もくじ
ーはじめに
ー意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
ー内装 ★★★★★★★★☆☆
ー走り ★★★★★★★★☆☆
ー使い勝手 ★★★★★★★★☆☆
ー乗り味 ★★★★★★★★☆☆
ー購入と維持 ★★★★★★★★☆☆
ースペック
ー結論 ★★★★★★★★☆☆
アヴェンタドール後継車種 ランボルギーニ初のV12ハイブリッド車か
はじめに
世界はメルセデス-AMG製のハイブリッドシステムを搭載した、ハイパフォーマンスなグランドツアラーを迎え入れる準備が整っているだろうか。あるいは、メルセデス-AMG製自慢の荒々しいV8とは異なる魅力に、気付くことはできるだろうか。10年前なら、現実味のない問だったかもしれない。いまもさほど大きな変化はないかもしれないが、状況は変わりつつある。
メルセデス・ベンツ社によるハイパフォーマンス・ブランドは目下、1000ps以上を誇るハイブリッド・ハイパーカー「ハロ」の開発で、最終段階に入っているはず。同時に、新しいハイブリッドシステムを搭載したクルマをショールームに複数準備する計画も進んでおり、AMGのオーナーや、オーナー予備軍にとっては興味深い動向に違いない。
そして今回ロードテストに登場するのが、アッファルターバッハ製のハイブリッドシステムを初めて搭載したクルマとなる。モデルとしてはC257というコードネームを持つ、3世代目のメルセデス・ベンツCLSをベースにした、メルセデス-AMG 53だ。
メルセデス製のハイブリッドシステムは、スーパーサルーンとしての資格に不足のない結果を、AUTOCARのロードテストで示すことができるのだろうか。そもそもCLSのみが、メルセデス-AMGのハイブリッドシステムを搭載するモデルではなく、E53クーペやコンバーチブルでも選ぶことができる。好印象な3.0ℓ直列6気筒エンジンに電動モーターが組み合わされるシステムで、ボディタイプを問わず、最高出力や瞬発力、経済性、環境負荷に大きな違いはない。
メルセデス-AMGは今のところ、エンジンを縦置きしたクルマの派生モデルとして、「53」の数字を付け、ハイブリッドをラインナップしているようだ。「43」や「63」に搭載されることはない。よりトラディショナルなサルーンにハイブリッドが搭載されることは、しばらくないのかもしれない。
▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論
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意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
初めに触れておくべきは、3代目になったCLSには、先代と異なり猛烈なV8エンジンを搭載した63は存在しないということ。もし似たボディ形状にV8エンジンの組み合わせを希望するなら、AMG GT 4ドアクーペを選択することになる。CLSは、今回のテスト車両でもある、直列6気筒を搭載した53が頂点となるわけ。
CLS53が搭載するエンジンの排気量はちょうど3ℓで、タービンはシングルながら排気側からターボへの系統がふたつあるツインスクロールターボが組み合わされ、さらに吸気側には電動のコンプレッサーが備わっている。その結果得られる最大トルクは逞しく、52.9kg-mをわずか1800rpmから5800rpmに渡って発生させる。最高出力は435psで、レッドゾーンの手前6100rpmで発生する。
さらに低回転域では、電動モーターからのパワーも加わる。このモーターはエンジンと9速ATの間にマウントされ、スターター・オルタネーターとしても機能することで、ハイブリッドシステムのバッテリーも充電する機能も持つ。モーターの駆動電圧は48Vとなり、最大トルクは25.3kg-mを発生することが可能。ただし、モーターの補助はエンジンが低回転で動いている時のみで、モーターとエンジンのトルクを単純に加算したものが、最大トルクになるというわけではない。低負荷時にはエンジンを完全に停止させ、48Vのハイブリッドシステムがモーターやエアコンの送風機へ電力を供給し、長時間の走行をサポートする。
エクステリアデザインは、初期のCLSのように明確な特徴は薄まったが、Eクラスと見間違うことはないだろう。サスペンションはフロント、リアともにマルチリンク式となり、「AMGライドコントロール+」と呼ばれる、エアスプリングとアダプティブダンバーが組み合わされる。高速域では車高が自動で下がり、急な歩道へのスロープなどでは、手動で車高を上げることも可能。
サスペンションの設定にはコンフォートからスポーツ+まで3段階の設定があり、電動パワーステアリングのフィーリングも変化する。もちろんエンジンやトランスミッションなども同様に変更できるから、目前の道路状態などにあわせて、CLS53を自在に調節することができる。
「4マティック+」と名付けられた四輪駆動システムも標準装備で、主にクルマを前進させるのは後輪だが、トラクション状況に合わせてシームレスに、前輪と後輪との駆動力を調整することが可能。ただし、味付けとしてはエンターテインメント性ではなく、実直に走るためのもの。また63Sとは異なり、ドリフト好きにはたまらない、後輪駆動のみのモードも存在しない。
▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論
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内装 ★★★★★★★★☆☆
CLS53のインテリアは極めてモダンな、先進的でラグジュアリーな雰囲気にあふれており、さらにスポーティなフレーバーが散りばめられている。落ち着いたスーパーサルーンのインテリアとは趣が異なる。ヒーターとベンチレーターにマッサージ機能も搭載されたドライバーズシートは、体のホールド性の面ではベストとはいえないが、間違いなくハイクラスな仕上がりだと思う。
AMGのロゴがステアリングホイールやサイドシルのプレートなど、車内のあちこちに配されてお迎えしてくれる。デジタル・インスツルメントもAMGスペシャルになっていることに気づかなかったとしても、このロゴはハイパフォーマンスモデルの証なことはわかるだろう。
使用されている素材も高級感に溢れ、上質で満足感も高い。2面並んだモニターは、デジタル・インスツルメントとインフォテインメント・システム用。クルマを取り巻く情報をリアルタイムで表示し、先進的にコントロールする反面、少しとっつきにくく感じられるひともいるだろう。ただ、システムにはすぐに慣れるものの、逆に運転の気が散る要素になることもわかってくる。
インテリア全体の雰囲気は、通常のCLSとAMG版のCLS53とで、装備の差は多少あっても、大きな違いはない。内装材の質感、しっかりした操作感など、ドイツ的な優れた「技術的な魅力」に満ちている。
実用性の面を見ると、後部座席には3名分のシートベルトが用意され、ライバルモデルでは定員が4名となる中で、アドバンテージを得ている。しかし、中央の席は十代後半以上の体格のひとにとっては窮屈だから、長時間過ごしたいと思える空間ではないだろう。両脇のシートは余程背が高いひとでない限り快適に過ごすことができるとは思うが、流麗なルーフラインのおかげで、クルマへの乗り降りはしにくいと思う。
ラゲッジスペースは、アウディA7やポルシェ・パナメーラほど広大ではないが、充分な容量が確保されている。また荷物の積み込みやすさも、ハッチバックボディを持つライバルの方が勝っていることはいうまでもない。もしかすると、CLSの4ドア・サルーンをリリースした後、CLSシューティング・ブレークも追加した理由は、この辺りにあるのかもしれない。
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走り ★★★★★★★★☆☆
AMGの「63」とナンバリングされたクルマより2気筒少ないものの、CLS53の発するノイズは、アッファルターバッハ製のエンジンに期待するような、迫力に溢れたものだと思う。やや人工的な印象は拭えないが。V8エンジンの大地を揺るがすような轟音とは異なり、53の直列6気筒の音色も個性豊かで、シルキーといえるほど滑らかに回り、低回転域から聴かせる音を奏でてくれる。そこからアクセルを踏み込むほどに活気が増していき、6500rpmのレッドゾーンに迫る頃には強烈な唸りへと、ドラマティックに変化していく。
車内の静寂性を測ってみると、4速でレッドゾーンまで回したときの音量は78dBで、2018年の6月に計測したV8エンジンを搭載したGLC 63Sよりも2dBほど静か。相対的には25%程の差がある。
停止状態からのスタートダッシュでは、トラクション不足や9速ATの詰めの甘さといったものは皆無。0-96km/hの加速時間は往復平均で4.3秒となった。メルセデス-AMGは0-100km/h加速時間を4.5秒と主張しているが、それを上回る数字だといえる。加速マナーは極めてリニアで、回転数に関係なくターボラグもほとんど感じ取れなかった。
最もアグレッシブなスポーツ+モードにすると、その速さを実感するに充分な、鋭いシフトアップを披露してくれる。V8エンジンでなくても、強烈な直線加速は健在だ。追い越し加速でもクルマのポテンシャルは明確で、48km/hから112km/h加速に要した時間はわずか3.7秒。2011年に計測した先代のCLS 63Sには、556psを発生する5.5ℓのV8エンジンが搭載されていたが、同加速は0.1秒だけ速いものだった。
4速固定で見た場合、63Sは48km/hから112km/hの加速で5.6秒だったのに対し、53は6.1秒と、フレキシブルさで見るとV8エンジンの先代の方が優れていたといえる。AMG製のV8モデルと比較した際、わずかに劣る結果だとはいえるが、実際のコンディションでは6気筒の実力を発揮させれば、ほぼ同等のパフォーマンスを備えているといえるだろう。
もちろん、ガソリンをがぶ飲みするV8エンジンがボンネットに収まっていない分、CLS53の燃費は大幅に向上している。われわれが計測したツーリング時の燃費は、63Sが9.1km/ℓに留まったのに対し、53は13.8km/ℓと、現代的な数字を示している。
テストコース:乾燥
CLS53のサスペンションは比較的ソフトな設定で、ミルブック自動車試験場の丘陵ルートで安定性を保つには少し苦労したようだ。軽くない車重が高速でのコーナリング時の足を引っ張り、中速コーナーでのコントロール性にも悪影響を及ぼしている。丘の頂上付近ではわずかにクルマが路面から離れるような振る舞いも見せたが、危険性を感じる挙動とまではいえないだろう。
メルセデス・ベンツはスタビリティコントロールのキャリブレーション、味付けのコツを理解しているようで、CLS53にもそれはしっかり受け継がれている。しかし、ミルブックの丘陵ルートのコーナーは変化に富んでおり、急激に勾配角が変化する場面が少なくない。そのような場面では、洗練生を欠いたように、システムが対応しきれない様子も見られた。
T1セクションの積極的な方向転換を必要とする区間では、サスペンションの柔らかいセッテイングが強調されてしまうようだった。充分コントロール下にはあるのだが、大きくボディロールしてしまった。T2のセクションでは優れたグリップ力をフロントタイヤが備えてはいるものの、アンダーステアが発生。中速コーナーでも車重の重さは隠しきれなかった。T5セクションにある激しく起伏が変化する区間では、ESCは反応を示すこともなく安定して走り抜けた。ハイブリッドシステムがエンジンをしっかり補完し、丘の下り坂ではエンジンは走行パフォーマンスを犠牲にすることなく、充電も賄えている。
発進加速
メルセデス-AMG CLS53 4マティック+
テスト条件:湿潤/気温20℃
0-402m発進加速:12.9秒(到達速度:176.8km/h)
0-1000m発進加速:23.4秒(到達速度:228.2km/h)
48km/h-112km/h加速/4速:6.1秒
レクサス LC500スポーツ+(2017年)
テスト条件:湿潤/気温14℃
0-402m発進加速:13.6秒(到達速度:177.6km/h)
0-1000m発進加速:24.0秒(到達速度:230.6km/h)
48km/h-112km/h加速/4速:7.3秒
制動距離
メルセデス-AMG CLS53 4マティック+
テスト条件:湿潤/気温20℃
97-0km/h制動時間:2.73秒
レクサス LC500スポーツ+(2017年)
テスト条件:湿潤/気温14℃
▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論
▶ はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論
使い勝手 ★★★★★★★★☆☆
メルセデス-AMGのCLS53を選択したことによるメリットは、走行パフォーマンスだけでなく、ほかのCLSでは4000ポンド(56万円)のオプションとなるプレミアムプラス・パッケージ相当の内容が標準装備される点もある。13本のユニットを搭載したブルメスター製のステレオに、360度ビューが得られるパーキングカメラに、コマンドオンライン・インフォテインメント・システムがその内容。
ダッシュボードには12.3インチのワイドモニターが2面備わり、まるでひとつの大画面のように感じられる。モニターはタッチパネル式ではなく、センターコンソールにレイアウトされたロータリー・スクロールホイールで操作する。また、ステアリングホイールのスポーク部分に配されたサムパッド入力でも可能だ。AUTOCARのテスターの間では、ステアリングホイールから手を離す必要がないから、サムパッド入力の方が便利だとする声が多かった。
インフォテインメント・システムにはAクラスに搭載されているような音声認識入力システム「ヘイ・メルセデス」は搭載されていないが、ナビゲーションの目的地入力などで、シンプルな音声入力は可能となっている。ブルメスター製オーディオの音質は素晴らしく、ボリュームを上げても違和感はまったくない。
ラゲッジスペースは490ℓと不足ない容量が確保されているが、ハッチバックボディのライバルよりはアクセス性で劣ってはいる。後部座席の背もたれは、40:20:40で倒すことが可能。ラゲッジスペースのリアシートを倒さない通常の大きさでは、狭いところで幅が840mm、奥行きが1150mm、高さが420mmとなっている。
視界
なだらかに傾斜するルーフラインと強く寝かされたピラーのおかげで、側方と後方の視界は遮られ気味。しかし前方視界は良好だといえる。
燈火類
LEDマルチビーム・ヘッドライトが搭載され、極めて良好な照射を叶えている。オートハイビーム機能の動きも正確で利便性も高い。
ステアリングとペダル
やや左側にステアリングホイールがオフセットしているものの、ドライビングポジションが不自然に感じられる程ではない。ステアリングコラムの調整幅は、チルト、テレスコピックともに充分確保されている。
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乗り味 ★★★★★★★★☆☆
CLS53の一般道での挙動は、比較的乗り心地は柔らかく感じられるが、基本的にAMG的なもの。フルスペックな「63」モデルでも、エアサスペンションを搭載したモデルでも共通する、転がり抵抗を多少犠牲にしながらも確実な接地感を優先しているもの。
CLS53は、英国の典型的な路面状況を低速で走行していても、先代の63とは異なり、鋭い衝撃や細かな振動が車体に伝わってくる場面はぐっと少ない。路面の凹凸をスムーズにいなそうという意識が見て取れる。かといって、路面状況へ完全に左右されないというわけではない。ダンパーの設定を最も柔らかいモードにしていても、路面からの細かな振動までは処理できないようだ。毎日乗るのにうんざりさせられる程ではないのだけれど。
タウンスピードから速度を上げていくと、CLSの輝きは増していく。垂直方向のボディの動きと乗り心地の快適性は、エアスプリングを搭載したメルセデス・ベンツの特徴といえ、起伏の激しい路面でも印象的なまでに落ち着いている。AMGのエンブレムが付いていても、ラグジュアリーな4ドアクーペに期待するような、穏やかな乗り味を味わうことができる。
その結果、53は長距離走行もいとわないグランドツアラー的な仕上がりとなっている。高速道路を延々と走っていても疲労は少なく、それ以上に充分な楽しみさえ感じられる、アッファルターバッハが生んだクルマだけが持つ特別なものだ。
ステアリングの設定はクイックで、われわれが計測したロックトゥロックは2.4回転。CLSは積極的にノーズの向きを変えてくれるが、ポルシェ・パナメーラのように電動パワーステアリングからは豊かな情報が伝わてくるわけではない。
ボディサイズや車重を考えれば、充分なグリップは確保されており、コーナリング時のボディロールもしっかり抑制されている。しかし、快適性を高めながら、ハンドリングの洗練性も高次元で両立させるということは容易なことではない。限界付近まで攻め込んだり、ワインディングでポテンシャルを発揮させようとしても、期待するほどドライビングマシンとしての走りは得られないことはわかる。往々にして、大きなエンジンを搭載したAMG製のサルーンでは、共通したドライビングフィールではあるけれど。
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購入と維持 ★★★★★★★★☆☆
BMWの6シリーズ・グランクーペがラインナップから落ち、RS7スポーツバックより一段階マルドなモデルが存在しない現状では、CLS53の真のライバルは1台のみ。そのポルシェ・パナメーラがこのクラスではリーダーとなる。しかし、CLS53と同等のパフォーマンスを備えた四輪駆動モデルを選択する場合、パナメーラでは9万ポンド(1260万円)のトップグレードとなる4Sを選択し、CLS53では標準装備となるエアサスペンションを、1600ポンド(22万円)で選択しなければならない。
一方で最高出力では劣るものの、パナメーラ4というCLS53より安価なグレードも存在する。また下取り価格でもポルシェの方が優位だと思われる。また、この価格帯で特別にシャープなハンドリングを備えたモデルを忘れるわけにはいかない。極めて速いF90型の最新BMW M5だ。新車では無理ながら、8万ポンド(1120万円)前後で、低走行の中古車が見つかる。この場で中古車を引き合いに出すのは不公平にも思えるが、このクラスのメルセデス・ベンツのライバルを見つけるには、多少の想像性性も必要なのだ。
CLS53への関心が薄れないのなら、実用性の面でプラスの情報を。ガソリンタンクの容量は66ℓで、高速走行時のツーリングでの燃費は13.8km/ℓだったから、単純計算で航続距離は915kmにも及ぶ。心強い数字だといえる。
残存価値で見るとポルシェ・パナメーラには及ばないが、パワーで劣るアウディA7よりは有利な値動きとなるだろう。
▶ はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論
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スペック
レイアウト
直列6気筒エンジンが縦置きされるCLSの基本構造に、CLS53にはEQブーストと呼ばれるスターター・オルタネーターのマイルド・ハイブリッドシステムが組み合わさり、22psと25.3kg-mを500rpmから上乗せする。435psの最高出力は9速ATを介して四輪へと伝えられるが、基本的に通常は後輪が駆動輪となる。サスペンションは四輪ともにマルチリンク式にエアサスペンションが採用されている。
エンジン
駆動方式:縦置きフロントエンジン/四輪駆動
形式:直列6気筒2999cc ターボ+モーター
燃料:ガソリン
ブロック/ヘッド:アルミニウム/アルミニウム
ボア×ストローク:φ83.0×92.4mm
圧縮比:10.5:1
バルブ配置:4バルブ
最高出力:435ps/6100rpm
最大トルク:52.9kg-m/1800-5800rpm
許容回転数:6500rpm
馬力荷重比:220.1ps/トン
トルク荷重比:26.7kg-m/トン
エンジン比出力:145.0ps/ℓ
シャシー/ボディ
構造:スチール・アルミニウムモノコック
車両重量:1980kg
抗力係数:0.26
ホイール:(前)8.0Jx20/(後)9.0Jx20
タイヤサイズ:(前)245/35 ZR20/(後)275/30 ZR20
タイヤ銘柄:ヨコハマ・アドバンスポーツ
スペアタイヤ:パンク修理キット
変速機
形式:9速オートマティック
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
(1)1st 5.35/4.9 (2)3.24/8.1 (3)2.25/11.7 (4)1.64/16.0 (5)1.21/21.7 (6)1.0/26.3 (7)0.86/30. (8)0.72/36.5 (9)0.60/43.8
最終減速比:3.00:1
燃料消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:10.9km/ℓ
ツーリング:13.8km/ℓ
動力性能計測時:3.6km/ℓ
メーカー公表値:消費率
市街地:8.4km/ℓ
郊外:13.8km/ℓ
混合:11.2km/ℓ
燃料タンク容量:66ℓ
現実的な航続距離:724km
CO2排出量:203g/km
サスペンション
前:マルチリンク/エアスプリング/アダプティブダンパー
後:マルチリンク/エアスプリング/アダプティブダンパー
ステアリング
形式:ラック&ピニオン(電動アシスト)
ロック・トゥ・ロック:2.4回転
最小回転直径:12.5m
ブレーキ
前:φ370mmベンチレーテッド・ディスク
後:φ360mmベンチレーテッド・ディスク
静粛性
アイドリング:42dB
4速最高回転時:78dB
48km/h走行時:61dB
80km/h走行時:66dB
113km/h走行時:69dB
安全装備
ABS/ESP/近接警告/レーンキープアシスト/衝突被害軽減ブレーキ/スピードリミットアシスト
Euro N CAP:未実施
発進加速
実測車速mph(km/h)秒
30(48) 1.8
40(64) 2.5
50(80) 3.4
60(97) 4.3
70(113) 5.5
80(129) 6.9
90(145) 8.6
100(161) 10.3
110(177) 12.9
120(193) 15.5
130(209) 18.5
140(225) 22.5
150(241) 27.4
160(257) –
中間加速〈秒〉
中間加速mph(km/h)2速3速4速5速6速7速8速9速
20-40(32-64) 1.7 2.3 3.4 – – – – –
30-50(48-80) 1.7 2.2 3.1 4.4 – – – –
40-60(64-97) – 2.2 3.0 4.3 5.4 6.6 – –
50-70(80-113) – 2.3 3.0 4.2 5.3 6.4 9.1 –
60-80(97-129) – – 3.0 4.1 5.3 6.5 8.8 11.7
70-90(113-145) – – 3.2 4.2 5.3 6.5 8.8 11.7
80-100(129-161) – – 3.5 4.4 5.3 6.7 9.4 12.5
90-110(145-177) – – – 4.7 5.6 7.0 10.2 –
100-120(161-193) – – – 4.9 6.1 7.7 – –
110-130(177-209) – – – 5.4 6.7 – – –
120-140(193-225) – – – 6.6 – – – –
130-150(209-241) – – – – – – – –
140-160(225-257) – – – – – – – –
各ギアの最高速
1速 51.5km/h 6500rpm
2速 85.3km/h 6500rpm
3速 122.3km/h 6500rpm
4速 167.3km/h 6500pm
5速 226.9km/h 6500rpm
6速 249.4km/h 5075rpm
7速 249.4km/h 5901rpm
8速 249.4km/h 4249rpm
9速 249.4km/h 3541rpm(メーカー値)
▶ はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論
▶ はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論
結論 ★★★★★★★★☆☆
ハイブリッドを得たAMGだが、モデルレンジの中での説得力は高い
メルセデス-AMGが生んだオリジナルモデル、13万5000ポンド(1890万円)のGT63 S 4ドアクーペを正当化させる目的が、この新しい6気筒エンジンを搭載したCLS53には含まれている、とする見方もある。確かにグレード設定としては、その可能性はありえるだろう。しかし、CLS53はそれ自体で充分な説得力を備えたモデルだと思う。
先進的なパワートレインに高級感あふれるインテリア、スムーズな乗り心地にシャープなハンドリングが融合し、CLSに魅惑的なアイデンティティが生まれている。反面、AMGとしてのパフォーマンスを考えると、やや異なる印象を受けることも確かだ。俊足でのめり込むドライビングフィールは得ているが、快適性や洗練性は、やや過剰にさえ感じてしまう。だとしても、V6エンジンを搭載した43よりも魅力的な存在だといえる。
ポルシェ・パナメーラの一強という状況だが、このクラスの中のベストとして、CLS53は同じ成功を目指しているに違いない。ドライバーへの訴求力の面ではポルシェの方が一枚上手ではある。それでもCLS53の魅力は確かなものだとはいえるだろう。
担当テスターのアドバイス
マット・ソーンダース もし英国のメルセデス・ベンツ・ディーラーがAMG GT4ドアクーペの「53」を導入したら、確実に好成績を収めるだろう。しかし、この優れたCLS53よりも2万5000ポンド(350万円)分の優位性を見つけるのは難しいと思う。
サイモン・デイビス 決して魅力がないわけではないが、2004年に登場した初代CLSが備えていたアピアランスの驚きは失ってしまったと思う。4ドアクーペは当時ほど珍しい存在ではなくなったし、他を圧倒するほどの特徴も備わってはいないと思う。
オプション追加のアドバイス
AUTOCARの読者の場合、1695ポンド(23万円)のドライビング・アシスタンスパッケージの重要度は低いかもしれないが、リセールバリューを考えると選んでおいたほうが良いだろう。専用デザインのアルミホイールなどが追加されるAMGナイトパッケージは795ポンド(11万円)のオプションだが、ダークメタリックのボディカラーなど、悪くない選択だと思う。
改善してほしいポイント
・初代CLSが備えていたクリーンで魅力的な曲線を備えていたデザインの方が良い。
・アピアランスに影響がない範囲で、ハッチバックボディに変更したほうが良い。
・インテリアにはもう少しスポーティな雰囲気を加えてほしい。
▶ はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論
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