8月2日、トヨタ自動車(以下、トヨタ)は、新型「ランドクルーザー」の日本仕様を発表した。
約200kgと大幅に軽量化
1951年に初代が登場したランドクルーザーは、これまでの累計販売台数が約1060万台におよび、世界170の国と地域で愛用されているオフロード車だ。
13年ぶりのフルモデルチェンジによって200シリーズから300シリーズに進化した新型は、「信頼性・耐久性・悪路走破性は進化させつつ継承」し、「世界中のどんな道でも運転しやすく、疲れにくい走りを実現」した、という。
高張力鋼板の採用を拡大し、ボンネット、ルーフ、および全ドアパネルをアルミニウム化するなどして約200kgの大幅な軽量化に成功したとされ、さらに、最新の溶接技術の活用などにより旧型より約20%剛性を高めたという。
くわえて、パワートレインの搭載位置を車両後方に70mm、下方に28mm移動して、低重心化と前後重量配分を改善した。
路面状況や運転操作に応じ、ショックアブソーバーの減衰力を4輪独立で電子制御するAVS(Adaptive Variable Suspension)をZX、GRスポーツに標準搭載し、操縦安定性を高めるとともに乗り心地もよくしたという。
ZX、GRスポーツ、そしてVXに標準搭載された新しいパワーステアリング・システムにも注目したい。油圧式パワーステアリングに電動式の操舵アクチュエーターを組み合わせたもので、この結界、レーントレーシングアシストなどの操舵支援機能を追加出来るようなったうえ、低速時の取りまわしがよくなり、悪路走行時のショック(キックバック)も低減できたという。ZX、GRスポーツおよびVXには、同様に電子制御式のブレーキシステムが搭載された。ブレーキペダルの操作量をセンサーで検出し、最適な制動力を油圧ブレーキで創出して、よりリニアな制動特性を得られるという。
最上級グレードのZXにはリアタイヤのトラクション性能を確保するトルセンLSDを搭載し、旋回加速時には後左右輪の荷重に応じて駆動力を最適配分し、コーナーでのコントロール性能と、直進時の安定性を高めたという。
注目のオフロード走行
オフロード走行の性能強化のために、新型では「マルチテレインセレクト」なる走行モード切り替えシステムが搭載された。これにより、タイヤの空転によるスタックや、駆動力不足による失速が起こりやすい路面状況に応じた走行支援を、6つのモード(AUTO/DIRT/SAND/ MUD/DEEP SNOW/ROCK)から選択出来、それぞれのモードごとに駆動力、サスペンション、ブレーキ油圧を自動で統合制御し、より高い走破性を確保するという。また、動作範囲をハイレンジ(H4)にも拡大し、より広い範囲のオフロード走行に対応するという。
また、GXを除く全車に、車両周囲の状況確認を4つのカメラでサポートする「マルチテレインモニター」が、T-Connect SDナビゲーションシステムとのセットオプションで用意された。このモニターは、フロント・サイド左右とリアに搭載したカメラでとらえた映像をカメラスイッチで切り替えて表示でき、ドライバーの死角になりやすい車両周辺の路面状況の確認を助ける。また、車両停止中に、カメラ映像を合成したアンダーフロアビューに切り替えることもできる。
さらに、後輪周辺をクローズアップして大きく表示する新ビューを追加。タイヤ付近の状況や障害物との距離感をくわしく把握し、スタックや行き止まりからの脱出を助けるという。
インパネ上部のモニターには、オフロード情報表示画面を新設し、傾斜計やデフロックのオン/オフ状況、アクセル・ブレーキワークの様子などを表示する。
エンジンは2種類
エンジンはガソリンとディーゼルの2種類。ガソリンは新開発の3.5リッターV型6気筒ツインターボで、305kW(415ps) の最高出力と 650Nmの最大トルクを発揮する。
ディーゼルは3.3リッターV型6気筒ツインターボで、最高出力は227kW(309ps) 、最大トルクは700Nm。可変ノズル付きの2Wayツインターボ機構を搭載し、低速域ではシングルターボの高レスポンスによる力強い加速を、高速域ではツインターボの大吸気量によるのびやかな加速を、それぞれつくりだすという。
トランスミッションは10ATのみ。発進時を除くほぼ全域でロックアップ機構を作動させ、ダイレクトなフィーリングを実現したという。
悪路走行を意識した内外装
ボディは全長およびホイールベース、ならびに対地障害角(アプローチアングル、デパーチャーアングル、ランプブレークアングル)を従来型から変えていない。
室内は、フロント着座位置を後方に移動しつつ、2列目と3列目シートの構造や配置を見直し、居住性と荷室容量を高めるととともに衝突安全性能を高めたという。3列目シートは フロア格納式となり、荷物もより積みやすくなったという。また、ZXのガソリン車、GRスポーツのガソリン車およびVXの各モデルでは格納・復帰が電動式になる。
歴代ランドクルーザーの伝統を受け継ぎ、キャビンを後ろ寄りに配置する「キャビンバックワード」のプロポーションをもつ新型は、ラジエターグリルをヘッドランプと合わせて旧型より高い位置に配置し、前後のバンパーの下部は障害物をいなすような造形になった。オフロード走行時の機能性を重視したデザインといえる。
また、エンジンフードの中央部には大きな凹みを設け、衝突安全性能と前方視界の両立を図ったという。ボディカラーは「プレシャスホワイトパール」を新設定した。
インパネ上部は水平基調で、車両姿勢を把握しやすい形状という。メーターは、過酷な路面状況でも車両状況が把握しやすいよう、スピード・エンジン回転 ・燃料・水温・油圧・電圧が直感的に視認できる、6針式を採用し、マルチテレインセレクトやダウンヒルアシストコントロールなどの切り替えスウィッチは、単一のダイアルに統合して、モニターを見ながら操作できる最適な位置に配置さしたという。
各種スイッチ類は、走行・駆動系、オーディオ系、空調系など機能ごとに集約して配置し、 悪路走行時でも直感的な操作ができるようにしたという。
シートのヒーター/ベンチレーション機構は、フロントにくわえ、2列目にも装備(ZX、GRスポーツ)。 幅広で機能的なセンターコンソールボックスは、両開き機構を採用し、運転席・助手席だけでなく後席からもアクセス出来るようになった。また、ペットボトル飲料などを保冷できるクールボックス機構も追加出来る(GXを除く全車にオプション)。
インパネ上部の高精細12.3インチ・ワイドタッチディスプレイはGXを除く全車にオプション。ナビ・オーディオ・空調表示だけでなく、オフロード機能もビジュアルでわかりやすく表示されるという。
テールゲートには、キーを携帯していれば、リアバンパーの下に足を出し入れするだけで、自動開閉する「ハンズフリーバックドア」をZXに標準装備した。
新採用の指紋認証スタートスイッチ
盗難の多いランドクルーザーらしく、セキュリティも強化された。トヨタ初の「指紋認証スタートスイッチ」が搭載された。
スマートキーを携帯し、ブレーキを踏みながら スタートスイッチ上の指紋センサーにタッチすると、車両に登録された指紋情報と照合し、指紋情報が一致しなければエンジンが始動しないというもので、ZX、GRスポーツ、VX、AXに標準装備され、GXにはオプションで搭載できる。
先進機能を付与した最新の予防安全パッケージの「Toyota Safety Sense」搭載され、歩行者(昼夜)や自転車運転者(昼)を検知し、衝突回避または被害軽減に寄与する衝突被害軽減ブレーキには、交差点での対向直進車や右左折時に前方から来る横断歩行者の検知機能を加え、ドライバーによる回避操舵をきっかけに操舵と車線逸脱抑制をサポートする緊急時操舵支援機能も追加した。
駐車時などの低速走行時の衝突被害軽減に寄与するパーキングサポートブレーキ (前後方静止物、後方接近車両、後方歩行者)も搭載した。さらにオプションで、障害物の有無にかかわらず、アクセルの踏みすぎや踏み間違いを検知するとクルマの加速を抑制する「プラスサポート」を設定した。
GRスポーツの特徴
新型ランドクルーザーには、専用の内外装や足まわりなどを持つ「GRスポーツ」が設定された。
電子制御でスタビライザー効果を変化させる世界初をうたう「E-KDSS (Electronic-Kinetic Dynamic Suspension System) 」なる機構を搭載した。これは、前後のスタビライザーを独立して自動で電子制御し、路面状況や前後輪それぞれの状況に応じてより細かくスタビライザー効果を変化させるもの。
さらに、リアにくわえてフロントにも電動デフロック機構が搭載され、さまざまな悪路環境において、より優れた走破性を発揮するという。
GRスポーツには専用デザザインのラジエターグリルや前後バンパー、ホイールアーチモール(ブラック)、リアのトヨタエンブレム(アクリル+ブラック)とマッドガード、18インチアルミホイール(マットグレー塗装) 、GRスポーツ・エンブレム(フロント・サイド・リア)、テールゲート下端デカール、ロッカーモール(ブラック)、ブラック塗装の車名エンブレムやアウトサイドドアハンドル、そしてドアミラーが与えられる。
インテリアでは、専用デザインの本革巻きステアリング・ホイール(GRエンブレム付) やフロントシート(GRエンブレム付)、カーボン調のインテリア加飾を装備する。
内装色ではGR専用のブラックおよびブラック&ダークレッドが選べる。
新型ランドクルーザーの価格は以下の通り。
ガソリン
GX(5人乗り)510万円
AX(7人乗り)550万円
VX(7人乗り)630万円
GRスポーツ(7人乗り)770万円
ZX(7人乗り)730万円
ディーゼル
GRスポーツ(5人乗り)800万円
ZX(5人乗り)760万円
文・稲垣邦康(GQ)
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みんなのコメント
トヨタのラインナップの設定は凄いとしか良いよう
がない。タイプは違うが溢れかえったハリアーより
ランクルに流れる人も多く居そうな気がする。
ベンツだっら、Aクラスベースのメキシコ製FF、内装も外装も走りもオモチャみたいなSUV・GLBの日本価格でさえ518万円ですからね!!