賛否両論の声が上がる標準装備化
近年、自動車には快適性を高めるさまざまな装備が搭載されており、そのなかでもシートヒーターとシートベンチレーションは、乗員の快適性に直結する重要な装備として注目されている。
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シートヒーターは、座面や背もたれから温風を送り出し、寒い時期に乗員を温かく保つ機能を持っている。一方、シートベンチレーションは、風を送り出して夏場の蒸れを防ぎ、快適な状態を維持するための装備である。
最近では、シートヒーターが軽自動車にも標準装備されるようになったが、シートベンチレーションは依然として高級車や一部の上級グレードに限られている。しかし、後付けタイプのシートベンチレーションが登場しており、これにより高級車だけでなく、さまざまな車種で車内の快適性を追求することが可能になっている。
しかし、これらの装備を標準装備にすべきかどうかについては賛否両論があり、議論が続いている。この記事では、シートヒーターとシートベンチレーションの現状を解説し、標準装備化に関する意見の対立点と、今後の展望について詳しく考察する。
快適性向上がもたらす安全運転効果
シートヒーターとシートベンチレーションの標準装備化に賛成する意見のひとつは、これらが快適性向上を通じて安全運転に寄与する点だ。
警察庁交通局の2022年の統計によると、
・漫然運転(運転中に注意力が散漫となり、前方の道路状況を適切に把握できなくなる状態)
・脇見運転(運転中に前方ではなく車両の横や後方を見たり、周囲の物事に気を取られたりすること)
が安全運転義務違反のなかで上位を占めており、これらはドライバーの注意力低下や疲労が原因だと報告されている。特に漫然運転は「内在的前方不注意」とも呼ばれ、長時間運転による
・疲労
・ストレス
・睡眠不足
などが影響し、注意力が散漫になることで引き起こされる。
このような状況で役立つのが、シートヒーターやシートベンチレーションだ。シートヒーターは、冬場にエアコンが効くまでの間でも迅速に体を温めることができ、寒冷地での運転時には非常に効果的だ。一方、シートベンチレーションは、夏場に体温を下げることで暑さによるストレスや疲労感を軽減し、快適な運転をサポートする。このような快適性の向上は、ドライバーの注意力を保ち、運転中の集中力低下を防ぐ助けとなる。
また、快適性の向上はドライバーだけでなく同乗者にも大きな恩恵をもたらす。特に高齢者や子どもなど、体温調節が難しい人々にとって、快適な車内環境を提供することは重要な役割を果たす。
実際、2021年に自動車技術会が発表した「シートベンチレーションによる温冷感改善効果の解析」によると、シートベンチレーションが発汗時に潜熱移動を促進し、温熱快適性を向上させることが実験によって証明されたとしている。
今後、自動車メーカーや市場全体でこれらの装備が標準化されれば、より多くの人々がその恩恵を享受できるようになるだろう。
標準装備化への反対意見と根拠
シートヒーターとシートベンチレーションの標準装備化に反対する意見として、主に
「コスト増加による車両価格の上昇」
が挙げられる。これらの装備は、構造が複雑で部品点数が多いため、製造コストが高くなる傾向がある。そのため、標準装備として搭載されると、最終的な車両価格が引き上げられる可能性がある。
純正品は、しばしば他の装備とのセットオプションとして提供されるため、価格は車種やグレードによって異なるが、基本的には高価になる。一方、社外品は比較的安価で後付け可能なものも多く、数千円から1万円程度で購入できるため、コストパフォーマンスに優れている。
日本自動車工業会(JAMA)の「2023年度乗用車市場動向調査」によれば、新車の平均購入価格は264万円で、2017年度から継続的に上昇している。これには、安全装備や環境性能の向上など、さまざまな要因が影響しているが、シートヒーターやシートベンチレーションのような装備の追加も、価格上昇の一因となっている可能性がある。
また、すべてのユーザーがこれらの装備を必要としているわけではない。温暖な地域に住んでいる人々にとって、シートヒーターは必須ではないし、短距離移動が中心のユーザーにはシートベンチレーションの重要性が低い場合もある。このように、ユーザーのニーズは多様であり、すべての人にとって快適性を高める装備が必要とは限らない。標準装備化による車両価格の上昇は、一部のユーザーにとってはむしろデメリットとなり得る。
EV普及で進化するシート快適性
シートヒーターとシートベンチレーションは、快適性を向上させる装備として魅力的だが、標準装備化に関しては賛否がある。議論の中心は、快適性と経済性のバランスである。
市場調査会社モルドールインテリジェンスによれば、自動車用ベンチレーションシート市場は年平均成長率5%で、2027年までに
「122億ドル(約1兆8300億円)」
に達すると予測されている。この成長は、
・豪華で快適な座席への需要増加
・乗用車の販売台数の増加
によって支えられている。また、電気自動車(EV)の普及にともない、エネルギー効率の観点からシートヒーターとシートベンチレーションの重要性が増している。これらの装備は、車内全体を暖めたり冷やしたりするエアコンよりも効率的にエネルギーを使用できる可能性がある。
具体的には、一部の自動車メーカーでは、従来の電熱線式シートヒーターに加え、より省電力で均一な加温が可能な
・PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒーター
・遠赤外線ヒーター
の採用を検討している。また、シートベンチレーションにおいても、風量を細かく制御できる多層構造のファンや、通気性を持たせたシート素材など、さまざまな技術革新が進行中だ。これらの技術革新は、快適性の向上だけでなく、EVのエネルギー効率改善にも貢献すると期待されている。
一方で、すべての車種や市場で標準装備化が適切とは限らない。高級車やEVの上級グレードでは、シートヒーターとシートベンチレーションの両方が標準装備される一方、エントリーモデルやコンパクトカーでは、シートヒーターのみが標準装備またはオプション設定となるモデルも存在する。
自動車メーカーは、価格競争力を維持しながら、幅広いユーザーニーズに対応しようとしているが、将来的には、ユーザーが個々の好みやライフスタイルに応じて、これらの装備を自由に選択できるパーソナライズされたオプション設定が増えることが予想される。
結論として、シートヒーターとシートベンチレーションの標準装備化は、技術の進歩、市場の需要、各自動車メーカーの戦略に応じて慎重に検討されるべきである。ユーザーのニーズとコストのバランスを考慮しつつ、車種や市場セグメントに応じた柔軟な対応が求められる。
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みんなのコメント
ウチの車のシートヒーターとは違う高級車だわ