2024年のスーパーフォーミュラをランキング2位で終えた野尻智紀(TEAM MUGEN)は、今季限りで同シリーズから引退することを表明した山本尚貴について、「彼の背中は偉大すぎる」と語った。
野尻は11月9日(土)に鈴鹿サーキットを舞台に行なわれた第8戦で5位に終わったことで、今季のタイトル獲得のチャンスが潰えた状態で、第9戦に挑むことになった。その第9戦を最後に、野尻の先輩にあたる山本がスーパーフォーミュラを引退。表彰式の後には、セレモニーも行なわれた。
■一触即発の雰囲気。前日の予選で“渦中のふたり”、太田格之進vs野尻智紀が会見で隣り合わせ「色々言われているので、クリーンに勝負します」と太田
このセレモニーには、スーパーフォーミュラに参戦中の全ドライバーが参加。その中で野尻は、人目も憚らずに涙した。
夕刻に行なわれた囲み会見に登場した野尻は、山本について涙ながらに次のように語った。
「本心で言えば、辞める必要はないと思います。僕は彼がいたから頑張ってきたんです……彼を超えたくて頑張ってきた。色んな想いがあります」
野尻はそう語った。
「僕もドライバーなので……もちろん全て分かるわけではありませんけど、彼がこの競技をどれだけ愛しているのか、それは分かります。だからこそ、まだまだ戦えるのになとすごく思います。もっと、背中を追っていたかったという気持ちです」
山本はスーパーフォーミュラで通算3回のチャンピオンを獲得した。一方で野尻はこれまで2回獲得し、毎年タイトル争いの真っ只中にいる。
もう一歩で追いつき、追い越せるように、外部からは見えるが、野尻は今後も「山本の影を追い続ける」と語った。
「彼の背中は偉大すぎます。辞めたからと言っても……今後も彼の影を追って走るだけだと思います」
「自分がタイトルを獲れたのも、山本さんに勝ちたいと思ったからです」
野尻は2021年にスーパーフォーミュラ初タイトルを獲得したシーズンオフのインタビューで、山本の記録を「“抜く”というのも今の段階では失礼だと思う」として、山本に「一歩でも近付きたい」と話していた。
実際、近付いたと思う瞬間はあったのか? 野尻は次のように続けた。
「あったんですが、それは幻想だったのかもしれません。彼の姿を見ると……」
「僕はなんというか、ああいうふうに辞める決断はできないと思います。それは僕が弱いから。彼は、必ずしも自分から100%辞めたいと言ったわけではないと思います」
「ここにいるのがどれだけ幸せなことなのか、それはすごく分かります。でもどんな形であれ、それを決断できたのは本当にすごいです」
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