2024年F1第18戦シンガポールGP。ポールポジションからスタートしたランド・ノリスは、ついに首位の座をキープすることに成功し、好調なペースで2番手マックス・フェルスタッペンとの差を早々に広げた。後方ではキャリア3戦目のフランコ・コラピントがポジションを守っており、背後に迫るセルジオ・ペレスを抑え続けていた。シンガポールGP前半を無線とともに振り返る。
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マグヌッセン「ハードタイヤでは速くなかったので周囲と反対の戦略を試し、SCに賭けた」:ハース F1第18戦決勝
第18戦シンガポールGP決勝レースは、スタート直後にまず新人フランコ・コラピント(ウイリアムズ)が魅せた。中団グループの混乱をついて、12番グリッドから一気に3つ順位を上げたのだ。しかしチームメイトに抜かれ、逆に4つ後退してしまったアレクサンダー・アルボンは、危険なオーバーテイクだと非難した。
1周目
アルボン:フランコが急降下爆撃やってきた! 何やってるんだ!
一方、上位勢の順位の変動は、ほぼなかった。しかし3番手のルイス・ハミルトン(メルセデス)は、ランド・ノリス(マクラーレン)、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)のペースについていけない。
3周目
ジョージ・ラッセル:(ハミルトンは)ペースを上げないと。前の連中に離されてる。
ハミルトンの背後につくジョージ・ラッセル(メルセデス)は、本心としてはさっさと順位を入れ替えてほしいのだろう。この状態は、17周目のハミルトンのピットインまで続いた。
この時点で首位ノリスと2番手フェルスタッペンの差は、まだ2秒ほど。しかしノリス陣営は余裕十分だった。
9周目
ウィル・ジョゼフ:ペースはどれくらい?
ノリス:ペース6くらいかな。
ジョゼフ:だったら15周目くらいまでに、フェルスタッペンとの差を5秒くらい広げよう。
そう指示されたノリスは、11周目には早くも5秒以上のリードを築き、15周目にはその差はほぼ10秒となった
13番手スタートのセルジオ・ペレス(レッドブル)は10番手まで順位を上げ、コラピントに迫っていた。
リチャード・ウッド(→ペレス):コラピントが苦しんでいるのが見えるだろ。やっつけよう。
オスカー・ピアストリ(マクラーレン)は4番手につけていたが、DRSトレインにハマってなかなか順位を上げられない。
10周目
トム・スタラード:今の所はプランBだね。
ピアストリ:了解した。
担当エンジニアの指示したプランBは、おそらく第1スティントをできるだけ長く引っ張るという意味だったのだろう。実際、ピアストリはこの戦略が奏功し、最終的に3位表彰台を射止めた。
角田裕毅(RB)はスタートで3つ順位を落とし、11番手。すぐ前の2台が争っていると、担当エンジニアのエルネスト・デジデリオが伝えた。しかし角田は、それどころではなかったようだ。
12周目
デジデリオ:コラピントとペレスがバトルしてるから、何か起きるかもしれないぞ。
角田:わかった。でも情報が多すぎる。
背後のカルロス・サインツ(フェラーリ)に1秒以内に迫られてる角田にしてみれば、運転に集中したい。気を散らさないでくれと言いたかったのだろう。
14番グリッドのケビン・マグヌッセン(ハース)は、ハードタイヤでスタートするリバース戦略。しかしリヤタイヤの熱ダレが予想以上に酷く、ペースが上げられない。
13周目
マグヌッセン:地獄のように滑りまくってる。
「コラピントをやっつけよう」と発破をかけられたペレス。DRS圏内でオーバーテイクを何度も試みるが、抜き切れない。
14周目
ペレス:コラピントはよくやっている。抜けそうにない。
接近しすぎてタイヤのタレが酷くなってしまったのか。これ以降、両者の差は3秒以上に広がっていった。コラピントは8番手を快走。ここも初体験サーキットだったが、やはり只者ではない。
対照的に15番手から順位を上げられずにいたアルボンは、さらに冷却トラブルに見舞われてしまう。
ジェームズ・アーウィン:マシンに問題だ。冷やさないといけない。ここでボックスだ。
アルボン:それまでプッシュか? ペースを落とす?
アーウィン:プッシュするな。ペースを落とせ。何もかもがオーバーヒート状態だ。
15周目に緊急ピットイン。そのままリタイアとなった。
アーウィン:すぐにエンジンオフだ。申し訳ない。
アルボン:エンジンを新品に取り替えるべきだね。
イタリアGP、アゼルバイジャンGPと連続入賞、シンガポールでもフリー走行ではトップ10内の速さを見せていたアルボン。しかし予選でQ3進出に失敗し、レースでも結果を出すことができなかった。
3番手スタートのハミルトンは、ソフトタイヤを選択するする変則的な戦略を取った。それでも17周目まで引っ張った。
20周目
ハミルトン:ピットインするときにウォールにちょっとぶつかった。チェックしてくれるかな。
これはほとんどダメージはなかったようだ。
23周目
ハミルトン:僕はピットインかなり早かった?
ピーター・ボニントン:一番早かったわけじゃないけど、かなり早い方だった。
ハミルトン:終盤に困ったことになるね。
45周をハードタイヤで走り切る間に、よりフレッシュなタイヤを履くライバルたちに抜かれていくのではないか。その予感は、ほぼ的中してしまう。
9番手スタートのシャルル・ルクレール(フェラーリ)は、すぐ前を行くフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)より明らかに速いペースだが、抜くことができない。
24周目
ルクレール:あ~イライラする。あと何周こんな感じで走るんだ?
ブライアン・ボッツィ:落ち着くんだ。
結局25周目にアロンソがピットインしたが、今度はニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)に詰まってしまう。しかしすぐに抜き、一時は4番手まで順位を上げた。
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F1第18戦無線レビュー(2)に続く
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