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2021年型BMW R nineTは実質フルモデルチェンジ!?従来型オーナーが涙するアップデートの数々

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2021年型BMW R nineTは実質フルモデルチェンジ!?従来型オーナーが涙するアップデートの数々

2020年10月にBMW Motorrad(本国)はR nineTシリーズのニューモデルを発表しました。
空油冷の1200ccボクサーエンジンを搭載するR nineTは、自由なカスタマイズが楽しめるモデルとして2013年のイタリア・ミラノショー(EICMA)でデビューしたモデルです。

それまでのBMWと言えば、その高い完成度ゆえに「BMWをカスタムするなんてご法度」というイメージを持つ人も少なくないブランドでした。しかし、R nineTの登場をきっかけに旧来のBMWのイメージは良い意味で覆され、当時世界的なブームの兆しを見せていたヘリテイジシーンはさらに盛り上がり、BMW自身もそれまでとはまったく違うユーザー層を獲得することに成功したのでした。

【画像25点】2021年型BMW R nineTシリーズ、全4モデルを写真で解説

2014年には、BMW Motorrad Japanが日本国内のカスタムビルダーによる「R nineTカスタムプロジェクト」を発表。46 works、Hide Motorcycle、Brat Style、Cherry’s Companyが手がけた4台のマシンは、R nineTが秘めたカスタマイズの無限の可能性を表現して、世界中に衝撃を与えました。

その後、R nineTシリーズは正立フロントフォークとアップマフラーを備えたR nineT Scrambler(スクランブラー )を2016年に発表します。さらに同年のEICMAでは、よりベーシックなR nineT Pure(ピュア)とカフェレーサースタイルのR nineT Racer(レーサー)、そして名車R80G/SをオマージュしたR nineT Urban G/S(アーバンGS)を相次いで発表。
基本的な車体構成を共用しながらも、あらゆるカテゴリを網羅する盤石のラインナップで相当数のファンを獲得してきました。

BMWの二輪シーンにおいて大きなインパクトを与えた初代モデル発表から7年、2020年10月に発表されたR nineTシリーズはこれまでにないほど大きなアップデートを果たしていました。
見た目こそ大きく変わらないものの、その中身は別物と言ってもいいくらい!?

かくいう筆者は2017年にR nineT Urban G/Sを新車で購入したR nineTオーナーのひとり。
じつは新型R nineTの資料を読めば読むほど「そう、その機能が欲しかったんだよ!」というものが詰め込まれているのです!
そのアップデートの内容と言ったら、正直言って買い替えを検討するには充分すぎるほど……ここからは従来モデルとの違いも交えながら、日本での販売も始まった新型R nineTの詳細について解説していきましょう。

#1 R nineTに、ついにエンジンモード切り替えがついた!

新型R nineTでは、ベースモデルのR nineT、そしてPure、Scrambler、Uraban G/Sの全車(言い忘れていましたが、Racerはひっそりと姿を消しました……)に「ライディング・モード」と呼ばれるエンジンモード切り替えを用意して「Road:ロード」「Rain:レイン」の2つのモードを装備しています。

エンジンモードはもちろんASC(オート・スタビリティ・コントロール)とも連動していて、普段走るときは「Road」モードで、雨の日など路面が滑りやすいときは「Rain」にすることで、走行状況に合わせた最適なパワーデリバリーを実現しながら、後輪のスリップも適切に感知することで安全に走行を楽しむことができます。

それだけではありません。R nineT各車には車両の性格に合わせて「ライディング・モードPro」が用意されています。R nineTとR nineTとR nineT Pureには「Dyna:ダイナミック」のモードを用意しており、ワイルドな空油冷ボクサーエンジンのポテンシャルを最大限に引き出したエキサイティングな走りを楽しむことが可能。つまりBMWの各種ロードスポーツ同等のエンジンモードが追加されたということになります。

そしてオフロードテイストのR nineT ScramblerとR nineT Urban G/Sには本格的なオフロード走行を見越した「Dirt:ダート」モードを用意しています。新装備のABS ProとDTC(ダイナミック・トラクション・コントロール)との組み合わせで、よりアグレッシブなダート走行が楽しめそうな予感。おそらくこれはGSシリーズでいうところの「Enduro:エンデューロ」モードに近いものではないかと筆者は予想しています。

#2 クルーズコントロールもついた!

エンジンモード切り替えの装備にも驚いた筆者でしたが、新型R nineTではなんとクルーズコントロールまで設定されています。
R nineTといえば、カスタムや街乗りメインでしょ、というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、意外にロングツーリングを楽しむオーナーも多いのです。筆者もその一人であり、1日で500km~1000kmを走破するツーリングに何度も出かけていたり。その度にいつも「クルーズコントロールがあったらもっと楽なのに……」という不満を少なからず持っていました。

だったらGSやRT、RSなどを買えばいいじゃないか、という声も聞こえてきそうですが、R nineTオーナーの多くはネオクラシックなデザインに惹かれて乗っているわけで、単に高機能が欲しいというわけではありません。
でも実際に使用してみると、やっぱりBMWらしい最新装備も欲しくなってしまった……そんなジレンマを抱えていたオーナーにとっては、クルーズコントロールの装備はとても大きなトピックと言えるでしょう。

#3 空油冷エンジンのままユーロ5に適合してモデルライフが延びた!

年々厳しくなる排出ガス規制。各メーカーの非・水冷車の相次ぐ生産終了はR nineTオーナーにとって決して他人事ではありませんでした。
事実、新型R nineTが発表されるまで一部のオーナーの間では「R nineTはもう排ガス規制に適合できなくて終わってしまうのでは?」そんな噂話もあったほど。そして筆者も「きっとこれが空油冷ボクサーエンジン最後のモデルになる。生産終了になれば、きっとプレミアもついてフフフ……」そんな下心(?)もありつつR nineTを購入。
ところが、そんな世間の心配をよそに新型R nineTは最新の排出ガス規制ユーロ5に適合したのです!

空油冷ボクサーエンジンの排気量は従来モデルと同じ1170ccのままですが、シリンダーヘッドが新設計に。混合気が燃焼室へ導かれる際に効果的にタービュランス(渦)を形成するようになり、クリーンな燃焼と旧来モデルを上回る過渡特性を実現しているとのこと。
特に常用域となる4,000回転~6,000回転の領域では、パワー、トルクともに従来モデルを上回る出力特性を得ています。このアップデートに伴って、シリンダーヘッドカバーとインジェクター、インテークパイプ周りの造形が一新されています。

エンジンのスペックは、最大トルクが116Nm/6000rpmと従来通りながら、最高出力が従来モデルの110馬力/7750rpmから109馬力/7250rpmへ。馬力こそ、ほんのわずかに低下していますが、最高出力の発生回転数が500回転も低下していることからも、より常用域で楽しめる性格となったことがおわかりになるかと思います。

もちろん、ユーロ5への適合とエンジン特性の見直し、さらにエンジンモード切り替えやクルーズコントロールなどの新装備は新型R nineTが電子制御スロットル「フライ・バイ・ワイヤ」を採用したからこそ実現できたもの。
刷新されたライディングコンピュータによってさらに綿密なエンジン制御が可能となり、機能面でも環境面でもアップデートが行えた、というのが新型R nineT最大のハイライトと言えます。

新型R nineTがユーロ5に適合したことは、じつは従来モデルのオーナーにとっても意味のある話です。
前述したようにR nineTは自由なカスタマイズを前提したモデルであり、各モデルで基本的な車体構成要素を共通化しています。例えば、R nineTスクランブラーのアップマフラーをR nineTに取り付けたり、Uraban G/Sのカウルを他のモデルに取り付けたち、といった芸当も可能なのです。

もちろん、新型R nineTでもフレームや外装パーツなど、各パーツのレイアウトや取り付け方法は従来モデル同様であり、さらに「Option 719」を中心とした純正アクセサリーも今回大幅にアップデートされています。
その多くが従来モデルとの互換性を維持したままだと仮定すれば、R nineTがユーロ5に適合してモデルライフが延びたことは、今後も新たなアクセサリーパーツが登場する可能性が高いと考えられるので、新型モデルの登場は従来モデルオーナーにとっても歓迎すべきトピックと言えるのです。

#4 LEDヘッドライトが純正採用に!

全モデルでクラシックな丸型ヘッドライトを採用していたR nineT。
新型モデルではついにLEDヘッドライトが採用となりました。モダンとクラシックが融合したヘリテイジモデルとは言え、これまでのR nineTは一般的なハロゲンバルブ式のヘッドライトであり、その見た目には若干の古臭さもありました。
もちろん「そこがいい」という意見もあるとは思いますが、新型R nineTが採用するヘッドライトは、1800ccの空油冷ボクサーエンジンモデル「R 18」と同形状にも見えるLEDヘッドライトを装備して、よりモダンな印象に。

従来モデルのヘッドライトは、普段使う分にはそれほど不満もないのですが、夜間のワインディングに繰り出した際にはコーナーの奥が見えづらく、もう少し光量があっても良いのにと思うこともしばしばで、ワインディング好きの筆者はLED補助ライトの導入を真剣に検討するほどでした。

R nineT新型モデルの資料では、バンク角に応じて照射範囲を変化させるアダプティブヘッドライトの搭載については明言されていませんが、LED方式となったことで従来型よりも照射範囲が改善されていることを期待したいところです。

また、ウインカーについてもヘッドライト同様にLED化されているのもポイント。さらにOption 719のアクセサリーでは、S1000RRのようなウインカーとテール&ブレーキランプが一体となったタイプも発表されています。

#5 リヤサスペンションのプリロードアジャスターが全車標準装備に

R nineTシリーズは、R nineTのみがフルアジャスタブルの倒立フロントフォークを装備して、その他モデルはすべて正立式フロントフォークを採用しています。
一方のリヤサスペンションは全車で同じユニットを搭載。そのリヤサスペンションには今回全車にプリロードアジャスターが搭載されました。ただし、従来モデル同様に車両によってリアサスペンションのスプリングトラベルは異なっていて、R nineTとPureが120mm、ScramblerとUrban G/Sが140mmの設定です。

#6 カラーフレームモデルが複数登場!

新型R nineTのさらなるトピックがカラーフレームモデルの登場です。これまでも各モデルで異なるボディカラーを展開していましたが、フレームのペイントが異なっていたのはカフェレーサースタイルのR nineT Racerだけでした。

他のモデルがブラックのフレームを採用するなかでRacerはシリーズで唯一、シルバーメタリックのフレームを採用して、独特の存在感を放っていました。いくら純正や社外パーツを組み合わせれば様々なスタイルが構築できるR nineTではあっても、フレームをペイントするとなると車体の全バラは必須。工賃とペイント代にいくらかかるのか考えるのが怖いほどです。

新型R nineTではBMW純正オプションのハイエンドラインとなるOption 719のパッケージとしてカラーフレームモデルが用意されています。
ペイントされるのはエンジン後方のメインフレームのみで、メインフレームとは切り離されているヘッドパイプ側のフレームはいずれもブラックです。

また、Urban G/Sでは、カラーフレームモデルではないものの、GS生誕40周年記念モデルとして“Edition 40 Years GS”が用意されています。
R nineT Urban G/S “40 Years GS”では、R1250GSなどのGS各モデル同様にR100GSをオマージュしたカラーリングとゴールドのクロススポーク、イエローのハンドガード、GSロゴ入りのシート、Option 719のシリンダーヘッドカバーを採用。さらにこのモデルでは、Scrambler用のアップマフラーを装備しているのも見逃せないポイントです。

ここまで新型R nineTの詳細についてお届けしてきました。初代モデルの登場から時間が経ち、ライバルメーカーたちが次々に充実装備のヘリテイジ系モデルを発表するなか、新たな装備を手に入れて商品力をさらに高めたR nineT。
これだけのアップデートを果たした結果、価格は各モデルで10万円~15万円ほどのアップ──内容を考えれば「納得」と言える範囲ではないでしょうか。

レポート●土山 亮 写真●BMW

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みんなのコメント

1件
  • 従来モデルはかっこいいけど、どーしてもお尻が痛くなってダメだった。これはどうかな?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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