レッドブルのマックス・フェルスタッペンがF1サンパウロGPのオープニングラップで見せた走りは、1993年にアイルトン・セナがドニントンパークで見せたオープニングラップに匹敵するものだと称賛されている。
17番グリッドからの衝撃的な勝利で、チャンピオン4連覇を大きく手繰り寄せたフェルスタッペンは、ポジショニングの上手さと巧みなオーバーテイクのコンビネーションによって最初の3つのコーナーで6ポジションアップを果たした。
■F1大逆転劇列伝:フェルスタッペンまさかの17番グリッドから大逆転勝利。しかし上には上がいる
オープニングラップ終了時点で10番手のルイス・ハミルトン(メルセデス)の背後につけたフェルスタッペンは、ターン1へのブレーキングでハミルトンすらオーバーテイク。わずか1周でポイント圏内まで浮上した。
レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、フェルスタッペンが苦もなくポジションを上げていく様子を、1993年のヨーロッパGPでセナが見せたようなものだと例えた。
1993年のヨーロッパGP、ドニントンパークでのウエットレースに4番グリッドからスタートしたセナは、一時5番手にポジションを落としたものの、そこから鮮烈な走りを見せた。ミハエル・シューマッハーやカール・ヴェンドリンガー、デイモン・ヒル、アラン・プロストをオープニングラップに次々攻略。あっという間にトップに浮上し、他を置き去りにした。
この”雨のドニントン”は、セナのパフォーマンスを物語るシーンに必ず挙げられるほど伝説的なモノであり、いつまでも語り継がれるレースとなっている。
ホーナー代表は、フェルスタッペンが予選Q2でノックアウトされた悔しさをバネに立ち直ったことを称賛しながら、ブラジルでF1がそれと同じくらい特別なものを目撃したと考えている。
「今日は感情のジェットコースターのようだった。我々は良いクルマを持っていると知っていたからね」
「マックスの精神的な強さとそれに対処する姿勢は素晴らしい。それに今日の彼のスタートは、衝撃的なモノだった」
「あの最初のラップは、93年のドニントンに匹敵するものだった。1周目に6台を抜いたと思う。あの後、他のマシンを交わして本当にポジションアップできていたのは彼だけだった。ターン1へのブレーキングもとても遅かった」
「ルイスにしろ、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)にしろ、リスタートではエステバン(オコン/アルピーヌ)もそうだ。そして、彼はレースをコントロールし、時には1周あたり1秒のペースで簡単に引き離した」
「今日は(天気が)かなり陰鬱な1日だったが、彼は今日かなり輝いていた」
前戦メキシコシティGPで計20秒のペナルティを受けたということもあり、フェルスタッペンのドライビングが注目された週末だったが、ホーナー代表はフェルスタッペンがそのパフォーマンスで批判に応えたと感じている。
「もちろん、マックスや彼のドライビングに対するコメントや意見はたくさんあった。そういった批判に答えるには、彼のようなドライブをするのが一番だと思う」
「我々は、サマーブレイクの前からリードが目減りし続けるのを見てきたし、6月以来勝てていなかった。ガレージで再びローリング・ストーンズの音楽が聞けたのは素晴らしかった。ディートリッヒ・マテシッツ(今は亡きレッドブル共同創設者)が、グランプリで勝つたびに流していたのを覚えている」
ブラジルでの勝利がフェルスタッペンがF1史上最高のドライバーであることを示すものだと感じているかと尋ねられたホーナーは、次のように答えた。
「レース後、バーニー(エクレストン/かつてのF1グループCEO)が私に電話をかけてきて、『私は歴代の偉大なドライバーを見てきたが、彼は私が見てきた中で最高のドライバーのひとりだ』と言っていた」
「彼は私より少し年上で、より多くのものを見てきた。彼のような人物からの評価は非常に高いんだ」
この勝利で、フェルスタッペンはランキング2番手のランド・ノリス(マクラーレン)に対するポイント差を62点に拡大。タイトル4連覇に向けても、大きな勝利となった。
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みんなのコメント
今のフェルスタッペンとはちょっと立場が違うと思う