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ヒョンデ インスター スモールEVの登場で、EVのメリットが大衆化する【試乗記】

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ヒョンデ インスター スモールEVの登場で、EVのメリットが大衆化する【試乗記】

2024年8月にその第1報をお伝えしたが、ようやく国内発売され試乗することができた。HyundaiのスモールEVインスターは当初から、国内にジャストフィットするとお伝えし、コストパフォーマンスにも魅力があることをお伝えしてきた。

インスターはAセグメントのスモールEVで、韓国では日本の軽自動車規格と似たような「軽車」規格のモデルだ。税金が安かったり、通行料、駐車料金が安かったりするそうだが、その軽車は軽自動車規格には適合しないので、国内では通常の「登録車」扱いになる。

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全長3830mm、全幅1610mm、全高1615mm、ホイールベース2580mmというサイズで、国内のAセグメントは少なく、サイズ比較が難しい。スズキのクロスビーがそれに近く全長3760mm、ダイハツロッキーは3995mm、ミニバンだがソリオが3810mm、ちょっと古いが日産マーチがほぼ同サイズだ。もちろん、人気のアクアやヤリス、フィット、マツダ2などはひとクラス上のBセグメントサイズなので、おおよそサイズ感は掴めると思う。

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本国仕様との違い

じつは、これまで試乗してきたのはいずれも韓国仕様のモデルで、左ハンドルだった。今回試乗試乗したのはもちろん、日本仕様の右ハンドルで、国内に合わせた仕向地仕様のBEVモデルだ。49kWhのバッテリを搭載し458kmの航続距離がある利便性の高さも兼ね備えたモデルなのだ。

本国仕様との違いでは、そのハンドル位置の違いのほか、いくつかこだわりの仕様変更があるのでお伝えしよう。その中でも乗り心地と装着タイヤが異なっていた。本国仕様ではタイヤがオールシーズン・タイヤを標準としていたが、日本仕様ではサマータイヤが装着されている。

また乗り心地の違いでは、そのタイヤによる違いもあるが、ダンパーの見直しをしており、初期入力の突き上げがなくなり、マイルドになっていた。もともと本国仕様では、その突き上げ感は気になる部分ではあるが、じわりと荷重がかかる動きではストロークも長くゆったりと動くサスペンションだった。

そのためAセグメントのトーションビーム式サスペンションとしてはクラスレベルなのだが、日本仕様ではその突き上げ感を嫌い、初期入力からしっかり減衰する方向に変更している。そのため、全体に乗り心地が良くなった印象を受けた。つまり、より上質になるチューンが行なわれたというわけだ。またステアリングもやや重めの設定から軽くなり、誰もが操舵しやすいと感じるだろう。

また日本向けに変更した機能のひとつに、ナビゲーションのNSCCをもとにカーブを読み、車速をコントロールする機能を持たせ、50Rから300Rの範囲で旋回速度を制御。曲率と車速のチューニングを行なっている。NSCCは高速道路では前車との車間距離を自動コントロールしたり、車線維持、車速維持をするNavigation Based Smart Cruise Controlの略だ。

インスターの特徴

インスターの特徴としてクラスを超える静粛性もある。フロントサイドウインドウの板厚を上げ、ボディシーリングを強化し、さらにフラットボトム化することなどもあり、走行ノイズは小さく、常に静かな車内が維持される。ちなみにCd値は0.309とクロスオーバーSUVのルックスだが、スペックは良い。

運転席に座りシステムを起動させる。スタートはエンジン車と同じようにダッシュボードにあるボタンを押す。そしてコラムポスト右側にドライブセレクターがあり、前進は前回転、後退は手前に回転させてセレクトする。そしてウインカーレバーも右側にあり、輸入車にありがちな、ハンドルは右でもウインカーレバーは左ということはない。

動き出しは滑らかにEVらしく走る。アクセレーションも本国仕様とは異なり、滑らかに加速するプログラムになっている。少しのペダル操作で飛び出し感がある「アクセルの早開き」とは逆の制御は好ましい。

ウインカーを点灯させるとメーターパネルに小窓が出て、曲がる方向の後方画像が映し出されるため、巻き込みの心配がない。そしてパドルシフトを装備し回生ブレーキを任意に操作できる。回生ブレーキ の強さは3段階で調整きるi-Pedalを装備し、右のパドルを長引きするとオートモードに設定できる。オートモードでは完全停止までする。

運転支援、安全性能では、ADAS機能は最新の装備を持ち、特に国内では話題になるペダル踏み間違いによる事故防止、被害軽減では、国交相が定める「ペダル踏み間違い急発進抑制装置=PMPD」を、インスターでは同じ機能で国際的な搭載の流れのPMSAを装備している。これはペダル踏み間違い時加速抑制装置になる。

ユニークなデザイン

インスターの特徴はそのアイコニックなデザインもあげることができる。Hyundaiではパラメトリックピクセルデザインと呼ぶデザイン手法で、四角をうまく使ったデザインと丸をモチーフにしたデザインを組み合わせてインパクトのあるエクステリアデザインになっている。ひと目でインスターとわかる表情をもち「カッコかわいい」とHyundaiも表現している。

インテリアも四角をベースにピクセルデザインされ、スイッチ類は四角で統一され、左右の丸いスイッチが後方から見るとインスターの顔に似たデザインになっているあたりもアイディアを感じさせるものだ。

モニターは10.25インチのモニターと同サイズのメーターパネルを装備するが、大きいと感じるレベルではないが実用にして十分な大きさだ。またスマホの非接触充電Qiも装備し、ドア開閉には車両に登録したスマホやスマートウオッチをかざすだけで解錠、ロックができる。さらにアンビエントライトを装備していたり、直接車両から100Vの電源を取り出し家電が使えたりするV2Lアダプターを付属していたりと高級車向け装備を持っていることも魅力だ。

実用性はいかに

実用面ではフロントシートはヒーターだけでなくベンチレーションを備えている。Aセグメントで備えたモデルはおそらく他にないのではないか。また運転席のシートバックもフラットに倒すことができ、広大なフラットスペースができることも実用性が高い。

また、偉いのは乗車乗員数を4名にしたことだ。5名乗りにこだわらず、スモールカーだから4名がしっかり座れることを大切にし、割り切って4名乗車とした。だから大きめの大人が4人乗っても窮屈にはならないのだ。とくにフロアがフラットなこともあり、居住スペースは快適そのものだ。

またリヤシートはスライドも可能で、リクライニングもするので、後席はハズレではなく、上級モデルのように快適な乗車位置になっている点も高く評価できる。

さて、国産のAセグメント・スモールカーには、エンジン車しかなく、バッテリーEVはない。これまでEVは輸入車の高級ブランドを中心に国内展開されていたが、インスターが国内デビューしたことで、EVの庶民化というか、大衆化というか、購入しやすい価格での提供が本格化する時期にシフトチェンジする可能性がある。

また、EVのメリットであるキャビンの広さやフラットなフロアなどストレスのない居住空間、荷室スペース、走行ノイズの小ささ、そして100V電源がいつでも使える、災害時などのV2Hにも対応するなどEVにしかできない性能もある。さらに電子制御系が最新のものとなっているため、ナビゲーションと連動する運転支援装置、安全性性能も手に入れることができる。

補助金は別として、インスターはエントリーグレードの「カジュアル」が284万9000円からで、トップグレードの「ラウンジ」が357万5000円となっている。もちろん国産のAセグメント車よりは高くなるが、車検やメンテナンス、充電費用などのランニングを計算してみると検討のテーブルに上るのではないだろうか。

諸元

価格

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文:Auto Prove 高橋 アキラ
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みんなのコメント

15件
  • tat********
    サクラより2.5倍の航続距離、なぜこのサイズのEVを日本メーカーは出さなかったのか。デサインもカッコ可愛くて良い。ぶっちゃけ、欲しいです。
  • AKI
    ヒョンデの工場ってスマホで動画見ながら足で車のドア蹴ったりしながら横柄な態度で車作ってるんだよねwww
    そんな自動車メーカーの車を誰が買うの?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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