レクサスの新モデル「LBX」の投入が発表された。はたしてどういったモデルとなるのか!? 予想とともに、さまざまなモデルを矢継ぎ早に投入する最近のレクサスの動向について今尾直樹が綴る。
ヤリス・クロスのレクサス版か
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レクサスがLBXなる新型車を6月5日(月)にイタリア・ミラノで発表する、と、5月22日、SNSほかネットで予告するとともに、2点の写真を公開した。
1点は真後ろのショットで、闇のなか、シルエットがうっすらとわかり、左右につながった特徴的な凸型のリアのライトが赤く輝いている。アストン・マーティンみたいな、という形容詞は、かえってわかりにくいかも、ですけれど、スタイリッシュで期待を抱かせる。
もう1点はフロントのヘッドライトまわりで、チラリと写るグリルは「RZ」から採用され始めたボディ一体型の新デザインアイコン「スピンドル・ボディ」。単眼のヘッドライトは、これが小型車であることを示唆している。
10秒ほどの動画も公開されている。サングラスをかけた女性がミラノのモンテナポレーネ通りとかでしょうか、ともかく街を歩いていて、道路を走っているなにかを見て、「ワオ」とつぶやく。彼女のサングラスにLBXのリアのライトとおぼしき、ごく薄い凸型のテール・ランプのラインが赤く映る。
う~む。なるほど。これだけだと、まったくなんのこっちゃわからない。でも、安心してください。例によって、“Lexus LBX”と検索サイトで打ち込めば、これがトヨタ「ヤリス・クロス」のレクサス版、すなわちレクサスの新しい小型クロスオーバーだと予想されていることがたちまちにしてわかっちゃう。それも中国発、あるいは日本の某新型車スクープ専門誌が情報源のようで、3年前から噂されていた。
プラットフォームは「ヤリス」とおなじTNGAのGA(グローバル・アーキテクチャー)-Bで、BはいわゆるBセグメントをあらわす。これらの情報が正しいとすれば、LBXは、Luxury Basic (もしくはBaby)Crossoverの意だろう。
某ネット記事によれば、レクサス・ヨーロッパは「NX」、「UX」の小型クロスオーバーが販売の60%を占めているそうである。これは信憑性がかなり高い。NXはトヨタ「RAV4」、「ハリアー」とおなじGA-K、1クラス下のUXはトヨタ「CH-R」、「カローラ・クロス」と同じGA-Cプラットフォームで、LBXはレクサス最小モデルということになる。しかも、ヨーロッパ、アジア向けらしい。なるほど、レクサスUSAのプレスルームには出ていない。
そこで筆者が思い出したのは、ジープ「アヴェンジャー」である。2023年のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを獲得したジープ・ブランド初の欧州専用モデルで、おなじステランティス傘下のプジョー「208」、「DS 3クロスバック」等と同じCMPという小型車用プラットフォームを使っている。100%BEVが注目されているけれど、たとえばイタリアではガソリンの1.2リッター3気筒ターボもある。北米で販売しないのは、Bセグメントだとちっちゃすぎるからだ。
レクサスとしてはヨーロッパで人気の高いBセグメントに、ドイツのプレミアムメーカーに先んじて先に手を伸ばそうという戦略である。ヤリス・クロスは全長4185mmで、ホイールベースが2560mm。このホイールベースはアヴェンジャーとピッタンコ同じだ。これからBセグメントのSUVの戦いが本格化するかもしれない。
LBXの狙いそれにしても、新年度以降、レクサスの商品攻勢が際立っている。まずは4月18日の上海モーターショーで、高級ミニバンの新型「LM」が発表された。5月9日にはレクサスUSAのサイトで「史上初のTXが近日公開!」と、予告されている。その2日後には同サイトで新型「GX」のティーザーが展開され、フロントのヘッドライト周辺をちょい見せしている。
TXは3列シートのSUVという噂で、GXはトヨタ「ランドクルーザー・プラド」のレクサス版で、日本市場では販売されていない本格派SUVだけれど、チラ見せの画像がレインジ・ローバーを思わせて、というのは余分ですね、とにかくカッコよさげだ。LBXは今年第4弾となる新作で、レクサスはつまりより製品レイン時を広げようとしている。
レクサスが発表した資料によるとの2022年の地域別販売実績は、北米と中国が圧倒的で、総販売台数62万5365台のうち、ヨーロッパは4万7304台、日本は4万1253台でしかない。ところが、その前年は日本がおよそ5万台、欧州は7万台だった。コロナの影響があったとしても、欧州のレクサスの立て直しは急務だったはずで、その対応策のひとつがLBXの投入ということになる。
さてそこで、新年度のトヨタになにが起こったかといえば、もちろん社長交代である。2009年から14年の長きにわたってトヨタを率いた豊田章男から佐藤恒治にバトンタッチ。佐藤新社長はそれまでレクサス・インターナショナルCo.のプレジデントで、GAZOOレーシング・カンパニーのプレジデントでもあった。この場合のプレジデントは、トヨタの社内カンパニー制度の代表の意である。
あわてるな。クルマは急につくれないのだから、ま、当たり前ですけれど、レクサスの商品攻勢は既定路線で、トヨタとしては、量を追うこともさることながら、レクサス・ブランドをいっそう充実させることで会社を成長させよう、利益率を高めようと考えているわけである。それにはレクサスをよく知っているひとに任せるのが最善、少なくとも選択肢のひとつで、佐藤新社長を後継に指名したのは豊田章男が、この方向でいこう、と考えているからにちがいない。
日本貿易振興機構(ジェトロ)によれば2022年の販売台数、ドイツ・プレミア御三家の販売台数は、BMWブランドが210万台、メルセデス・ブランドは204万台、アウディは161万台である。レクサスは60万台ぐらいだから、あと3倍、いや、それ以上にのびしろがある。可能性しかない!
たとえば、メルセデス・ベンツ(参照)の2022年の売上高は1500億ユーロ(約21兆4990億円)、EBIT(利払前・税引前利益)は205億ユーロ(約3兆円)、トヨタ(参照)は2022年度、839万台も販売したのに売上高は37兆1542億円で、営業利益2兆7000億円である。これ自体、すごい数字ではあるものの、トヨタ車が薄利多売であることの証左でもある。佐藤氏が、新社長としても、長年レクサスにかかわってきたエンジニアのひとりとしても、さらに多くのひとにマイレクサスに乗って欲しい、買っていただきたい! と、願うのは至極当然であろう。
そのためにはなにが必要なのか。手の届く高級車。というのがレクサスLBXの狙いだろうけれど、いちばん大切なのは、章男会長が社長時代からとなえ始めたこのマントラであろう。
「もっといいクルマをつくろうよ」
文・今尾直樹 編集・稲垣邦康(GQ)
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レクサスならレクサスらしくしてほしい。