10位 ランボルギーニ・チェンテナリオ
カーボンファイバー製のボディの下にアヴェンタドールゆずりの6.5L V12を搭載し、どの量産ランボルギーニよりも高いエアロダイナミクスを誇るクルマだ。創業者のフェルッチオ・ランボルギーニの生誕100周年を記念するモデルだ。
ランボルギーニは2016年ジュネーブ・モーターショーでこのクルマを発表し、160万ポンド(2億2600万円)という価格で40台のみを生産した。グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで助手席試乗したのみだが、それだけでも素晴らしい体験であった。
サウンドは素晴らしく、見た目の注目度も非常に高いが、非常にランボルギーニの狙い通りに仕上がっているクルマだ。
現代スーパーカーの技術の粋を集めたクルマであり、非常に速いだけでなく特別なドライビング・エクスペリエンスが得られるだろう。より詳細な試乗ができる日を楽しみにしている。
9位 リマック・コンセプト・ワン
完全電動のパフォーマンスカーが次々と発表される中で、ハイパーカーにおいてもEVを無視することはできない。このリマック・コンセプト・ワンはその1台だ。
助手席試乗をしただけでも、4基のモーターによる1241ps、163kg-mというパワーを持つこのクルマは、メーカーが主張する最速の市販車という実力を見せつけてくれた。その瞬発力はまさに首が持っていかれそうという表現が適切だろう。
完全なロードテストの機会が与えられさえすれば、この1850kgのクルマが音もなくロケットのように加速するのと同様に、ランキングでも急浮上するかもしれない。
独立式のトルクベクタリング・モーターのおかげでハンドリングも自由自在とのことだが、真偽のほどを確かめたいところだ。
8位 パガーニ・ウアイラ
パガーニは非常にレアかつエキゾチックなクルマを作るメーカーであり、かつてはローマ法皇に革製品を提供していたこともあった。
そのパガーニの最新モデルが2012年に登場したウアイラだ。当時は後輪駆動のロードカーでは730ps、102kg-mという数値が常識はずれと思われていた。
メルセデスAMG製の6.0L V12ツインターボを搭載するこのマシンは、ドライバーに対し高度な技術を要求する。特に電子制御をオフにしたら、ひとときも集中を解くことなどできないだろう。とは言え非常にコミュニカティブかつ素直なクルマでもある。どんな速度域でも特別かつ中毒性のあるクルマだ。
オラチオ・パガーニが最近送り出したより軽量かつパワフルなBCについては、現時点でテストを行うことができていない。最新のウアイラがどのように進化しているか、確かめるのが待ち遠しい。
7位 ブガッティ・シロン
フォルクスワーゲン・ブランドの頂点に立つブランド、ブガッティは2005年に市販車最速記録を打ち立てた。1001psのW16エンジンを搭載する4WDのヴェイロンは400km/hの大台を突破したのだ。しかし、究極のパフォーマンスカーとしての名声は長くは続かなかった。
続いて2016年にはシロンを投入した。ヴェイロンはアルミニウム・スペースフレーム構造を使用していたが、シロンはより軽量なカーボン・モノコック構造となった。ヴェイロンは最終型でも1200ps足らずであったが、シロンは初期モデルから1500ps近い出力を誇る。そしてその最高速も以前の431km/hから467km/hに届く勢いだ。
もし最高速アタックをしたいのであれば、このクルマがピッタリだ。この16気筒エンジンはわずかだがターボラグがあり、その走りはクルマというよりも離陸するホバークラフトのようだ。
乗り心地は硬く、そのハンドリングはわずかだが期待外れかもしれない。しかし、これほど超高速走行が容易いクルマは他にないだろう。
6位 アストン マーティン・ヴァルカン
ハイパーカーの性能を突き詰めていけば、大体同じような方向に進むものだ。この831psのサーキット専用ハイパーカーは、アストン マーティンOne-77ゆずりのシャシーとエンジンを使用している。
標準状態では118dBもの排気音を発するが、これは英国ではサイレンサーにより103dBまで抑えられている。もっとも、それもマフラーがこのエンジンの排気圧に耐えている間だけだが。
周辺住民にとっては迷惑かもしれないが、サーキットにおけるヴァルカンの走りはまさに驚異的だ。毒々しく、快活で、チャレンジングな走りはまさにレーシングカーそのものだ。
他に追随するクルマがないほどに素晴らしく、それでいて素直で扱いやすいハンドリングの持ち主だ。
5位 ケーニグセグOne:1
スウェーデンのエンゲルホルムで製造される史上最速のクルマを知るには、数字を見るのが一番だ。このケーニグセグOne:1の新車価格は200万ポンド(2億8000万円)だ。
エタノールを燃料とするこのV8ターボは1300ps超を発生し、コンディションさえ整えば時速400km/hまで20秒以下で到達するとのことだ。DCTの動作こそ慣れが必要だが、信じられないほどに乗りやすいクルマだという。
とはいえOne:1でアクセルを床まで踏み込むのは、相当に覚悟のいることだ。これだけのパワーを後輪のみに伝達することから、高いギアでも簡単にタイヤのグリップ限界を超えてしまう。
しかし200km/hを超えたあたりでエアロダイナミクスが本格的に機能し始めれば、その性格は一変する。
4位 ポルシェ918スパイダー
フェラーリやマクラーレンのライバルよりもパワフルなモーターと大容量のバッテリーを搭載する918スパイダーは、21世紀のゼロエミッション技術に大きな貢献を果たしている。
このクルマは電気のみで24km程度の走行が可能だ。またポルシェのスーパーカーではあるが、718スパイダーと大きく変わらない感覚で運転できる。それでいてモータースポーツ譲りのV8エンジンは9000rpm近くまで回り、非常にエキサイティングだ。4WDシステムのおかげで124kg-m以上ものトルクを持て余すことなく、天井知らずの加速を見せてくれる。
やや重いクルマではあるが、サーキットでも速い。以前はわれわれのコースのレコード保持車であり、P1の記録を塗り替えたクルマでもあるのだ。
ラフェラーリほどの官能性や、P1などのようなル・マンに出られそうな懐の深さはないが、918が偉大なクルマであることに疑いの余地はない。
3位 マクラーレン・セナ
マクラーレンの「アルティメット・シリーズ」の最新モデルは同社が誇った伝説的なF1ドライバーの名を冠している。モータースポーツ譲りの技術を可能な限り盛り込んだこのハイパーカーは、アイルトン・セナのように伝説的なモデルとなりうるのだろうか。
機能性に裏打ちされた外見の賛否はさておき、この最も速く先進的でエキサイティングなクルマに実際に乗れば、その答えはすぐにわかるだろう。
セナはまさに素晴らしいサーキット性能を持つクルマだ。われわれのコースを走ったクルマの中で最もパワフルというわけではないにもかかわらず、2018年のテスト時にはレコードを1.5秒も塗り替えたのだ。最高速では800kgものダウンフォースを生み出すマシンだが、サーキットで神経をすり減らすこともなく、公道走行もいたって簡単だ。
セナはドライバーの味方であり、フィードバック、スタビリティ、ドライバビリティのいずれもが高いレベルにある。この価格帯のハイパーカーの中で実用性が高い部類とは言えないが、サーキットを走らせる楽しみはまさに唯一無二だ。
2位 マクラーレンP1
マクラーレン・オートモーティブ初の「アルティメット・シリーズ」であり、伝説的なF1の後継とも言えるモデルだ。しかし、マクラーレンは単にF1を再生産したようなモデルとはしていない。
915psのハイブリッド・パワートレインに2座のインテリア、それに自慢のサスペンション技術や軽量構造とエアロダイナミクスを与えた。これによりサーキットでも公道でも濃密かつエキサイティングなパフォーマンスを実現している。
P1がもたらすこのスリルは、普通であればレーシングドライバーのみが体感できる領域の速度で得られるものだ。公道でも非常に従順かつ扱いやすいが、その真価を発揮することは難しい。
しかし、このクルマ以上に先進的かつ1つの目的に沿ったパフォーンマンスカーは他に存在しないだろう。
1位 フェラーリ・ラフェラーリ
フェラーリの最高峰たるハイパーカーは、パフォーマンスカーの中でも最高かつ最もセンセーショナルなクルマだ。自然吸気の6.3L V12は驚異の800psを発生、それに163psのモーターを組み合わせ合計963psを後輪に伝達する。
われわれは確認していないが、フェラーリによれば0-100km/h加速は2.4秒、0-300km/hは15秒とのことだ。
複雑な構成から生み出される圧倒的なパフォーマンスにも関わらず、限界域でのハンドリング特性は素晴らしく、サーキットでもエキサイティングかつ扱いやすいクルマになっている。
新車価格は100万ポンド(1億4000万円)超となり、2015年までに500台のみが販売された。これに引き続きサーキットスペシャルのFXXKやオープンのラフェラーリ・アペルタも生産されている。ハイパーカーのベンチマークとも言える存在だ。
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