えた各陣営のSF19。残された走行機会は3月26~27日に富士スピードウェイで開催される公式テストのみ。石浦、関口と昨年までのSF14時代に主役を務めたドライバー、そして環境を変えて臨むライバル、ルーキーたちは、マシンをどこまで手懐けることができるだろうか。

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