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マグヌッセンの”ディフェンス”がまた物議。アルボン「コーナーの真ん中でブレーキ……ちょっと一線を越えていた」

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マグヌッセンの”ディフェンス”がまた物議。アルボン「コーナーの真ん中でブレーキ……ちょっと一線を越えていた」

 ウイリアムズのアレクサンダー・アルボンは、レース中に後続のマシンを抑えるためにコーナー中盤でブレーキを踏む”グレーゾーン”が最終的にクラッシュの原因になりかねないと主張した。

 アルボンが言及している動きは、F1オランダGPでケビン・マグヌッセン(ハース)が見せていた動きに関連しているようだ。

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 マグヌッセンはハードタイヤでスタートする1ストップ戦略でレースを戦った。これは大半のドライバーとは逆の戦略であり、レース中盤にはすでにピットストップを済ませたライバルたちを抑えることになった。

 10番手を走っていたマグヌッセンはアルボンやピエール・ガスリー(アルピーヌ)、フェルナンド・アロンソやランス・ストロール(共にアストンマーティン)を従えていた40周目のメインストレートで一気にポジションを落とし、この周の終わりでたまらずピットイン。ミディアムタイヤに履き替えた。

 この時、国際映像ではアルボンが無線でマグヌッセンのディフェンスに対し、「危険だ」と発言していたのがフィーチャーされた。

 アルボンの無線は、ターン14の立ち上がりに焦点が当てられていたようだ。国際映像ではリプレイもなく、テレビのコメンテーターはどのシーンについてアルボンが言及していたのか分からなかっただろうが、マグヌッセンのデータを分析すると、アルボンが憤慨する理由があることがわかる。

 GPSデータによると、マグヌッセンはオーバーテイクされる前の39周目に他のドライバーに比べて多くリフトオフ(アクセルを離す)しているのだ。9番手を走っていたチームメイトのニコ・ヒュルケンベルグはフリーエアで走っていたため、タイヤの違いを加味しても、ハースのマシンがどのようにザントフールトを走るのかの良い基準に使えるだろう。

 アルボンはマグヌッセンから0.4秒遅れで39周目に入ったが、ターン2と3でマグヌッセンに0.5秒の差をつけられた。マグヌッセンはターン2で早めにブレーキングを行ない、ターン3とバンクの間でアルボンを失速させたのだ。ただ、ヒュルケンベルグもこの地点では同様にドライビングしていた。

 さらに明白なのは、ターン4~6の上りでのマグヌッセンのスロットル開度のデータだ。ここはゆるいカーブが続く高速区間であり、アルボンもヒュルケンベルグもスロットル全開だったが、マグヌッセンはターン4まで80%以下、ターン6の中盤では完全にリフトオフしたのだ。

 実際ヒュルケンベルグはここをアクセル全開で通過している。アルボンはマグヌッセンに反応してわずかにリフトオフした。それでもコーナーの立ち上がりで、マグヌッセンとアルボンの間には時速25kmほどのスピード差が生じたが、ターン7はオーバーテイクポイントではなく、アルボンは早めにブレーキングせざるを得なかった。

 続くターン7でも、コーナーの立ち上がりでマグヌッセンが再び一瞬スロットルを完全にオフにし、前を行くマシンに反応してアルボンは再びスロットルペダルを離さざるを得なくなった。

 このリフトオフも、ヒュルケンベルグやマグヌッセンの通常のドライビングよりも早いタイミングだった。さらにターン11でも、マグヌッセンはヒュルケンベルグのブレーキングポイントよりもはるかに早くリフトオフしている。

 ターン11・12のシケインでもハースのふたりのスロットルワークは異なっており、マグヌッセンが2速でコーナーに進入して後方集団を後退させたのに対し、ヒュルケンベルグは3速でスロットルを小さく絞って加速している。

 ターン13にヒュルケンベルグより時速35km遅く入ったマグヌッセンは、続くバンクのあるターン14でハーフスロットル強までリフトオフした。

 しかし、マグヌッセンの懸命なディフェンス虚しく、ホームストレートでマグヌッセンは後続の集団に一気に襲いかかられた。5台の集団がフィニッシュラインを通過した時点で、マグヌッセンは3つポジションを落としており、ターン1ではストロールにも抜かれ集団の最後尾となってしまった。

 アルボンはこうしたマグヌッセンの動きについて、サウジアラビアGPでも見られたように、ヒュルケンベルグの入賞をサポートするチームプレイだったと語り、マグヌッセンの行為は”グレーゾーン”だと話した。

「ちょっとジェッダに似ていて、チーム・ゲームをしているようだった」

「ケビンは信じられないようなチームプレーヤーだし、彼のことは全面的に信用している。でもソレが十分取り締まられているとは思わない」

「後続の集団を抑える上で何が正しいのか、ちょっとグレーゾーンがある。今回の場合、僕にとってはかなり限界ギリギリだった。ターン7、ターン8、最終コーナーと本当に速いコーナーがいくつもあって、彼はその真ん中でブレーキングしていたんだ」

「全開で曲がっているのに、突然ブレーキを踏んで避けなければならない。少し一線を越えていると僕は思うけど、グレーなんだ」

「問題のひとつは、それがあまり取り締まられていないことだ。モナコでは、ユウキ(角田裕毅)と同じような状況になって、僕は文句を言ったんだ。彼らはそれをOKだと感じていた」

「問題なのは、ある時点でクラッシュが起こるだろうということなんだ」

 ガスリーはアルボンの意見に同意し、アルボンがマグヌッセンのマシンにぶつからないようにターン12でロックアップしなければならなかったと述べた。

 ガスリーはバンクのあるターン14でリフトオフするドライバーを見たことがないと言い、集団から無傷で抜け出せたことを喜んでいる。

「ターン14でリフトしたり、ターン12でファーストギヤに入れたりするドライバーは見たことがないよ」

 そうガスリーはつぶやいた。

「アレックスは彼にかなり近づいたんだと思う。彼はターン12の真ん中でロックアップしたんだ。ほぼフルスロットルで走るべきところで、マグヌッセンがシフトダウンしたんだ」

「彼がニコのために何をしようとしていたかは明らかだった。結局、僕はあの集団のトップに立つことができた」

「あのときはかなり心拍数が上がっていたと思う。でもなんとか抜け出せて良かったよ」

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