現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【74.2kg-mの極太トルクが生む余裕】新型 アルピナD3 S ツーリングへ試乗

ここから本文です

【74.2kg-mの極太トルクが生む余裕】新型 アルピナD3 S ツーリングへ試乗

掲載 更新 6
【74.2kg-mの極太トルクが生む余裕】新型 アルピナD3 S ツーリングへ試乗

D3 Sの個性を作る驚くほどのトルク

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)

【画像】アルピナB3と3シリーズ・ツーリング 全72枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


早速だが、このクルマ最大の特徴は、1750rpmから得られる74.2kg-mという極太のトルク。4000rpmまで回せば355psの最高出力も得られるが、新しいD3 Sの個性を作っているのは、驚くほどのトルクにある。

ディーゼルターボの強みを証明する、低回転域から中回転域にかけての、たくましいパンチ力。逆風は強いままだが、ディーゼルの可能性は終わったわけではない。

最新のアルピナD3がベースとするのは、すでに充分な力自慢のBMW M340d xドライブ。名前が示す通り四輪駆動で、4ドアサルーンのリムジンと、ステーションワゴンのツーリングが選べる。

先日はガソリンエンジン版のB3をご紹介したが、今回試乗するのはディーゼルエンジンでステーションワゴンのD3 Sツーリング。ドイツ・ビルスター・ベルク・サーキットでの試乗機会をいただいた。

いつものアルピナらしく、BMW 3シリーズからスタイリングの変更は控えめ。フロントバンパー下のスカートと、マルチスポークのタービン風ホイールをまとう。リアバンパーのデザインも変更され、4本出しマフラーカッターが引き上げられた性能を主張する。

内容としてはその程度だが、M340dより明らかにアグレッシブ。見た目の違いは充分に得ている。ひと目見ただけで、アルピナだとわかるだろう。

滑らかでたくましいディーゼルターボ

インテリアも同様。専用のグラフィックが与えられたデジタルモニター式のメーターパネルに、アルピナ・オリジナルのステアリングホイールとインテリアトリムで仕立てられている。

フロントシートは張り直され、センターコンソールにあしらわれるエンブレム入りのプレートには、シリアルナンバーが記される。アルピナが製造するクルマは、すべてを合計しても年間2000台程度しかない。

一方でボンネットの内側には、D3 S一番の改良が施されている。ベースとなるエンジンは、BMW製の3.0L直列6気筒ディーゼルターボ。電圧48Vのスターター・ジェネレーターでアシストされるユニットだ。

最高出力はM340dの15ps増しとなる355psで、最大トルクは3.0kg-m増しの74.2kg-m。主に新開発のエグゾーストシステムによって達成しているという。

ディーゼルエンジンのサウンドは、始動時には静かに車内で聞き取れる程度。アイドリングは目を見張るほど滑らかだ。

走り始めると、ディーゼルらしいカラカラ音がわずかに聞こえる。しかし、手直しを受けた直列6気筒ユニットのサウンドが、不快に感じられることはない。

D3 Sにフルスロットルを与えると、一瞬のターボラグが生じる。わずかに待って、低回転域から上り詰める巨大なトルクの山へ到達すれば、あとは大きな数字の期待通り。

アクセルペダルを穏やかに踏んでいれば、素晴らしい柔軟性で答えてくれる。市街地を低速でうろつくようなドライブは、リラックスした体験に終止する。

0-100km/h加速4.8秒、最高速度270km/h

D3 S最大の魅力は、豊富に湧きいでる、有り余るほどの力強さ。0-100km/h加速4.8秒という時間は、低いギアで体験できる桁違いのパフォーマンスを表現しきれていない。

一方の最高速度は270km/h。秀でた性能が理解できる速度だ。

今回の試乗はサーキットのみ。それでも、増強されたトルクが生み出す走りが、どれだけ安楽なロングツーリングを与えてくれるのかは、想像に難くない。

確かに、ディーゼルエンジンは磨き込まれたガソリンエンジンほど、感情の高ぶりをもたらしてくれるわけではない。目一杯引っ張っても、5000rpm程度しか回らない。しかし中回転域のたくましさが、その不足を補って、さらに余りがある。

3000rpmも回ったら、シフトアップして構わない。すぐさま最大トルクが発生し、激しい加速が引き継がれる。

トランスミッションはZF社製の8速AT。こちらもアルピナの手によって、トルクコンバーターは強化されている。豊かなトルクを無駄なくタイヤへ伝送する、素晴らしい仕事をしてくれる。

変速は、コンフォート・モードなら至ってスムーズ。しかしスポーツ・モードを選ぶと、突如容赦ないキビキビとした性格へ変わる。

サスペンションは、アルピナによる新しいスプリングとダンパーを採用するだけでなく、アンチロールバーも専用品。タイヤはアルピナ向けに開発された、ピレリPゼロだ。グリップレベルは常に高く、限界領域での挙動も掴みやすい。

突出した中間加速と高い洗練性

アルピナD3 Sは、トラクションも不足はない。M340dの四輪駆動システムへ手が加えられ、パワーとトルクを確実に路面へと伝える。

動的性能も、極めて好印象。重いエンジンがフロントに載っていることに気付かされるものの、流れるように滑らかな身のこなしと姿勢制御が、ベースのM340d以上であることは確実だ。

コーナリング中は、好ましいニュートラル姿勢を保持。オーバーステアへ転じるのは、きっかけとなる強いアクセル操作を与えた時くらい。もし高性能なディーゼル・ワゴンをお探しなら、D3 Sツーリングは一見の価値がある。

ガソリンエンジンを搭載したB3のように、レスポンスに優れた方向転換は得られない。しかし突出した中間加速と、高い洗練性を楽しむことができる。

ディーゼルエンジンだから、燃費も満タンでの航続距離も不満はないだろう。だたし、C02の排出量はM340dより40g/km多い、199g/kmであることには触れておこう。

燃費は、性能を考えれば納得の13.2km/L。アルピナD3 S ツーリングは、どんな状況でも、完璧な日常の相棒になってくれるだろう。

アルピナD3 S ツーリング(欧州仕様)のスペック

価格:5万5950ポンド(749万円)
全長:4719mm
全幅:1827mm
全高:1440mm
最高速度:270km/h
0-100km/h加速:4.8秒
燃費:13.2km/L
CO2排出量:199g/km
乾燥重量:2010kg
パワートレイン:直列6気筒2993ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:355ps/4000-4200rpm
最大トルク:74.2kg-m/1750-2750rpm
ギアボックス:8速オートマティック

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

F1参戦計画が再加速か。アンドレッティ・グローバル、シルバーストンの開発チームを増員へ
F1参戦計画が再加速か。アンドレッティ・グローバル、シルバーストンの開発チームを増員へ
AUTOSPORT web
旧伊勢神トンネルの”魔物”は健在? オジェ&勝田貴元がパンク。SS4ではヌービル謎の出力低下|WRCラリージャパンDAY2午前
旧伊勢神トンネルの”魔物”は健在? オジェ&勝田貴元がパンク。SS4ではヌービル謎の出力低下|WRCラリージャパンDAY2午前
motorsport.com 日本版
ミツオカ「新型エムダブルファイブ」世界初公開! “丸目4灯”の「旧車デザイン」採用! MTのみ設定&ターボエンジンの「Zero Edition」ついに発売
ミツオカ「新型エムダブルファイブ」世界初公開! “丸目4灯”の「旧車デザイン」採用! MTのみ設定&ターボエンジンの「Zero Edition」ついに発売
くるまのニュース
FIA、F1ラスベガスGPを前にプランクの摩耗を防ぐルールの抜け穴を技術指令で塞ぐ。一部チームに影響か
FIA、F1ラスベガスGPを前にプランクの摩耗を防ぐルールの抜け穴を技術指令で塞ぐ。一部チームに影響か
motorsport.com 日本版
ラッセルはFP1でのルーキー起用増加を歓迎も、マシン損傷があった場合の修復費用はコスト制限から外すべきだと提案
ラッセルはFP1でのルーキー起用増加を歓迎も、マシン損傷があった場合の修復費用はコスト制限から外すべきだと提案
AUTOSPORT web
マツダ新型「CX-5」まもなく登場!? 独自「ハイブリッド」&ダイナミックデザイン採用か? デビュー7年目の大進化予想CGがスゴイ
マツダ新型「CX-5」まもなく登場!? 独自「ハイブリッド」&ダイナミックデザイン採用か? デビュー7年目の大進化予想CGがスゴイ
くるまのニュース
来季のレース情報も盛りだくさん! 世界最大のモーターサイクルショーEICMAレポート レーシングライダー大久保光の海外生活
来季のレース情報も盛りだくさん! 世界最大のモーターサイクルショーEICMAレポート レーシングライダー大久保光の海外生活
バイクのニュース
ロゴを刷新した新生ジャガー、デザインビジョンコンセプト発表へ…12月2日
ロゴを刷新した新生ジャガー、デザインビジョンコンセプト発表へ…12月2日
レスポンス
【遂に価格決定】フォルクスワーゲン新型ティグアン 3世代目は7年ぶりのモデルチェンジ
【遂に価格決定】フォルクスワーゲン新型ティグアン 3世代目は7年ぶりのモデルチェンジ
AUTOCAR JAPAN
もうこんな[クルマ]作れないかも?? 買うなら今よ初代[コペン]!!
もうこんな[クルマ]作れないかも?? 買うなら今よ初代[コペン]!!
ベストカーWeb
レクサス「UX300h」に特別仕様車/「LBX」にエントリーグレードを設定! 511万円と420万円からというお値段以上の中身を紹介します
レクサス「UX300h」に特別仕様車/「LBX」にエントリーグレードを設定! 511万円と420万円からというお値段以上の中身を紹介します
Auto Messe Web
はみ出した看板! 酔って道路に座り込み! ヘタしたら打ち水も! そこかしこで見かける道路交通法違反
はみ出した看板! 酔って道路に座り込み! ヘタしたら打ち水も! そこかしこで見かける道路交通法違反
WEB CARTOP
欧州フォード、2027年末までにさらに4000人削減 EV工場も生産調整
欧州フォード、2027年末までにさらに4000人削減 EV工場も生産調整
日刊自動車新聞
【ヨーロッパ以外で初】本日から開催! アルピーヌA110RGTが「フォーラムエイト・ラリージャパン2024」参戦
【ヨーロッパ以外で初】本日から開催! アルピーヌA110RGTが「フォーラムエイト・ラリージャパン2024」参戦
AUTOCAR JAPAN
今年は飛びませんように……ラスベガスGP、マンホール/水道管の蓋を舗装&補強。昨年とばっちりのサインツも「安全が何よりの願い」
今年は飛びませんように……ラスベガスGP、マンホール/水道管の蓋を舗装&補強。昨年とばっちりのサインツも「安全が何よりの願い」
motorsport.com 日本版
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
レスポンス
ルノー新型「5 Eテック」は約450万円から 英国仕様が発表、春に納車開始へ レトロな最新EV
ルノー新型「5 Eテック」は約450万円から 英国仕様が発表、春に納車開始へ レトロな最新EV
AUTOCAR JAPAN
レクサス新型「“和製”スーパーカー」に反響多数! V8×超美麗ボディに「いつ登場する!?」「憧れる」の声も! 噂の「LF“R”!?」に期待高まる
レクサス新型「“和製”スーパーカー」に反響多数! V8×超美麗ボディに「いつ登場する!?」「憧れる」の声も! 噂の「LF“R”!?」に期待高まる
くるまのニュース

みんなのコメント

6件
  • アルピナ乗ってみたいなー
    乗るならB3かな。
    でも、馬鹿っ速いディーゼルにも乗ってみたい。

    あー、こんなんで悩んでみたいわ。
    仕事がんばろ。
  • 普通にWRCarの出力叩き出してるやん
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村