現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 試乗、マクラーレン570Sスパイダー 「いい意味でクーペと同じ」

ここから本文です

試乗、マクラーレン570Sスパイダー 「いい意味でクーペと同じ」

掲載 更新
試乗、マクラーレン570Sスパイダー 「いい意味でクーペと同じ」

もくじ

どんなクルマ?
ー 構造ゆえ、剛性不足とは無縁
ー ルーフ以外、多くの場合がクーペ同様

ランボルギーニ初の女性役員 インテル・ミラノ、NBAイタリアで活躍

どんな感じ?
ー サウンド、回転フィールは?
ー 走りを検証 風の巻き込みは?

「買い」か?
ー 「一度運転すれば……」

スペック
ー マクラーレン570Sスパイダーのスペック

どんなクルマ?

構造ゆえ、剛性不足とは無縁


マクラーレン570Sのクーペボディからスパイダーが派生することに関して、理解することはかたくない。



固定式の屋根を、時速40km/hまで開閉可能なリトラクタブルルーフに付け替えたマクラーレン。クーペやサルーンからロードスターを生み出す場合、補強のための少なくない重量増やスカットルシェイクなどのネガティブ要素が生じる場合が多いが、カーボンファイバー製のモノセル・タブ構造により、マクラーレンの場合は該当しなかったからだ。



このタブ構造は、F1と基本的に同じアプローチだ。構造補強のための、鉄やアルミニウムによる凝った構造が必要なく、雨風を防げる折りたたみ式のルーフが備わるだけ。オープン化による重量増は中学生並みの46kgで、助手席の大人を子どもに乗せ替えればトレードオフできるだろう。



最高速度はルーフを閉じていれば328km/hで、0-100km/h加速は3.2秒と570Sクーペと変わらないが、ルーフを開けると313km/hに若干低く制限される。カーボン製のタブは、MP4-12Cの頃から変わらずオーストリアのカーボテック・ヨーロッパ社が製造しているが、2019年からはマクラーレンが新たに英国のロザラムに準備する工場で製造される予定となっている。



リカルド社と共同開発された3.8ℓV8ツインターボエンジンは、ショアハムの工場で組み立てられ、570psを発生。このV8はデュアルクラッチの「シームレスシフト」7速ATで駆動される。スパイダーのパワーウエイトレシオは380ps/トンで、200km/hまでわずか10秒で到達する俊足だ。

ルーフ以外、多くの場合がクーペ同様


開閉するルーフ以外、残りの部分は570Sクーペとほぼ変わりはない。サスペンションは比較的コンベンショナルな、鉄製のコイルスプリングにアンチロールバーとアダプティブダンパーという組み合わせ。

またアンダーステアを抑える電子技術のひとつとして、コーナー内側のリアホイールにわずかにブレーキをかける、ブレーキステアが備わるのが特徴だ。





フロントに6ポッド、リアに4ポッドのキャリパーがカーボンセラミック製のブレーキディスクを掴み、十分な制動力を確保する。ドライビングモードはノーマルとスポーツ、トラックの3種類が準備され、パワーステアリングは電動油圧式となる。





インストゥルメント・パネルは、マクラーレンでは見慣れた感のある10.0インチTFTモニターで、7.0インチIRISタッチスクリーン式のインフォテインメントシステムもクーペと同様。唯一の変化としては、クーペのルーフ後端にあったアーチ状のフライングバットレスがなくなったことと、リアスポイラーが12mm高くなったことくらいだ。

どんな感じ?

サウンド、回転フィールは?

エクステリアは見とれるほど美しく仕上げられている。それだけに、この美しいクルマに、どうやって乗り込むべきか、考える価値はある。先にお尻から腰掛けて足を引き入れるか、左足から先に乗り込み、Aピラーに手をかけて乗り込むか。どちらが美しいだろうか。

ふんだんなアルカンターラに包まれる洗練されたインテリアは、マクラーレンによるハンドメイド。ドライバーの正面には視認性の良い高精細デジタルモニターが位置しており、3つの走行モードは、フロアにマウントされたセンターコンソール上のふたつのダイヤルから選択が可能だ。インフォテインメントシステムのタッチ式モニターは、操作性の良い、インパネの高い位置にレイアウトされている。

570Sスパイダーが発するエンジンスタート時のノイズは、ルーフを開けていれば一層心地よく耳に届く。トランスミッションの初期設定はオートマティックモードだが、パドル操作が優先され、ボタンを押せば完全なマニュアルモードも選択可能となる。

一般道でも、運転は安楽だ。大きな強みは、ダイレクトなパワー感を、繊細で上品にコントロールしている点。イタリア製のミドシップ・スーパーカーに心を奪われないようなドライバーに対しても、訴求できる。攻め立てた走りを望まない場合でも、非常に快適にドライブできるはずだ。腕に自信のあるひとを含むほとんどのオーナーにとって、一般道を前提としたクルマには570psという最高出力は過剰であり、この味付けは間違いではないと思う。

一方で気持ちの準備が整ったなら、スロットルを深く踏み込むことで、落ち着きのある凶暴さとでもいうようなスパイダーの本性を味わうことも可能だ。向こう見ずなアクセルペダルの操作は、特に低いギアでは避けた方が良いだろう。

ツインターボエンジンは完璧なリニア性を保って、アイドリングから8250rpmのレッドゾーンまでパワーとトルクを供給するため、望むぶんだけの加速を得られる柔軟性を持っている。ただし、ターボ化されたエンジンノイズは自然吸気エンジンほどメロディアスではなく、エンジニアは代わりに盛大なボリュームで吸気音が聞こえるようにセッティングしたようだ。

走りを検証 風の巻き込みは?

シフトチェンジは瞬間的に完了する。スロットル変化もスムーズで、トルクの増減も超高速でシームレスにこなされる。一方、スポーツモードで全開加速をする際は容赦なく、明確な変速ショックが背中を打ち、エンジンからの熱狂的な叫びが響き渡る。

郊外路で2時間ほどドライブしたが、正直なところ、シャシーモードのノーマルとスポーツとの違いを説明するのは難しいと感じられた。恐らく、しきい値自体が高く設定されているのだろう。

ステアリングはリニアで、操作に対して非常に正確に反応する。センター付近での過剰なレスポンスも無い。優れた重量バランスによって慣性モーメントが少なく、向きを変える際のエネルギーが小さくて済むためで、ミドシップならではの美点だ。

非常に俊敏なマクラーレンだが、コーナリングの途中で意図的に操作したとしても、ハンドリングはニュートラルに徹する。また、英国の一般的な路面状況なら、驚くほどしなやかな乗り心地を提供してくれる。

カーボンセラミック・ブレーキは、必要以上な敏感さもなく、しっかりとしたペダルの感触とともに、意図した通りの制動力が発生する。

そしてルーフの開閉だが、最大40km/hまでなら、スイッチを引き上げるとクローズし、押し下げるとオープンとなる。気をもむようなことはない。

英国の一般的な交通の流れで走行している限り、オープン時でも車内への風の巻き込みは酷くない。ガラス製のリアウインドウは25mmほど下がり、恐らく車内の空気流を乱れさせない目的なのだろうが、上がっていても下がっていてもさほど変化はなかった。ルーフを上げてしまえば、キャビンはクーペと変わらない上質な空間となる。

「買い」か?

「一度運転すれば……」

ロードスターとクーペの両方を兼ね備える開閉自在のリトラクタブル・ハードトップにより、楽しみに溢れたオープンエアでのドライビングを可能にしてくれる。£20,000(296万円)の追加予算が必要だが、迷うことはないだろう。

マクラーレンは、3種類揃った570の中でスパイダーが最も人気となり販売数の約50%を占め、GTは40%、クーペは10%の数になるだろうと予測する。

英国の綺麗な路面でも荒れた路面でも、安定した乗り心地を提供してくれ、日常的に使用することが現実的に可能なモデルだ。にも関わらず、570Sスパイダーはこの文面で書ききれないほど印象深い存在でもある。

非常に美しく、本物のクラフトマンシップの上質さを感じ取ることができる。搭載されている技術も極めて高く、パワートレインとシャシーは完璧な組み合わせに仕上がっている。

しかし最も評価されるべき点はは、いつでも好きな時に乗れる柔軟性だろう。見やすいドアミラーのおかげでバックでの駐車もしやすい。穏やかな走りも可能で、フロントには大きな荷物スペースも確保されている。しかも運転席の後ろに格納されるルーフが、天候を選ばない完璧なロードトリップを約束してくれる。

1度運転すれば、魅了されるに違いない。

マクラーレン570Sスパイダーのスペック

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
AUTOSPORT web
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
ベストカーWeb
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
Auto Messe Web
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
AUTOSPORT web
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
Auto Messe Web
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
乗りものニュース
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
レスポンス
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
AUTOSPORT web
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
motorsport.com 日本版
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村