メルセデスがトラックをミラーレス化する理由
メルセデス・ベンツは新型トラック「アクトロス」に電子ドアミラー「ミラーカム」を装備した。ルーフ部に設置したカメラの映像をAピラー部に投影するシステムで、サイドミラーや広角補助ミラーの“代役”を務めるシステムだ。カメラによる映像を用いる「ミラーカム」の採用は視認性の向上はもとより、空力面でも有利であり省燃費の一助になると主張する。
カメラはサイドミラーの代わりになるか。メルセデス・ベンツが示した11の回答とは。
しかし、エンジンを切ったときはどうなるのか、ドライバーはすぐに慣れるものなのか、カメラが濡れたり汚れたりしても問題はないのか。長年慣れ親しんできた鏡の代わりにディスプレイを使うにあたっては、様々な疑問符が浮かんでくる。11の疑問に対し、メルセデス・ベンツが回答する。
ミラーレス化で何が変わる?
ミラーカムを採用すると、従来Aピラー脇に据え付けられていたサイドミラーおよび補助ミラーの出っ張りにより遮られていた死角がクリアになる。またセミトレーラーなどを牽引する場合、曲がり角で車体後部がミラー上の視界を妨害することがある。一方ミラーカムは旋回しながら常に後方視界を広く捉えて投影する。システムは原則として標準的なセミトレーラーを想定しているが、個別に管理することも可能。ドライバーは旋回半径を任意で設定できる。
ミラーカムのもたらす利点は?
空力性能が改善し燃費向上に繋がる。空気抵抗を軽減することにより、燃料消費量を最大1.5%抑えることができると見込んでいる。
汚れや雨などがカメラに付着した場合の影響は?
曇りや汚れという問題は鏡面にも長年つきまとってきた。車体上部に設置するミラーカムは、レンズ上部に小さな庇を設けるとともに特別なコーティングを実施。デジタル伝送によりディスプレイへイメージを投影するため曇りや汚れの及ぼす影響はほとんどない。また、気温が15度を下回ると自動的にヒーターが稼働する仕組みになっている。
ディスプレイ上に距離目安線を表示する理由は?
ミラーカムのディスプレイには車体後方にいるトラックとの間隔を表す距離目安線が示される。三本のラインとともに、車体後部の位置を示すライン(ドライバー自身で調整することができる)を表示。運転支援機能と連動し、路肩から発進する際に合流する路線に十分なスペースがあるかどうか、追い越し終了後走行車線へ戻る際に後続車と安全な車間が空いているかどうかといった判断を助ける。
夕暮れ時や夜間でも視認性に問題はないか?
日没前後の薄暗がりであってもミラーカムは鮮明な映像を表示する。光の透過率が高いカメラを使用することで、自然光以上に明るい映像をディスプレイに投影することができる。ディスプレイの明るさは常に一般的なレベルへ調整されるのでドライバーの目がくらむこともない。通常の道路はもちろん、トンネルの中でも同様に最適な輝度がキープされる。夜間には、既存のミラー同様にミラーカムはライトで照射された部分を映し出す。
ディスプレイの輝度は調整できる?
天候や時刻の変化によりディスプレイの輝度を調整する必要がある際は、タッチスクリーンやステアリングホイール上のマルチファンクションスイッチで操作が可能。左右のディスプレイはそれぞれ個別に輝度の調整ができる。
映像がスマートフォンよりクリアではないようだが?
ミラーカムの15.2インチ(38.6cm)スクリーンのサイズは、従来のミラーに近い。昨今のスマートフォンはユーザーの目の能力以上に高い解像度をもつものが多く、しかも手に持って使用するためディスプレイと目の位置も離れていない。ミラーカムのスクリーンとドライバーの間には適度な距離があり、ドライバーが認識できる情報量はより少なくなる。ゆえに、スマートフォン同等の画素数はミラーカムには必要ない。さらに、ミラーカムは重要な安全システムの一部であり、確かな信頼性が求められる。ミラーカムは従来の認証基準に適合する信頼性を備えている。スマートフォンでは基準を満たせないだろう。
正しく調整していないサイドミラーは危険のもとだが、ミラーカムについてはどうか?
既存のミラーがもつ性質は、すなわち「入射角と反射角は等しい」というシンプルな物理学にもとづく。だからドライビングポジションが変われば映るエリアも変化する。その点において、ミラーカムは根本的に異なる性質をもつ。カメラがスクリーンに映し出すイメージは常に同じ。表示範囲も任意で調整することができる。調整時に保安基準に定められた範囲外を選択した場合はディスプレイ上に警告が表示される。その場合はファンクションボタンを操作すれば、ミラーカムは即座に基本セッティングへ復帰する。
ミラーカムだとまっすぐ後退するのが難しく感じるという意見もあるが?
ミラーカムは後退時にふたつの映像を表示する。大きなメインディスプレイには車両周辺を、もうひとつはさらに広域を映し出す。これは曲がり角などで後退する際に有用だ。しかしまっすぐ後退する場合はこの機能をオフにした方が良いことがしばしばある。見える範囲も従来のミラーより広い。最初のうちは、実際にはまっすぐ後退しているのに斜めになっているように感じられるドライバーもいる。従来のミラーよりも出来ることが多いために、慣れるまでに少々の時間がかかることもあるだろう。
ミラーカムとサイドガードアシストの関係は?
サイドガードアシストは、車体に近い障害物や歩行者などと衝突の危険性がある場合にドライバーへ警告を促す機能。ミラーカムはこの警告をビジュアルで表示するため、ドライバーに伝えるべき情報が一ヵ所に集約される。
エンジンを切ったときにもミラーカムは作動するのか?
エンジンをオフにしてから2分間はカメラをアクティブにでき、カーテンを引いていても周辺の様子を確認できる。ドアを開くと自動的にシステムが起動するため、降車時の安全性も確保される。
メルセデス・ベンツが新型アクトロスから採用をスタートした「ミラーカム」は、自動車研究を対象とした権威ある賞「フェルディナンド・ポルシェ博士賞」を授与されている。ヘビーデューティーな商用車からミラーレス化を導入したメルセデス・ベンツの姿勢からは、信頼性や実用性に対する自信のほどを窺い知ることができる。
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