現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 6台のみ作られた幻のフェラーリ! 「288GTOエボルツィオーネ」は「F40」への進化の過程だった

ここから本文です

6台のみ作られた幻のフェラーリ! 「288GTOエボルツィオーネ」は「F40」への進化の過程だった

掲載 9
6台のみ作られた幻のフェラーリ! 「288GTOエボルツィオーネ」は「F40」への進化の過程だった

グループBなぞ考えてなかった「288GTO」

 フェラーリは1984年のジュネーブ・ショーで、当時のFIAが定めたグループB車両として「GTO」(後に250GTOとの混同を避けるため、288GTOと呼ばれるようになる)を発表するが、それは最初からグループBのホモロゲーションを得ることを目的としたモデルではなかった。

ついに6億円オーバー! フェラーリ「288GTO」はもはや別格扱い! スペチアーレの高騰で予想されるオークション動向とは

 エンツォ・フェラーリと、先日他界した当時のチーフ・エンジニア、ニコラ・マテラッツィの間で交わされたのは、200台から300台を販売する、排気量が3Lクラスの新型車を開発せよということのみで、そこにはグループBの概念は一切なかったと、生前のインタビューでマテラッツィ氏は語っていた。

6台のみ製作された「エボルツィオーネ」

 結局そのとおりに、288GTOは1984年から1987年にかけて272台が生産されたのみで限定車としての役割を終えることになるが、マテラッツィ氏を始めとする当時のエンジニアリング・チームには、1987年に迫ったフェラーリの創立40周年を記念するアニバーサリー・モデルを企画・設計しなければならないという重要な仕事が残されていた。

 ちなみに288GTOの生産過程では、その記念モデルがどのようになるのかというプランは未定であり、マテラッツィ氏によれば3つほどの企画があったというが、その中で最終的に選択されたのは、288GTOをさらに進化させた究極のスーパースポーツを生み出すことだった。

 そのために製作されたのが「288GTOエボルツィオーネ」で、製作台数はトータルで6台。このうち1台は実際に288GTOをドナーとして用いているが、残りは最初からエボルツィオーネとしてのスペックで製作されている。

エアロダイナミクスを追求したスタイル

 288GTOエボルツィオーネのスタイルは、288GTOよりもさらにエアロダイナミクスを意識したものに仕上がっている。ボディパネルには新たにカーボンやケブラーといった軽量素材が用いられ、その空力特性もCd値で0.29という数字が証明しているように非常に優れたものになっている。

 スタイリングで最も特徴的な部分といえるのは、やはり288GTOや後のF40と比較すると丸みを帯びたフロントセクションの造形だろうか。左右のケブラー製ドアパネルや288GTOで採用されていたトンネルバックスタイルを廃し、エンジンルームを放熱用のスリットが刻まれるプレキシグラスで覆う手法なども、後のF40に大きな影響を与えたテクニックである。

 アジャスタブルタイプのリヤウイングや、数多く設けられたボディ背面のスリットもまた、スパルタンの一語に尽きる仕上がりだ。

 シャシーのセッティングを含めたこれらの作業を、フェラーリのセミワークス的存在ともいえるパドバのミケロットと共同で行う一方で、マテラッツィ氏を中心とするチームは搭載エンジンの開発に積極的に取り組んだ。

 マテラッツィ氏が288GTOエボルツィオーネのために試作したエンジンは2タイプ、F114CK型とF114CR型である。これらはいずれも288GTOのF114B型をベースとするもので、圧縮比の向上やターボチャージャーの大型化、カムシャフトや吸排気系のデザインを見直すことなどによって、F114CR型では530ps、F114CK型では650psの最高出力を得ることに成功している。

 今回RMサザビーズがプライベート・セールス(個人間売買)に出品したシリアルナンバー:79888の288GTOエボルツィオーネは、このうちF114CR型エンジンを搭載するもの。製作は1985年から1986年にかけて行われている。

 残念ながら、今回のプライベート・セールスでは売買が成立しなかった288GTOエボルツィオーネだが、フェラーリ自身が現在も2台を所有していることを考えると、市場に出回るのはわずかに4台。それを手に入れるチャンスは、そう簡単には訪れそうにはない。

 ちなみに現在この個体は、シークレット・オークションで新たな買い手を待っている状態だ。

こんな記事も読まれています

マツダ新型「ステーションワゴン」!? 美麗スタイルで「マツダ6“ワゴン”」後継モデル誕生? 登場熱望の「EZ-6ワゴン」予想CGに反響アリ
マツダ新型「ステーションワゴン」!? 美麗スタイルで「マツダ6“ワゴン”」後継モデル誕生? 登場熱望の「EZ-6ワゴン」予想CGに反響アリ
くるまのニュース
【トヨタ勢がランキング席巻】 6月期および2024年上半期 登録車新車販売の車名別ランキング
【トヨタ勢がランキング席巻】 6月期および2024年上半期 登録車新車販売の車名別ランキング
AUTOCAR JAPAN
F1新規参戦アウディ、ドライバー起用条件は“忠誠心”? 長期的なコミットメント求める。ボッタスにチャンス到来か
F1新規参戦アウディ、ドライバー起用条件は“忠誠心”? 長期的なコミットメント求める。ボッタスにチャンス到来か
motorsport.com 日本版
鈴鹿8耐:強豪揃いのSSTに「今まで以上に気が抜けない」と岩戸。Kawasaki Plaza Racing Team、体制新たに目指す2度目のクラス優勝
鈴鹿8耐:強豪揃いのSSTに「今まで以上に気が抜けない」と岩戸。Kawasaki Plaza Racing Team、体制新たに目指す2度目のクラス優勝
AUTOSPORT web
静岡の誇るプラモデルの魅力を振り返り、近未来像を探る特別展を駿府博物館で開催
静岡の誇るプラモデルの魅力を振り返り、近未来像を探る特別展を駿府博物館で開催
カー・アンド・ドライバー
【捲土重来】 6月期のランキング ホンダNボックスが首位奪還 2024年上半期でも首位
【捲土重来】 6月期のランキング ホンダNボックスが首位奪還 2024年上半期でも首位
AUTOCAR JAPAN
フォルクスワーゲンが「リヴィアン」に8000億円投資! しかしVWの「盲点」となりうる“あのブランド”の正体
フォルクスワーゲンが「リヴィアン」に8000億円投資! しかしVWの「盲点」となりうる“あのブランド”の正体
Merkmal
「僕たちは今後も戦うだろうし、楽しみにしている」フェルスタッペンとの再戦を望むノリス。アプローチは変えないと主張
「僕たちは今後も戦うだろうし、楽しみにしている」フェルスタッペンとの再戦を望むノリス。アプローチは変えないと主張
AUTOSPORT web
ブレーキ液は、オイル(油)じゃない!?
ブレーキ液は、オイル(油)じゃない!?
バイクのニュース
人気のクロカンSUV「ディフェンダー」と共鳴するアウトドアブランドって? コラボの理由を探る
人気のクロカンSUV「ディフェンダー」と共鳴するアウトドアブランドって? コラボの理由を探る
VAGUE
「うわああ!」目の前で大クラッシュ…NEXCOの衝撃映像に反響多数!? 「怖い」「呆れる」雨の日のオーバースピードで制御不能「タイヤの擦り減り」も!?
「うわああ!」目の前で大クラッシュ…NEXCOの衝撃映像に反響多数!? 「怖い」「呆れる」雨の日のオーバースピードで制御不能「タイヤの擦り減り」も!?
くるまのニュース
【その秘密は八角形にあり】新型レグノ「GR-XIII」高い静粛性のワケを深堀り
【その秘密は八角形にあり】新型レグノ「GR-XIII」高い静粛性のワケを深堀り
AUTOCAR JAPAN
ぜんぜんエンジン始動できないじゃん…そもそもチョークってなに!?!? アラフォーが[ダットサンサニー]に乗ったら衝撃の連続すぎた
ぜんぜんエンジン始動できないじゃん…そもそもチョークってなに!?!? アラフォーが[ダットサンサニー]に乗ったら衝撃の連続すぎた
ベストカーWeb
ホンダ「バラードスポーツCR-X」を「無限CR-X PRO」仕様に! 16年間所有した愛車は「2年後には息子に譲る予定です」
ホンダ「バラードスポーツCR-X」を「無限CR-X PRO」仕様に! 16年間所有した愛車は「2年後には息子に譲る予定です」
Auto Messe Web
腕さえあれば激安で免許が取れる……ってのは夢でしかない!? 教習所に通わない「一発試験」は相当にハードルが高かった
腕さえあれば激安で免許が取れる……ってのは夢でしかない!? 教習所に通わない「一発試験」は相当にハードルが高かった
WEB CARTOP
三菱自、「アジアクロスカントリーラリー2024」 トライトン4台体制で2年ぶり総合優勝へ
三菱自、「アジアクロスカントリーラリー2024」 トライトン4台体制で2年ぶり総合優勝へ
日刊自動車新聞
【スタッフ通信】DJ山下麗奈のAMSR爆笑レポート BMW X6 xDrive 35d M Sport
【スタッフ通信】DJ山下麗奈のAMSR爆笑レポート BMW X6 xDrive 35d M Sport
Auto Prove
【MotoGP】マルケス、ドイツGP初日転倒で左手人差し指を骨折。「胸の打撲の方が心配」とも語る
【MotoGP】マルケス、ドイツGP初日転倒で左手人差し指を骨折。「胸の打撲の方が心配」とも語る
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

9件
  • こういう車には興味があり、ワクワク、ドキドキします。
    現行車には、それが有りません。
  • リアビューの迫力はNo.1だと思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村