■現在の国産ミニバンは跳ね上げ式縦開きリアゲート
クルマのテールゲートは一般的に上下方向に開閉する縦開き式を採用することが多いですが、なぜ、縦開き式が主流となっているのでしょうか。
とくにミニバンではその傾向が強いようです。
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テールゲートを有するモデルの多くは、縦開き式の跳ね上げ式リアゲートが主流になっています。
その他のものでは、ルノー「カングー」が「観音開き式」、トヨタ「ランドクルーザープラド」やスズキ「ジムニー」が「横開き式」、トヨタ「ランドクルーザー(200系)」やホンダ「エレメント」が「上下分割式」など多岐なバリエーションが存在します。
センターから分割して開閉する観音開き式は、横開きの1枚ドアと比較しても、車両後部のスペースが狭くても開閉しやすく、全開にしなくても荷物の出し入れがしやすく便利な機構です。
また横開き式の特徴は、扉を全開にしなくても荷室のアクセスが容易であることや軽い力で開けられることがメリットとして挙げられます。
他にも個性的な開閉方法として、先代となるホンダ 「ステップワゴン」には「わくわくゲート」というものが採用されていました。
わくわくゲートは、従来の縦開き式だけでなく、カングーのように観音開き式の機構も備えていることから3列目シートからの出入りも容易にするなど、ふたつのドアの好いとこ取りをしたような画期的なものでした。
なお、現行となるステップワゴンにわくわくゲートが採用されない理由についてホンダは、次のように説明しています。
「先代モデルでは、後方から見た左右非対称のデザインという時点で購入リストから外されていることが多かったことが調査で判明しています。
一方で実際に使われている人からは『狭い場所でも便利』、『物の出し入れがしやすい』と好評だったのは事実です。
また、わくわくゲートの機構は従来のテールゲート構造よりも重量が重くなり傾向にあり、それにより縦開き式する際に開閉時の力が必要だったので一部では不評だったと聞いています。
こうした経緯もあり、現在のステップワゴンではわくわくゲートを無くしました。
ただ、スパーダでは電動、エアーでは手動ながらとても軽い構造のリアゲートとなっているため、使い勝手としては向上しています」
※ ※ ※
このような背景から斬新な機構だったわくわくゲートは廃止されたようですが、依然として他社のミニバンでは縦開き式が多く採用される理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
現在、高級ミニバンの代名詞となっているトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」ですが、2023年6月21日に新型モデルが世界初公開されました。
この新型アルファード/新型ヴェルファイアでも縦開き式の「パワーバックドア」が採用されていますが、縦開き式が採用される要因について担当者は「パワーバックドアはイージークローザー、挟み込み防止、停止位置メモリー、といった安全・快適機能が備わっていますが、横開き式ではこのような機能が盛り込みづらいという問題もあり、従来通りの縦開き式を採用しています」と説明しています。
■日本には縦開き式が合っている? 最新ミニバンの採用事情とは?
このように様々なバリエーションが存在するテールゲートの開閉方法ですが、ミニバンにおいては縦開き式が主流です。なぜなのでしょうか。
横開き式がミニバンに採用されない理由について、日産広報部の担当者は次のように話します。
「横開きは、軽い力で開閉ができ、狭い場所でも少しだけ開けて荷室に手を伸ばせるメリットがあります。
しかし、一方で雨天時に雨除けにならないことや、強風時に影響を受けやすいことなどシーンによっては使いづらいこともあります。
雨が多い日本では縦開き式のほうが多く好まれると考えています」
さらに、日産「セレナ」のリアゲートで縦開き式が採用されている理由について、前出の担当者は次のように話します。
「セレナでは狭い場所での利便性やバックドアが雨除けにもなることなどを考慮し、縦開き式を採用しています。
また、ドアの上半分を開閉できるデュアルバックドアを先代より引き続き設定しております。
樹脂バックドアを採用することで操作性を軽くしたり、メインバックドアはドア角度を変更し、先代よりもさらに届きやすくなるように改善しており、お客さまにご好評いただいております」
※ ※ ※
またトヨタの「ノア/ヴォクシー」でも縦開き式を採用していますが、狭いスペースでも開閉がしやすいように操作スイッチをボディサイドに変更している他、新機構「フリーストップバックドア」という開閉の角度を任意で止められるものが採用されました。
このようにミニバンで縦開き式が多い理由には様々な要因が挙げられますが、日本の道路事情にも合わせた工夫も行われているようです。
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