2021年6月10日、新型トヨタランドクルーザーが世界初公開された。ランドクルーザーといえば、日本国内だけでなく、世界中で人気の高い本格オフローダー。特に砂漠の広がる中東地域においては抜群の人気を誇っている。
そのランドクルーザーの人気の証明となるのがリセールバリューの高さだ。
リセールバリューというのは、クルマを手放す際の残価率の高さだ。当然残価率が高ければ、次のクルマに乗り換える際に用意する資金は少なく済むというわけ。アルファードなどの人気車は高い残価率を示しているが、そのなかでも断トツの高さを誇るのがランドクルーザーシリーズと言われている。
そこで、今回は都市伝説ともなっている「リセールバリューの高さはランドクルーザーが1番!」は本当なのか? を検証してみる。
文/萩原文博
写真/TOYOTA、ベストカー編集部
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■ランクルの前にパジェロのリセールを調べてみると?
クルマ本来の価値というのは新車の場合、減価償却費用の償却率0.333によって6年で帳簿上の価値はなくなる。しかし、それは帳簿上だけであり買取や下取りでそれ以上の査定価格が提示されることがある。それがリセールバリュー(残価率)だ。
当然ながら、人気車は減価償却率よりも高い残価率を示し、帳簿上の価値がなくなった10年落ちの中古車でも査定価格が提示される。しかし不人気車の場合は査定ゼロで、廃車費用を追加で支払う場合もあるのだ。
今回は新型車が発表されたばかりの200系と呼ばれる現行型ランドクルーザーとランドクルーザープラドの5年落ち(2016年式)。そして7年落ち(2014年式)の査定価格を調べてみた。
2015年のマイチェンでフロントマスクをはじめ、外装デザインを大幅に変更したランドクルーザー200系
ランドクルーザー200系の初期型デザイン。2007年に登場した
こちらはランドクルーザープラドの初期型。現行型のプラドは2009年に登場し、2013年と2017年に外装デザインなどを変更している
まずは、基準値として同じ本格オフローダーの三菱パジェロの査定価格を紹介する。すでに絶版車となっている三菱パジェロだが、「5ドアロングエクシード」グレードのディーゼル車とガソリン車の査定価格をそれぞれ調べてみた。
今回、ランドクルーザーの比較対象とした三菱パジェロ。5年落ちの残価率は50%を超えていて、なかなか高い
まずは5年落ち、2016年式だが、ガソリン車のロングエクシードの査定価格は約225万円で、残価率は約58.6%。そしてディーゼルターボロングエクシードの査定価格は約283万円で、残価率は約57.1%とガソリン車のほうが上回っている。5年落ちで残価率50%超えはなかなか高く、パジェロの人気の高さが窺える。
続いて7年落ちとなる2014年式では、ガソリン車のロングエクシードそしてディーゼル車のロングエクシードともに査定価格は約73万円で、残価率はガソリン車が約19.1%、ディーゼル車が約14.8%とわずか2年でガクンと下がってしまっている。
■ランクルはどう値落ちするのか
これを踏まえて、まずは200系ランドクルーザーから見てみよう。
200系のランドクルーザーは2007年に登場し、まず2009年4月の一部改良で、搭載する4.7L V8エンジンが従来の2UZ-FE型から4.6L V8の1UR-FR型へと変更された。同時にトランスミッションも5速から6速ATへと多段化されている。
ランドクルーザー200系の初期型。これまで何度か改良が実施されていて、パワープラントの変更など大掛かりな変更も受けている
2011年12月に1度目のマイナーチェンジを行い、内外装の変更やオフロードの走破性を向上させるマルチテレインセレクトなどを採用。
そして2015年8月に2度目のマイナーチェンジを行い、内外装のデザインを大幅に変更したのに加え、ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせた運転支援システムを全車に標準装備し安全性を向上させている。
5年落ちの2016年式ランドクルーザーの査定価格と残価率を見てみると、ベーシックグレードの「AX」では約388万円で残価率は75.4%。そして「AX Gセレクション」は約411万円で、残価率70.1%。最上級グレードの「ZX」の査定価格は約547万円で、残価率は驚異の約80%となっている。
残価率約80%というと一般的には2年落ちくらいで記録する数字で、これを5年落ちの査定価格で提示できる200系ランドクルーザーの人気は計り知れない。
続いては7年落ちの2014年式の査定価格と残価率を見てみる。
まずベーシックな「AX」は約251万円で、残価率は約50.1%、「AX Gセレクション」は約273万円で、残価率は約47.8%。そして最上級グレードの「ZX」は約321万円で、残価率は49.1%となり、5年落ちとは逆転現象が起き、ベーシックグレードの「AX」が最も高い残価率となっている。とはいえ、差は僅差なので「AX」と「ZX」の人気の高さがよくわかる。
■実は残価率の高い「プラド」
続いては、ランドクルーザープラド。150系と呼ばれる現行モデルは2009年に登場。当初はガソリンエンジンのみだったが、2015年6月の一部改良で、約8年振りにディーゼルターボエンジンを搭載した。
写真はプラド初期型 最上級グレードの「TZ-G」。現行モデルは先代型にあったショートの3ドアは廃止され、5ドア車のみになった
まず5年落ちの2016年式の査定価格と残価率を見てみると、ガソリン車の「TX Lパッケージ7人乗り」は約258万円で残価率は65.2%。ディーゼル車の「TX Lパッケージ7人乗り」が約278万円で残価率59.1%。そして最上級グレードのディーゼル車の「TZ-G」の査定価格は約297万円で残価率57.8%となり、パジェロ同様にディーゼル車よりガソリン車の残価率が高くなっている。
さらにガソリン車のみだった2014年式の7年落ちの「TX Lパッケージ」の査定価格は約231万円で、残価率はなんと200系ランドクルーザーを超える約61.3%を記録しているのだ。
これまでは200系のランドクルーザーの残価率が高かったのだが、新型の発表により年式の進んだモデルの査定価格が渋くなりはじめたのかもしれない。
■残価率含めてお買い得なのは?
同じSUVのパジェロとランドクルーザーシリーズでリセールバリューを比較してみると、5年落ちまではパジェロもかなり高い残価率をキープしている。
しかし7年落ちの残価率ではランドクルーザーシリーズとでは圧倒的な差がついてしまっている。7年落ちとなっても高い残価率をランドクルーザーシリーズはキープしていることは確認できた。
しかし、今回の検証でこれまでの都市伝説が崩れたことがある。
ランドクルーザーシリーズ全体のリセールバリューは今も高い。
しかし、シリーズのなかでトップモデルのランドクルーザー200系のリセールバリューが最も高いと思われていたが、それは5年落ちまでは正しいのだが、7年落ちとなるとランドクルーザープラドのほうが高くなっているのだった。
そして、ランドクルーザープラドでは、ディーゼル車よりガソリン車のほうが残価率は高くなっているということも調べてみてわかった。
ディーゼル車の新車時価格はガソリン車よりも高いが、さまざまな免税措置があり、しかも燃料代が安い。しかし、その新車時価格差を燃料代で埋めるのは相当走らないと無理ということもあるので、グレード選びは悩ましいところだ。
2017年のマイチェンで外装が大幅に変更されたプラド。フロントマスクやリアコンビランプなどのデザインが変更され、先進安全装備が標準で装備されている
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みんなのコメント
どんなに経っても10万以上の値落ちはしないし、保険料は安いし・盗難合うはずもない…傷つけても問題ないし
買い換える際に下取りに出して、営業マンの好意で10万円で下取りしてもらえるかもしれない。
実質残価率100%(^^)