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合意なしEU離脱 日産はサンダーランド工場の計画を見直す可能性を示唆

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合意なしEU離脱 日産はサンダーランド工場の計画を見直す可能性を示唆

英国は日産の欧州市場における生産拠点

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)英国の経済紙、ファイナンシャル・タイムズによると、欧州連合(EU)離脱の条件について合意がまとまらないまま英国が離脱した場合、日産は英国でのキャシュカイ(日本名:旧デュアリス)の生産を停止する可能性があると伝えている。それにより工場閉鎖の可能性も出てくるという。

【画像】キャシュカイとリーフ 全36枚

2016年11月、当時の英国首相テレサ・メイは、ブレグジットの流れは英国での日産の事業に影響を
及ぼさないという合意を、日産前会長のカルロス・ゴーンと結んでいる。英国で高い人気を誇る日産キャシュカイは当面英国で生産が続けられる見込みとなっていたのだ。

しかしそのブレグジットは、合意がまとまった「ソフトランディング」という条件だったと見られる。日産は英国が合意なき離脱へ至り、英国北東部のサンダーランド工場で生産するクルマの競争力が低下する場合、世界的視野での判断のうえで工場の縮小または閉鎖も可能だとしている。

日産のサンダーランド工場では現在、ジュークのほかにEVのリーフなども生産している。AUTOCARの取材に対し、日産からは「推測的なコメントはできませんが、サンダーランド工場でのキャシュカイの生産計画に対して変更予定はありません」 とコメントをもらっている。

しかし合意なき離脱となった場合、英国の産業に深刻な打撃が及ぶ可能性もあると指摘する。「1986年以来、英国は日産にとって欧州市場における生産拠点です。英国を中心とした研究開発部門やデザインチームは、サンダーランド工場で生産されるモデルを主に担当してきました。特に欧州市場向けのモデルです」

日本から欧州への輸出でも関税不要

「貿易摩擦の生じない環境が、サンダーランド工場を英国自動車産業の中で過去最大の生産拠点へと成長させました。そのクルマの半数以上は、EUの各国へと輸出しています。日産は英国へ大規模投資を行っている企業のひとつで、英国とEUとの貿易体勢の未来には明確性を求めています」

「貿易に関する突然の条件変更は、英国産業にも深刻な影響を与えるでしょう。日産としては英国とEUとの離脱条件の合意に向けて、相互にとって有益な貿易へつながるように、協力して取り組むように促したいと思います」

英国首相のボリス・ジョンソンは、合意が得られなくてもEU離脱を予定の10月31日までに実施する意向だが、その実現は難しい情勢ではある。

仮に合意なき離脱となった場合、英国で生産したクルマをEUへ輸出する際、関税の掛かる対象となる。もちろんサンダーランドで製造される日産車もその中に含まれる。一方でEUと日本とで結ばれている貿易協定により、日本で生産された日産車は関税なしでEUへ輸出できる見込み。

そうなると日本で欧州向けのクルマを生産した方が、収益性で優れる可能性も考えられる。実際2019年初め、日産は次期型Xトレイルの英国での生産計画を見直し、日本へと切り替えた。理由はブレグジットの動向と、ディーゼルエンジンの欧州での不人気を上げている。

また日産は、プレミアム・ブランドのインフィニティを欧州から2020年に撤退することも決めている。サンダーランド工場からは、インフィニティQ30とQX30の生産が既に打ち切られているのだ。

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