90年前のレースカーを再生産
ベントレーは、有名な4.5Lスーパーチャージド・エンジンを搭載する1929年型ブロワーを、再生産すると発表した。戦前のレースカーが再生産されるのは、これが初めてだという。
1920年代にティム・バーキン卿の要望で製造されたブロワーはわずか4台。その全車がル・マン24時間を含む耐久レースに使用された。4台のブロワーはすべて現存しており、現在最も価値の高いベントレー車とされている。
オリジナルの4台が戦ったレースの数にちなみ、12台が製造されることになるブロワー・コンティニュエーション・シリーズは、基本的に1920年代に製造された車両と同じだが、安全性のためにささやかなアップデートが施される。プレス鋼製のフレームや、リーフスプリング式のサスペンション、400mmの機械式ドラムブレーキ、そして最高出力243psを発生するスーパーチャージャー付き4398cc直列4気筒16バルブ・エンジンは、オリジナルと同じように製造される。
この再生産に取り掛かるため、ベントレーの特別製造部門であるミュリナーは、シャシー・ナンバー「HB3403」のブロワーを実際に分解した。それぞれの部品は1つずつ目録化され、デジタル・モデリング・データを作成するために3Dスキャンされた。
12台の製造に要する期間は約2年
ベントレーのエンジニアたちは、1920年代の金型と治具を使って12台分のパーツを製作するという。それから1台ずつ、完成車として組み立てられる。分解したオリジナルのブロワーは再び組み直され、引き続きイベントなどで展示されることになっている。
ベントレーのエイドリアン・ホールマーク会長兼CEOは、次のように語っている。「貴重なオリジナルを危険にさらすことなく、実際に走らせて、楽しんで、愛でることができる、本物の再生産車を求める声があることを、わたしたちは理解しています」
さらにホールマークは、新たに製造されるブロワーが「ベントレーの伝統に敬意を払うだけでなく、当社のミュリナーの職人たちの卓越した技術を讃えるものになるでしょう」と、付け加えた。
ベントレーは今年3月、ブロワーをデザイン・モチーフにした新型コンチネンタルGTの限定モデル「ナンバー9エディション」を発表した。コンティニュエーション・シリーズは、この特別仕様車に続くプロジェクトだ。
ベントレーによれば、12台のブロワーを完成させるまでに約2年の期間を要する予定だという。価格は明らかにされていない。
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