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オートサロン新車&新色ギャラリー(3):トヨタ・プリウスPHV GR SPORT

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オートサロン新車&新色ギャラリー(3):トヨタ・プリウスPHV GR SPORT

 1月11~13日、千葉県の幕張メッセで行われた東京オートサロン2019。このイベントではモータースポーツ界にとっても多くの注目を集めるマシンが展示されたが、行けなかった人のためにも、写真で大きくご紹介しておこう。3台目は、GT300注目のハイブリッドレーシングカー、トヨタ・プリウスPHV GR SPORTだ。

 aprは、1998年にトヨタMR-2でJGTC全日本GT選手権に参戦を開始。その後トヨタMR-S、ASLガライヤ、トヨタ・カローラアクシオとマシンを開発。2012年からはトヨタのハイブリッド技術を盛り込んだプリウスGTを作り上げ、スーパーGTに挑んできた。

FR化の新プリウスGT見参! ボディはプリウスPHV GR SPORTに。31号車に中山友貴加入

「日本でも数少ないレーシングカーを設計し製造し、参戦することができるコンストラクター(金曽裕人代表)」であるaprが製作するレーシングカーは、ベースマシンを問わず、これまですべてミッドシップレイアウトが採用されてきた。チームがもつMRのノウハウは98年から長年培われてきたもので、新技術を盛り込みながら改良されてきた。しかし2019年、JAF-GT300規定によりプリウスをベースマシンとするならば、エンジン搭載位置をフロントに持ってくる必要性が生じた。

 金曽代表は、トヨタとの間でベース車両について相談が行われていたというが、マイナーチェンジ後のプリウスや、その他の車両の候補のなかで、最終的にはプリウスPHV GR SPORTというものに落ち着いた。これはトヨタのなかでも『GR』ブランドを押し出したいこと、さらにプリウスPHVのスポーツイメージを高めたいという思いがあった様子。実際、これまでのスーパーGT参戦を通じて、プリウスのスポーツイメージは大いに高められてきたという。

 こうしてできあがったZVW52型プリウスPHV GR SPORTのJAF-GTカーは、もともとの市販車がもつシャープなフロントをはじめ、流麗なリヤなど、これまでのプリウスGTとは大きく異なる印象をもった外観となった。製作を手がけた金曽監督が「作りながら『コレはカッコいいわ』と思った(笑)。レーシングカーはやっぱりカッコよくないと」と自画自賛する出来映えだ。

 もちろん良くなったのは見栄えだけではない。GR SPORTのグレードを用いることによってフロントの開口部が広がり、レーシングカーとしては有利なデザインを用いることができた。さらに、もともと空力性能が高いプリウスのなかでも、PHVを使うことで「apr史上最高の空力性能」をもつボディとなった。

■メイド・イン・ジャパンを前面に外国車勢に立ち向かう
 そして最も変わったのは中身だ。フロントには、5.4リッターV8の“TRD製レーシングエンジン”が採用された。数字はレクサスRC F GT3に積まれる2UR-GSEと同一で、同様のエンジンと推測される。また、aprにとって初めてとなるFR車両の開発には、apr独自の設計思想を盛り込みながら、10ヶ月の期間をかけられた。

 またその他の部分についても変更が行われ、ハイブリッドについては、トヨタの最新技術を用いたPHV用のものを「今後の発展を考え」使用。外見上目立つのはレイズ製高剛性ホイールで、2017年オフにはセパンテストでGT500車両に装着されたデザインだ。

「2018年度はスーパーGT唯一のハイブリッドマシンであるプリウスでチャンピオンを狙い戦いましたが、たった2.4秒差でシリーズ3位に終わりました。今でもその悔しさは思い出します」と金曽代表は昨シーズンを振り返った。

 そして、今回のプリウスPHV GR SPORTの開発に向けて、金曽代表がこだわったのは日本のものづくり、“メイド・イン・ジャパン”のプライドだ。「日本車は世界に誇れる素晴らしい商品で、ハイブリッドを代表に日本が誇れる先端技術が用いられ、ひとつひとつに繊細な技術が、そしてひとつひとつの部品に知恵が注ぎ込まれています。我々はこれこそが日本のものづくりだと思っています」と金曽代表は語っている。

「この2019年から用いる新型車両は、aprらしく“メイド・イン・ジャパン”の製品をたくさん使っています。例えばレイズさんのホイールで言えば、次世代技術を用いた最新設計のものを装着させていただきます。またエンジンについては、TRDが設計した最新のものです」

「このクルマについているひとつひとつの部品が、“メイド・イン・ジャパンの結晶”だと思っていただいていいと思います。昨年チャンピオンとなったのはメルセデスで、2位はBMWでした。彼らには歴史があります。2019年、関係者やファンの皆さま、そしてドライバーと一緒に戦い、その欧州車の歴史や文化を塗り替えていきたいと思います」

■『apr史上最も未知数』なプリウス
 そんなプリウスPHV GR SPORTだが、2019年は2台がGT300クラスに参戦することになる。オートサロンでは1台に向かって右側に31号車の、左側に30号車のステッカーが白いボディに貼られたが、現在製作中の30号車もじきに完成予定だ。

 この2台をドライブするのは、ブリヂストンを履く31号車が嵯峨宏紀と新加入の中山友貴。そしてヨコハマを履く30号車が昨年途中から同様に永井宏明と織戸学というコンビとなる。

「今までの50系のプリウスを発表するときは『apr史上最高のもの』と言っていましたが、今回はFRということで、『apr史上最も未知数』なプリウスになっています」というのは、チームを牽引する嵯峨だ。

「期待している部分もありますし、ドライバーとしても毎年チャンピオンにギリギリ届かない状況なので、パートナーも新たに、今年はチャンピオンを目指していきます」

 そしてそのパートナーとなったのは、2013年に無限CR-Zを駆りハイブリッド車で初のチャンピオンに輝いた中山だ。「新しいプリウスPHVをドライブすることがとても楽しみです。ホンダ車でシリーズ初となるハイブリッド車のチャンピオンを獲った経験を活かし、嵯峨選手とともに力強いレースをしてチャンピオンを獲りたいと思っています」と意気込みを語っている。

 オートサロンではビジネスマンである永井が“本業”のため参加できなかったが、“現役復帰”から2年目のシーズンを迎える織戸も「今年でapr加入2年目となりますが、31号車のサポートをしながら、僕たち30号車も新車のプリウスPHVでイチから育て、素晴らしいクルマにしたいと思っています」と期待を込めて語った。

 apr初のFRマシンという未知数な部分も多いため、いきなりトップ争いは難しいかもしれないが、シャープなスタイリングをもつプリウスPHV GR SPORTが今後どんなカラーリングとなり、どんな走りをみせるのか、ファンのみならず楽しみにしたいところだ。

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