7月29日、2023年FIA F2第11戦スプリントレース(決勝レース1)が、ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで開催され、エンツォ・フィッティパルディ(ロダン・カーリン/レッドブル育成)がFIA F2初優勝を飾った。レッドブル&ホンダ育成の岩佐歩夢(ダムス)は16番手からオーバーテイクを連発し、8番手でチェッカーを受けると、レース後に他車が失格となったことで7位に繰り上がり、2ポイントを獲得した。
第11戦決勝レース1のグリッドは、28日に行われた予選トップ10のリバースグリッドで決定され、10番手タイムを記録したユアン・ダルバラ(MPモータースポーツ)となった。
2位のフェルシュフォーに失格の裁定。岩佐歩夢は7位に繰り上がり/FIA F2第11戦 レース1
2番グリッドにリチャード・フェルシュフォー(ファン・アメルスフォールト・レーシング)、3番グリッドにフィッティパルディ、4番グリッドにラルフ・ボシュング(カンポス・レーシング)が続いた。
ランキングトップにつけるフレデリック・ベスティ(プレマ・レーシング/メルセデス育成)は9番手から、ランキング2位につけるテオ・プルシェール(ARTグランプリ/ザウバー育成)は6番手から、そして、ランキング3位につける岩佐は16番手からとなった。
直前に行われたF1スプリント・シュートアウトの開始時間が降雨により大幅なディレイとなった影響もあり、FIA F2のスプリントレースのフォーメーションラップ開始時間も、当初の予定から35分遅れとなる現地時間14時20分(日本時間21時20分)へと変わった。
この時点では路面も渇いており、全車がスリックを装着しフォーメーションラップに入った。エクストラフォーメーションラップ導入により、タイヤ交換義務のない決勝レース1は、周回数が1周減算され17周となった。
オープニングラップではダルバラ、フェルシュフォー、フィッティパルディと上位3台はポジションをキープするなか、6番手スタートのプルシェールが4番手に浮上。さらに、ベスティも9番手から6番手に浮上すると、2周目のケメルストレートでラルフ・ボシュング(カンポス・レーシング)を攻略し5番手に浮上する。
一方、岩佐は13番手に浮上、12番手で先行するアーサー・ルクレール(ダムス/フェラーリ育成)とともに、ダムス勢は揃ってオープニングラップでポジションを上げることが叶った。
そんななか、3周目にラップリーダーのダルバラのヘッドレストが外れ、ヘイローに引っかかるまさかの事態に。ヘッドレストは最終シケインでコース上に落下するが、ダルバラは緊急ピットイン。まさかのトラブルでレースを終えることに。
また、ほぼ同じタイミングでアムーリ・コルデール(インビクタ・ビルトゥジ・レーシング)がコースサイドにマシンを止めている。ダルバラのヘッドレストとコルデールの車両の回収のため、セーフティカー(SC)が導入された。
5周目よりレースは再開。ダルバラのリタイアでフェルシュフォー、フィッティパルディ、プルシェール、ベスティ、デニス・ハウガー(MPモータースポーツ/レッドブル育成)というトップ5へと変わった。なお、リスタートでビクトール・マルタンス(ARTグランプリ/アルピーヌ育成)が6番手に浮上している。
岩佐はリスタートから先行するルクレールと激しいポジション争いを展開し、6周目にルクレールを攻略すると11番手に浮上。さらに岩佐は続く7周目のターン5(レ・コーム)でオリバー・ベアマン(プレマ・レーシング/フェラーリ育成)をパスし10番手に浮上する。
トップのフェルシュフォーは7周目にフィッティパルディと1.4秒差となりDRS圏外まで引き離すと、両者の差は8周目に2.2秒まで広がった。一方、フィッティパルディの背後にはプルシェールが一時接近するも、レース中盤のトップ3はそれぞれ2秒以上のギャップを広げ周回を重ねる。
9周目、岩佐はゼイン・マロニー(ロダン・カーリン/レッドブル育成)をターン5で攻略し、9番手に浮上。入賞まであと一歩という状況でレースは後半へ突入した。
岩佐の前を走るのはジャック・ドゥーハン(インビクタ・ビルトゥジ・レーシング/アルピーヌ育成)。そんなドゥーハンは10周目のターン5でボシュングを攻略。これで岩佐の前はボシュングへと変わったが、なかなかボシュングを攻略できず周回が続いた。
14周目、ターン5でマルタンスがベスティをパスし5番手に浮上する。また、岩佐も同じくターン5でボシュングを攻略し、1ポイントを獲得できる8番手に浮上する。ただ、7番手のドゥーハンまでは1.7秒という状況でレースは残り2周を迎えた。
そんな中、一時は2秒以上のギャップが開いたフェルシュフォーとフィッティパルディのギャップが15周時点で0.3秒まで縮まると、16周目のターン1立ち上がりからフィッティパルディがフェルシュフォーのスリップに入った。DRSも活用し、続くターン5でフィッティパルディがトップに浮上する。
ファイナルラップ、岩佐はドゥーハンまで0.2秒まで接近。ドゥーハンはターン5でベスティをかわし6番手に浮上する。岩佐もその動きに続こうとするも、ベスティがポジションをキープする。
フィッティパルディがトップチェッカーでFIA F2初優勝を飾った。2位にフェルシュフォー、3位にプルシェール、4位にハウガー、5位にマルタンス、6番手マルタンスが続いた。ただ、一方のベスティと岩佐のバトルは最終シケインまで続いた。
岩佐はレイトブレーキングでベスティのインに飛び込んだ。岩佐はコース上に留まり、2台はシケインを並走で立ち上がる。アウト側に膨らんだベスティはコース外に出て加速し、岩佐を0.188秒先行し7番手でチェッカーを受けた。なお、この件は一旦は記録されるも、ペナルティ等の審議対象とはならなかった。結果、岩佐は7番手浮上には届かなかったが、16番手スタートから8位、1ポイント獲得という結果で土曜日を終えた。
※追記:スプリントレース終了後、2位でチェッカーを受けたリチャード・フェルシュフォー(ファン・アメルスフォールト・レーシング)に対し失格の裁定が下された。これにより、2位以下のドライバーの順位がひとつづつ繰り上がる結果となった。
続く、フィーチャーレース(決勝レース2)は7月30日(日)の現地時間10時00分(日本時間17時00分)から、タイヤ交換義務を有する周回数25周で争われ、岩佐は再び16番手からスタートを迎える。
■2023年FIA F2第11戦のスパ・フランコルシャン
スプリントレース(決勝レース1)正式結果
Pos.No.DriverTeamTime/Gap14E.フィッティパルディロダン・カーリン37'30.57925T.プルシェールARTグランプリ5.12531D.ハウガーMPモータースポーツ5.90346V.マルタンスARTグランプリ6.710514J.ドゥーハンインビクタ・ビルトゥジ・レーシング12.78467F.ベスティプレマ・レーシング15.333711岩佐歩夢ダムス15.521825R.ボシュングカンポス・レーシング16.250912A.ルクレールダムス18.454103Z.マロニーロダン・カーリン22.8251110I.ハジャルハイテック・パルスエイト23.064128O.ベアマンプレマ・レーシング26.0371316R.ニッサニーPHMレーシング・バイ・チャロウズ26.996149J.クロフォードハイテック・パルスエイト27.6181520R.スタネトライデント29.2051623J.コレアファン・アメルスフォールト・レーシング31.3631721C.ノバラックトライデント55.6881824K.マイニカンポス・レーシング57.4341917J.メイソンPHMレーシング・バイ・チャロウズ102.400-2J.ダルバラMPモータースポーツDNF-15A.コルデールインビクタ・ビルトゥジ・レーシングDNF-22R.フェルシュフォーファン・アメルスフォールト・レーシングDQ
・ファステストラップ(全体&トップ10圏内)
#4 エンツォ・フィッティパルディ(ロダン・カーリン):2分3秒608(5/17)203.986km/h
・ ペナルティ
#3 ゼイン・マロニー(ロダン・カーリン):トラックリミット違反
#22 リチャード・フェルシュフォー(ファン・アメルスフォールト・レーシング):失格/技術規則違反
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