イタリアは生活を楽しむ天才揃い!
「イタリアって、何を食べても美味しいよね」というのは、よく聞く話です。でも、同じラテン系でもフランスは、バゲットやクロワッサンは抜群に美味しいけれど、パスタは驚愕するほど不味い(笑)。固いか茹ですぎか。それなりのレストランなのになんで~?!と、思わずフォークの手が止まるほどの違いに驚かされます。
【最新モデル試乗】際立つデザイン性。お洒落を楽しむBEV、フィアット500eのアピール力
その点イタリアのパスタは、しっかりアルデンテ。そこら辺りの食堂でも、茹で上げた後にソースと絡めるところまで計算して、お口に運ぶときにきちんとアルデンテなのがスゴイ! 加えてパスタ以外、ピッツアもフォカッチャもホッペが落ちるくらい美味しい!
だからでしょうか、ドイツ語で美味しいという意味の「レッカー」なんて日本でほとんど知られてない。フランス語の美味しい「トレビアン」は、まぁある程度は知られているかもしれないけれど、イタリア語の美味しい「ボーノ」は別格。もはや老若男女を問わず、日本国民全員が知っているくらい。
この差は何か? と考えると、頃合いだと思うんです。パスタだって太さはさまざま、気温や湿度によって茹で具合なんてすぐ変わってしまう。パスタロボから一度引き揚げてから、パスタパンでソースを絡めてのアルデンテですから、ソースの材料によっても茹で具合なんてすぐ変わってきます。それでも毎回見事なアルデンテに仕上げてくるということは、イタリア人は、きっとパスタと「そろそろだよ~」「いまだよ!」なんて具合に、会話できるんでしょうね。このくらいでOKでしょという、絶妙な頃合いを見計らう天才揃いです。
笑顔になるクルマ、500eオープンはその代表選手だと思います
これって万事共通でいえる話で、クルマだってそう。皆さん間違いなくクルマと会話できて、誰もが美味しいと思える頃合いを見つけるのが上手なんだと思います。
今回の主役、フィアット初の本格BEVとなったフィアット500eですが、何も500のイメージを投影しなくても、たとえばもっと空力に特化した、まったく新しいカタチのモデルだってよかったわけです。実際500eも、フィアット500と似たように見えて、実は97%のパーツが新規で起こされているものだったりするわけですよ。まったく別物なんですよね。
でもフィアットは、みんなに愛されている500のように、みんなに愛されるクルマが作りたかった。だから、500から乗り換えても何の違和感もない、簡単にいうと次世代のフィアット500を作ったと、開発者がおっしゃっていました。
「だってね、ここから先は電動化は避けられないといわれているでしょ。とくに普段街乗りで使うクルマはそうなるよね。だとすると、次のフィアット500を作るとしたらBEVになる。だからこれ、フィアット500のフルモデルチェンジと考えてもらうとわかりやすいと思うんだ。まぁこれまでの常識からいうと、ガソリンモデルが同時に発売されれば、よりみんなに伝わりやすかったのかもしれないけどさ」というのが、本音。
だからこそ、しっかりとクローズドルーフと、オープンモデルを、最初から作ってきたということなのでしょう。空力だけ考えたら、クローズドルーフのほうが理に適っています。でもフィアットはみんなに愛されるためにはオープンも必要、オープンモデルがないと次世代の500にはならない、と考えたのだと思います。この思考法、イタリア人には普通でも、ワールドワイドで見たら異色。だからこそ現状BEVのオープンモデルってフィアット500eしかないのだと思います。そういうところにイタリア人のハートの粋な部分を感じるんです。
500e、中でもオープンは、「カッコよくなきゃクルマじゃないじゃん。楽しめなきゃ!」そんな気持ちがあふれ出ています。
だから、屋根の開き方もフィアット500と同じ。両サイドの枠が残り、大きく開くキャンバストップのような雰囲気で、後ろにクシュッとまとまるという開き方は世界唯一。とにかくカワイイんですよね。しかも、枠が残るから周囲から見られすぎている感じがなくて、恥ずかしがり屋さんも開けやすい(笑)。
でも、シート表皮全体に「FIAT」とカワイイロゴのステッチが縫いとられているのは、外から見られるということを理解して、しっかり計算したうえでの配慮なのは間違いナシ。ドライバーだって運転中はインテリアしか見えないわけですから、このお洒落さは一挙両得になっているというわけなんです。
一充電当たりの航続距離は335km、実際は260km程度です。これもバッテリーをたくさん積んで、クルマを巨大化させることを避けて、500だったらこれくらいあれば十分だよね~というところに留めている。賢い選択だと思います。みんなに愛される頃合いを知っていることのひとつでしょうね。
老若男女を問わず好かれるクルマではありますが、「髪型が崩れる、日焼けする、おしゃべりしにくい」などの理由から、オープンカーが苦手な女性もいます。デートの際はそこの頃合いを見てルーフを開けてくださいね。
フィアット500e主要諸元
グレード=500eオープン
価格=536万円
全長×全幅×全高=3630×1685×1530mm
ホイールベース=2320mm
車重=1360kg
モーター種類=交流同期発電機
モーター定格出力=43.0kW
モーター最高出力=87kW(118ps)/4000rpm
モーター最大トルク=220Nm/2000rpm
一充電走行距離(WLTCモード)=335 km
交流電力量消費率(WLTCモード)=128Wh/km
駆動用バッテリー=リチウムイオン電池
駆動用バッテリー総電力量=42kWh
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ=フロント:ディスク/リア:ドラム
タイヤサイズ=205/45R17
駆動方式=2WD
乗車定員=4名
最小回転半径=5.1m
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