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【ザ・実用クラシックカー】ボルボ240 英国版クラシック・ガイド 安全で堅牢 後編

掲載 更新 6
【ザ・実用クラシックカー】ボルボ240 英国版クラシック・ガイド 安全で堅牢 後編

ブレーキが怪しければ、全体が怪しい

執筆:Malcolm Mckay(マルコム・マッケイ)

【画像】実用クラシック ボルボ240シリーズ 最新のS60とV60も 全67枚

撮影:James Mann(ジェームズ・マン)

翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)


ボルボ240シリーズは、後期型になるほど性能や防錆性が高められている。だが、前期型が駄目というわけではない。ただし、初期の3速ATは性能を充分に引き出せずにいた。

購入する際は、4気筒オーバーヘッドカム・エンジンの状態チェックから。オイルフィラー・キャップを外し、エンジンオイルが乳化した痕跡、白濁がないか確かめる。数は多くないが、ヘッドガスケットの劣化を示す兆候となる。

エンジンの始動時や走行中、不自然な振動が発生しないかも確かめる。タイミングベルトは切れにくく、仮に切れてもピストンとバルブがぶつかることはない。

V6エンジンの場合は特に整備記録を確かめ、オーバーヒートなどの痕跡がないか確認する。調子が良ければ回転は滑らかだ。摩耗が進んでいる場合は、エンジンオイルの消費が多い。

トランスミッションは堅牢だが、フルード漏れなど基本チェックは欠かさずに。ボルボはオーバードライブをMTに長年採用し続け、1980年代半ばまで5速は登場しなかった。

ATの場合は、フルードが焦げていたり黒く濁っていないか確かめたい。リビルドのサインとなる。

240シリーズで共通してブレーキは強力。安全性を担保する機能としてボルボが重要視した部分といえ、試乗で違和感がある場合はクルマ全体の状態が怪しい。

パワーステアリングは、ラックからのフルード漏れがないか確かめる。ステアリングとサスペンションまわりのブッシュのヘタリも確認したい。ショックアブソーバーは寿命が短め。弾むような乗り心地なら、交換を前提としていいだろう。

購入時に気をつけたいポイント

ボディ

フロントガラス周辺のピラーやスカットルが錆びやすい。フロントのストラット上部と、ボンネットのヒンジマウントも錆びるポイント。ほかにもバッテリートレイやラジエターのクロスメンバー、ホイールアーチ内やフェンダーなど、たくさんある。

シャシーレールやフロア、サイドシル、Bピラーの付け根、ドアの下側、スペアタイヤの収納スペースなど、見えにくい部分も要注意。ステーションワゴンの場合テールゲートのヘリの状態も観察する。

電気系統とインテリア

助手席の足元、左側にヒューズボックスがある。湿っていたり腐食が進んでいないか確かめる。ヒーターとエアコンなど、すべての電装品が正常に動くか、ステーションワゴンの場合はリアのライトやワイパーの動作も確認する。

シートの摩耗や濡れたカーペット、プラスティック製部品の破損や欠落がないか調べる。レザーシートのボタンは、なくなりやすい部品の1つ。シャシープレートを確認し、仕様やスペックが実車とあっているか確かめたい。

エンジン

V6エンジンは悪くないが、不具合が起きやすい。特に初期のユニットでは、エンジンオイルの経路が詰まり、故障に至る場合がある。

4気筒の方が堅牢だが、ヘッドガスケットの劣化や異常振動の有無は確かめたい。基本的なメンテナンスを怠らなければ、リビルドせずに32万km以上は使える。

トランスミッション

トランスミッションは基本的に堅牢。ATの場合は、フルードが黒ずんでいたり焦げた匂いがしないかチェックする。

MTの場合は、シンクロメッシュの動きやノイズを試乗で確認したい。1984年に5速が登場している。それ以前はオーバードライブが付いていた。

ステアリングとサスペンション、ブレーキ

試乗でステアリングに余計な遊びがないか確かめる。パワーステアリング・フルードの漏れがないか、各所をチェックする。サスペンションやブレーキはタフだが、当然、乗るほどに劣化や消耗は進む。

ボルボ240シリーズのまとめ

ボルボ240シリーズは、究極の実用クラシックカー。長く愛情を注ぎたいと思える、状態の良い頼れるクルマが今もまだ多く残っている。ベルトーネ・デザインの260 Cは非常に珍しいけれど。

近年になって人気は上昇中。しかし長期間保有することがない限り、レストア費用を回収できるほど取引価格は上昇していない。寿命の長さを乗って楽しむことこそ、ボルボ240の得意とするところだ。

良いトコロ

安全性と耐久性を凝縮したような1台。ボルボがモデルライフを通じて改善を重ねることで、偽りなく獲得したイメージと結びついている。部品の入手はしやすく、英国には心強いオーナーズクラブも存在する。

良くないトコロ

寡黙に労働へ従事してきたた240シリーズには、疲れ切ったクルマも。状態の悪いクルマを安価に購入し修理するより、少し高くても状態の良いクルマを購入した方が、結果的にコストは抑えられるだろう。

ボルボ240シリーズ(1974~1993年/英国仕様)のスペック

英国価格:6656-1万989ポンド(1981年時)
生産台数:244万2395台(240シリーズ合計)
全長:4800-4900mm
全幅:1710mm
全高:1435-1460mm
最高速度:152-181km/h
0-97km/h加速:9.4~13.1秒
燃費:6.4−9.2km/L
CO2排出量:−
車両重量:1280-1456kg
パワートレイン:直列4気筒1986-2316cc自然吸気/V型6気筒2664-2849cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:98ps/5000rpm-148ps/5700rpm
最大トルク:17.2kg-m/2500rpm-22.2kg-m/3000rpm
ギアボックス:4速・5速マニュアル/3速・4速オートマティック

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みんなのコメント

6件
  • 大人しい、地味な印象のセダンですが、踏むとかなり速いのが驚きでした。
    シートの座り心地も優しくて長距離移動も苦になりませんでしたね。
  • この頃はオーナーの年齢層がかなり高かった印象があります
    今のモデルはかなりスポーティなデザインになって若い年齢層が乗ってますね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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